アナキズム時代連盟によるロジャヴァのテコシナ゠アナルシストへのインタビュー
مُصاحبه فدراسیون عصرآنارشیسم با مُبارزان آنارشیست در روژئاوا
原文:https://asranarshism.com/1403/10/10/tekosina-anarchist-rojava-english/
原文掲載日:2024年12月30日
テコシナ゠アナルシストの同志達へ
私達は、地理的にアフガニスタンとイランに位置する「アナキズム時代連盟」内の個人と集団の自主組織として、このインタビューをQ&A形式でお送りできることを嬉しく思います。このインタビューを公開することで、読者があなた方の考えをより良く理解し、クルディスタンのロジャヴァでの10年にわたるアナキズム闘争について洞察を得ることを願っています。
1.テコシナ゠アナルシストという組織の設立経緯と活動内容を教えてください。
テコシナ゠アナルシストはアナキスト組織で、2017年に結成されて以来ロジャヴァで戦っています。私達の多くが疑問と希望を持ってここに来ました。私達はそれらに集団で答えを出し、この革命を支援・防衛するために集まっています。その結果、個人として、組織としてだけでなく、運動としても現在の力学と歴史を熟慮せざるを得なくなりました。異なる場所・異なるアナキズムの伝統から集まったため、課題も生じたのですが、より多様で包括的な分析や観点を発展させる機会も生まれました。そのおかげで、自分達の出身の運動が持つ長所と短所、それを改善する方法について考えられるようになったのです。
ここで私達は「クルド解放運動」と共に闘っており、このことが私達にとってインスピ―レーションの主な源の1つになっています。また、この革命的社会にある様々な地域組織だけでなく、この革命を防衛しに来た他の革命的組織とも協働しています。シリア各地からやって来た多くのシリア系アラブ人同志達が自治政府や地元のアルメニア人・アッシリア人・トルクメン人など多くの人々と共に活動し、自身のコミュニティを組織して、この色鮮やかな連邦制度を構築しています。これら全てが唯一無二の特別な場を創り出しています。私達は、この場から経験を集め、重要な教訓を学べるだけでなく、同時に、それらを翻訳し、他のアナキスト゠グループ・アナキスト組織と共有もしています。
ここにきて7年以上になりますが、多くのことが変わりました。私達の活動も情況に合わせて変化しなければなりませんでした。最初の数年間、私達の組織は主としてISISとの戦争に集中し、革命防衛のために最前線に参加することが優先事項でした。また、アフリーン侵攻とセレカニエ侵攻ではトルコ軍の爆撃に、そして絶え間なく続くトルコ軍とその代理勢力の攻撃にも立ち向かわねばなりませんでした。時間と共に、私達は地域の現実に根差し、溶け込むようになり、革命を起こすことが何を意味するのかより良い洞察を得られるようになっています。これが自国での革命運動の構築方法について重要な考察をもたらし、自分達の運動は何を正しく行っているのか・自分達の力をどこに向けるべきか評価させています。ここ数年、私達は文書と資料の作成に取り組んでいます。これは、様々なアナキズム革命・運動に関する研究から生まれたもので、その目的は、現在のアナキズム運動の情況について更に幅広い議論の口火を切ることです。近いうちにこの取り組みを続けられるようになるといいのですが、差し当たり、シリアで進行中の出来事のために全ての活動を中断せざるを得ませんでした。恐らくご存じでしょうが、遂に政権は崩壊し、アル‐アサドはいなくなりました。このことについて声明を2つ書き、現地の情況について最新情報を書いています。
2.北部及び東部シリアで実行された宣言と行動計画について初めからご存じだったのですか?その情報をどのようにして知ったのですか?
私達の何人かは、ここに来る前からアブドゥッラー゠オジャランの思想と『民主的文明に向けた宣言』を知っていました。その思想の多くは、ブクチンが社会的エコロジーと表現したものに関連して提唱したリバータリアン自治体連合論と多くの点で似ています。『自由の生態学』という本はオジャランの哲学に極めて明確な影響を与え、ブクチンが亡くなる前に二人の間で何通か手紙のやり取りをしていたほどでした。しかし、クルド人の闘争が国際的注目を浴びるようになったのは、ISISに対するコバニの抵抗でした。
その後、更に多くの国際主義者がここに来始めました。この新たな結集に応えるべく「国際自由大隊(IFB)」が、1936年のスペイン革命における国際旅団から着想を得て結成されました。多くのアナキストが、他のグループ・組織と共に、IFBの隊列で戦い、連帯の国際的架け橋・ネットワークを構築しました。この噂がアナキストの間で急速に広まり、すぐに私達も世界中でロジャヴァ革命との連帯委員会を組織するようになったのです。
多くのアナキストがこの地を旅した人々の先例に倣い、さらに多くの人々が海外から革命を支援するための連帯員会やイニシアティヴに参加しました。オジャランの本も他の言語で出版され始め、クルド語とトルコ語を母語としない人々も読めるようになりました。アナキストのウェブサイトや雑誌に記事や声明が書かれ、ロジャヴァに関する議論がアナキスト゠ブックフェアでは当たり前になり、多くのアナルコサンジカリスト組合やパンク゠ミュージック゠グループさえもがロジャヴァを支援するキャンペーンを行いました。現地の人々が故郷の同志達に報告し、多くの場合、チアパスやパレスチナとの連帯のような過去の伝統と結び付けて、国際的革命家のための新たな灯台に点火したのです。こうした道筋の中に私達の軌跡の大半を見つけられるでしょう。でも、もちろん、私たち一人ひとりが、ここに辿り着いた経緯について本当に素晴らしい物語を持っています。
3.『民主的連邦主義宣言』はアナキズムの代案とどの程度一致し、密接に結び付いていると評価していますか?これは単なる民族主義革命なのでしょうか、それとも、反資本主義・階級革命でもあるのでしょうか?
私達は何年もこの問題について深く議論してきました。近々、このことについてより整理された資料を公開する予定です。ただ、手短に言えば、そうです、アナキズムと反資本主義の価値観と一致しています。だからこそ私達はここにいるのです。これは民族解放闘争から生まれた革命ですが、同時に、1世紀以上にわたりアナキストが支持してきた主張を使って国民国家の論理を超越しています。これが重要な教訓と反植民地主義の観点をもたらします。西洋のアナキストは特にこれらを考慮し、反省しなければなりません。オジャランが提案した民主的連邦主義モデルはクルド人の闘争の現実に合わせていますが、他の多くの解放運動にとってもインスピレーションと青写真になり得るでしょう。ロジャヴァでの実践は今も進行中なのですが、既に多くの素晴らしい歩みが踏み出されています。提案された反家父長制・反資本主義・反国家モデルを達成するのに12年では時間が足りません。革命は過程であり、出来事ではないのです。こうした変革の速度と程度は戦況と物質的現実に左右されます。同時に、現場にいる他の当事者達との関係・同盟・勢力バランス次第でもあるのです。
階級はアナキズム理論とその発展にとって基本となるものですが、中東の植民地化された人々にとってこの問題は、19世紀の欧州労働者階級とは異なる意味を持っています。さらに、21世紀における階級問題にどのようにアプローチするのかという問題は、様々なアナキズム傾向の中で広く争点となり、議論のテーマになっています。この議論に関心を持つ人たちのために、近々、私達の見解を明らかにするのに役立つ資料と評価を公表する予定です。先ほどお伝えした通り、この理論的作業は現在のシリアへの攻撃によって中断せざるを得なかったのですが、情況が安定すれば、この作業を優先するつもりです。今後の議論によって新たな論争と観点が生まれ、アナキズムの革命的諸傾向の中により良い一貫性を築くことを願っています。
4.北部及び東部シリアの地方を支援・防衛するために対策を講じた地方政府や国際同盟はありますか?
今のところ、カタルーニャ政府は最も関係のある機関です。「北部及び東部シリア民主的自治行政区(DAANES)」を公式に承認してくれました。自治体レベルのパートナーシップもあります。イタリアとドイツの様々な都市がそうですし、スコットランド・フランス・バスク地方など多くの場所からの政治使節団もそうです。しかし、こうした制度的パートナーシップの大半は、人道的・国際的な協力と支援という表面的なレベルに止まっています。また、ミャンマーの革命勢力とのやり取り、チアパスなどの自治区から連帯の呼び掛けもありましたが現地に大きな影響を与えるようなものはありません。私達に言える最も関連した例としては、多分、カミシュロに新しく建設された病院でしょう。この病院は様々な国際協力組織・機関と共にバルセロナ市が資金を提供してくれています。
5.ファシスト゠トルコ政府の空爆が北部及び東部地方で数年にわたり続き、政府の傭兵が今もシリアの多くの地域を支配していることを踏まえ、北部及び東部シリアでの民主的連邦主義の将来をどのように考えていますか?
革命プロジェクトは継続し、現在まで達成した社会変革を防衛するために戦います。自衛こそがこの革命の基本要素であり、民衆は最前線だけでなく、政治的・社会的領域でも革命を守るために激しく戦うでしょう。ロジャヴァ革命は常に自らをシリアの一部だと主張してきました。正式な独立ではなく、連邦制度でのシリアの民主化を強く求めているのです。DAANESの外交機関は、既に、その方向で動くよう暫定政府と協議しています。現在も続く交渉に際して、10項目のリストを公表しました。その中で、シリアの統一と主権・軍事侵攻と占領の停止・避難民が帰還する権利・富の公正な分配・女性の政治参加の促進を求めています。今のところ、シリアで進行中の移行プロセスの一部となるべく外交努力が行われています。トルコの占領に対する軍事的防衛は依然として主な優先事項ですが、これら2つの領域は相互に関連しています。往々にして権力が銃身から生まれることは分かっています。しかし、政治組織と結合すれば社会変革が可能になります。
また、ISISの復活に対してもさらなる軍事活動が必要です。政権崩壊後、彼等の攻撃が劇的に増えています。カリフ制は打倒されたのですが、シリアの砂漠では複数の下部組織が今も活動しています。以前より活発で、兵士が逃げ出した旧政権の軍の倉庫を襲撃し、略奪しています。トルコが支援するイスラム主義グループもISISに新たな攻撃意欲を与え、シリアの不安定さとSDFの前線動員を利用して、活動を拡大しています。諜報機関は既にこれがもたらす脅威について注意喚起しています。現在、数千人のISIS戦闘員がSDFの統治する地域に拘束されているのですが、トルコは過去にISIS刑務所に隣接する警備施設を爆撃して、反乱や脱獄をさせようとし、成功した場合すらあります。そうなれば、シリアと中東だけでなく、全世界にとっても大惨事になるでしょう。
たとえ、こうした破滅的シナリオを避けられたとしても、革命の未来には大きな試練が待ち受けています。現在の暫定政府はトルコと密接な関係にあるため、交渉はいかなるものでも非常に困難なものとなり、多くの点で屈辱的な条件を突き付けられるでしょう。トルコはシリアを侵略する大軍を準備しています。つまり、自治政府は一歩間違えれば容易に壊滅しかねない途を進んでいるのです。従って、これは存在と消滅の岐路であり、新たなシリアに存在する権利を巡る闘争が進行中なのです。
DAANESは、存続を認めさせるために重要な譲歩をしなければならないでしょうが、一方で、一定の自治を可能にする連邦制モデルを推進しなければなりません。多くのマイノリティや世俗的グループは容易くDAANESの政治的提案に合意できると考えるでしょうが、いかなるものであれ外部から支援があれば、HTSの権威主義路線は活性化するでしょう。つまり、トルコが介入してHTSと取引すればするほど、国際社会がHTSの暫定政府を正当化すればするほど、革命が外交交渉の場で良好な合意に達することは難しくなるのです。他方、他のマイノリティ、他の革命グループと世俗グループ、そして特に女性組織が、DAANESの政治プロジェクトに合意して反撃すればするほど、民主的で分権化されたシリアに向けた交渉で私達はより大きな力を持つことになります。
ただもちろん、最も重要なのは、民衆が地域コミューンと地方評議会を組織し続け、どのような形態の国家がやって来ようとも、民衆権力をより強力にし、国家の干渉に抵抗できるようにすることです。私達には、国際的革命家として、このプロセスを支援し、この革命の成果を防衛する責任があります。しかしまた、アナキストとして、国政術政治に対して批判的な声を常に上げ続けねばなりません。この政治は、議会政治を模倣し、草の根組織化から遠ざかることで、民衆から主体性を排除します。ここでの数年を経て、私達も、物質的諸条件に関する現地の実情と折り合いをつけねばなりません。トルコによる軍事占領は、これまで達成してきた重要な歩みにとって壊滅的なものになると承知しています。イデオロギー的教条主義は理論書で読めば格好良いかもしれませんが、ロジャヴァがこれまで上手く行ったのは、ある程度まで、クルド解放運動の実際的柔軟性のおかげでもあります。私達には自分達のイデオロギー方針がありますが、同時に、ここで起きていることから学べる重要な教訓も数多くあるのです。
6.2018年1月20日に、アフリーン郡は軍事攻撃の後にファシスト゠トルコ政府軍に占領され、奪取されました。「シリア民主軍」はこの郡を奪還し、解放する計画をしていますか?
SDFは常にアフリーンへ戻る意向を表明してきました。もちろん、現在進行中の情勢を考えれば、この意向はこれまで以上に重要です。アフリーンからの難民の多くはシェバ地域の難民キャンプに住んでいました。この地域は、トルコの代理軍が最近の攻撃で占領しました。10万人以上がトルコの爆撃とジハード主義傭兵から再び逃げねばならなくなり、新たな人道的危機を引き起こしています。彼等はアフリーン出身で、SDFが領土を解放して故郷に戻るのを待っています。また、アフリーン解放軍が6年以上にわたり占領に対する叛乱行動を行い、トルコ軍基地を攻撃し、占領軍の司令官を打倒してきたことも述べておかねばなりません。最近の出来事に伴い、HTS暫定政府との交渉で自治政府の外交機関が提示した条件の一つは、全ての国内避難民を故郷に戻すことです。もちろん、ここにはアフリーンが含まれています。周知のとおり、トルコが善意から占領を撤回することなどないでしょうし、恐らく武力行使が必要となるでしょう。SDFは現在、多くの戦線で邁進しています。北部・東部シリアの革命的発展が生き残れるようにすべく、4次元チェスをしているのです。アフリーン解放の諸条件が熟せば、間違いなく、SDFはそれを実現するためにあらゆる機会を得ようと努めるはずです。
7.世界中にいるリバータリアン個々人とアナキスト組合が、この地域の革命プロセスに参加し、この革命との連帯を示すにはどうすればよいのでしょうか?
できることはたくさんあります。私達は既に最近の声明「私達は新しい世界を胸に抱いている」(拙訳)で、幾つかその例を挙げました。しかし、革命を支援するこれら全ての重要な(そして実際的な)方法の他に、注意を向けていただきたい別の要素があります。
アナキストとして、私達は理解しています。万人が自由になるまで私達は自由ではなく、従って、シリアでの革命プロセスも、世界中の他の多くの革命プロセスと調和していなければ、存続できないでしょう。世界が明日変わることはないし、数年後も、恐らくは私達が生きている間でさえも、変わらないでしょう。家父長制を廃絶し、資本主義を打倒し、国家を衰退させる真の革命プロセスには長い時間が必要です。また、そのために戦う準備ができている世界規模の革命運動も必要となります。こうした運動を構築するのが私達の責務であり、そのために、お互いに耳を傾け合い、お互いを理解し合い、革命の夢に向けて同盟を築かねばなりません。また、過去の経験から学び、闘争に奮闘し、その中で命を捧げさえした人々を思い起こさねばなりません。私達が今日あるのは、彼等の努力と犠牲のおかげだからです。その意味で、ダマスカス出身のアナキスト、オマール゠アジズを思い出すよう呼び掛けます。彼は人生を闘争に捧げ、政権下の刑務所で苦難と拷問に苦しんだ後、命を落としました。私達は、彼の遺産と共に、ここで命を落とした他の多くのアナキスト同志達を称えます。殉難者シワン゠フィラン・殉難者デムハット゠ゴールドマン・殉難者カワ゠アメッド・殉難者シャヒン゠フセイニ・殉難者シェフゲル゠アラ゠マフノ・殉難者ヘーリーン゠ケレチョクス・殉難者シャヒン゠ケレチョクス・殉難者テコシェル゠ピリング・殉難者エレフテリア゠ハンビー。彼等は、この革命の隊列に加わり、故郷に帰れなくなったアナキスト革命家の一部に過ぎません。彼等の記憶は私達の心に今も生きています。私達は、この革命に命を捧げた全ての人と共に、彼等を思い出します。革命的挨拶を!
この度は、アナキズム時代連盟のインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。
1つの世界、1つの闘争!
自由のために!命のために!