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パキスタンの洪水:WSF-IWAによる世界規模の救援活動

原文:https://libcom.org/article/pakistan-floods-anarchist-global-relief-effort-wsf-iwa
原文掲載日:2022年9月25日

労働者連帯連盟(WSF)、アナルコサンジカリズムの国際労働者連盟(IWA)パキスタン支部は、現在、気候変動が引き起こした大洪水の被害に遭ったコミュニティの救援活動を行っている。

2022年を通じて、パキスタンは異常なまでに強烈な熱波に襲われ、5月には気温が50度を超えた。パキスタンには7千人以上の氷河があり、この数は極地に匹敵する(原註1)。南アジアの多くに影響を与えた高温は、氷河を溶かし、氷ダムの決壊と決壊洪水を引き起こした。決壊洪水は、支流を伝ってパキスタン最大の川であるインダス川などの本流へ流れ込み、堤防を決壊させた。最終的に鉄砲水が発生し、6月に始まった記録的モンスーン雨によってさらに深刻になった。資本主義が引き起こした膨大な気候崩壊事例リストにパキスタンの事例は追加されるだろう。

現在まで、パキスタンの2/3の地域が洪水の影響を受け、2百万エーカーの農地が破壊され、1500人以上が死亡し、3300万人が立ち退きを余儀なくされた(原註2)。ユニセフは、1600万の子供が影響を受けているとしている(原註3)。合理的な推定は全て、現在パキスタンでは、数百万人が栄養失調と感染症、特に水を媒介として引き起こされる病気にかかる可能性があると示している。

この事態に対して、8月23日、2020年5月にアナルコサンジカリズムの国際労働者連盟(IWA)パキスタン支部として創設された労働者連帯連盟は、緊急災害救援基金を創設し、洪水に影響を受けた地域に食料の配給を始めた(原註4)。バローチスターン州で支援物資を配給していたメンバーで洪水によって家を失った者がいた(原註5)が、それでも彼等は当該地域の家族に200食以上を配り続けていた(原註6)。それ以来、彼等の救援活動は、世界中のアナキストの支援を受けながら、バローチスターン州とシンド州で現在も続く洪水に影響されている数千人への直接的災害救援支援を行っている。これは、並外れた相互扶助の、国境を越えた驚くべき連帯の物語である。9月4日、WSFはカラチに洪水救援キャンプを設立し(原註7)、必要としている人に物資と現金を配給した(原註8)。9月10日、バローチスターン州でWSFは洪水で家を失った人々にテントを提供した。9月13日、WSFメンバーはシンド州ダドゥ地区の人々に食料配給を始めた。浸水地域をボートで移動しながら(原註9)、105家族に食料を渡した(原註10)。9月18日、WSFはバローチスターン州で食糧配給を行うだけでなく、数日中にテント・蚊帳・乳幼児ケアの提供も始めることにした(原註11)。9月25日、WSFは浄水タンクを設置し、食糧を配った(原註12)。この原稿を書いている時点でも、彼等の活動は続いている。

大災害が起こると、国家と資本はなくなり、コミュニティが自活せざるを得なくなり、人々は生き延びるために自分達で組織を作る。災害コミュニティの自主組織は、ある程度まで、分権型組織・資源の社会化・相互扶助・協力というアナキズム諸原則を体現する。これらの原則が災害時に前面に現れるのは、生存可能性を最大にするために最適な選択肢だからだが、同時に、これらは資本と国家の論理に反する方策でもある。国家と資本は遅かれ早かれ失われた領土を取り戻そうとする。それを防ぐのが、大規模で武装したアナキスト組織である。

WSF-IWAの活動はこれまでのアナキズム実践の中でも最重要で最も英雄的な実例の一つである。特に、WSFは設立から2年しか経っていないことを考えれば、驚異的なことなのだ。

WSFの救援活動を支援するために寄付をお願いします:https://www.paypal.com/pools/c/8NfSnN0RXl原註13