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シリア戦争再燃、自由ロジャヴァで緊急事態

原文:https://freedomnews.org.uk/2024/12/03/free-rojava-fights-for-survival-amid-chaos-of-reignited-war/
原文掲載日:2024年12月3日
著者:ブレードランナー

クルド自治闘争は、地方や地域の諸権力の縺れが新たな局面を迎える中、競合する利害関係の板挟みになっている。

昨日(12月2日)、人民民主会議がロジャヴァで開催され、シリアでの戦争再開に評価を下し、民主的自治行政区への攻撃に備える計画をした。声明によれば、政治情勢を評価すべく大衆集会が開催される。そして、全ての町・都市・州だけでなく国境検問所にも緊急委員会を設置し、シリアの他の地域から来る難民を受け入れる。

先週、ハイアト゠タハリール゠アル‐シャーム(HTS)が主導し、トルコの支援を受けたISISグループのシリア国民軍(SNA)・ファテ゠ムビン(「軍事作戦司令部」)を含むジハード主義反体制派連合が、シリア北西部のアサド政権に対する奇襲攻撃を開始し、数年ぶりに内戦が再燃した。こうした勢力は難なく前進し、シリア第2の都市アレッポを制圧し、シリア第4の都市ハマの郊外に広がる大規模な土地を奪取した。

シリア政府軍は、イラクからやって来た親イランの民兵から支援を受け、反政府軍と対決すべく再編を始めている。シリア軍・ロシア軍・トルコ軍に支援され、複数の前線で空爆が行われている。その結果、民間人の死傷者と住民の避難を引き起こしている。米国主導の空爆も、イラン革命防衛隊の拠点に対しロジャヴァ南部の国境で行われている可能性が高い。

シリア民主軍(SDF)に属する部隊は、新アサド勢力とイラン民兵が支配する村落を奪還し、避難民を帰郷できるよう戦っている。ロジャヴァ人民防衛隊(YPG)と女性防衛部隊(YPJ)が率いる連合SDFは、この攻撃は、トルコ大統領エルドアンによるもので、ロジャヴァに妥協させようとしていると見なしている。シリア政権の撤退後、SDFはアレッポに進撃し、市内の国際空港を占拠した。

元ISIS戦闘員を含むHTSは、その後、衝突せずにSDFからこの空港を奪取した。HTSがSDFにアレッポからの安全な撤退を提案したと報じられているが、撤退の情況はまだ不明である。

地図はウイキペディアより。CC BY-SA 4.0

こうした発展が浮き彫りにしているのは、米国主導の代理戦争がもたらす幅広い帰結である。ガザとレバノンでのイスラエルの作戦、ロシアとウクライナの紛争だ。イスラエルの攻撃にイランは気を取られ、間接的にアサド政権を弱体化させた。北部シリアでトルコに支援された軍隊は、ロシアの軍事的焦点がウクライナに向いているのに付け込んでいる。

2018年、ロシア・イラン・トルコは、シリアの停戦を確保すべくアスタナ協定に署名した。この協定はシリア北西部のイドリブは「緊張緩和地帯」として設定された。しかし、トルコはこの地方を利用して、その地政学的目的を推進してきた。アレッポの北西60キロに位置し、以前はロジャヴァの一部だったアフリンで、トルコが支援する勢力は2018年以来支配を維持し、地域評議会とトルコ軍政という二重の権威下で原始的国家として機能している。SDFは、クルド人・アラブ人・シリア人・アッシリア人・アルメニア人・チェルケス人など、あらゆる民族グループに、ISISと連携する勢力とエルドアンの軍隊双方による攻撃に対抗する隊列に加わるよう呼び掛けている。

ロジャヴァは以前から抑圧的国家と原理主義勢力が支配する地域で自治を求めてきた。米国の優先順位の変化により、ロジャヴァはますます脆弱になっており、トランプの復帰はこの孤立を強め、クルド人勢力が不安定な同盟関係に追い込まれたり、アサドとエルドアンの脅威に同時に直面したりする可能性がある。ロジャヴァの未来は、直接民主主義・多元的自治・リバータリアン社会主義・エコロジー・フェミニズムといった価値観へのコミットメントを守りながら、地域的・国際的なパワーダイナミクスの舵取りをできるかどうかにかかっている。このプロジェクトの存続は、ますます危険になる地政学的様相の中で国際連帯を維持できるかどうかにかかっている。