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資本主義と戦争に反対

原文:https://libcom.org/article/against-capitalism-war(オリジナルは北アイルランドのアナルコサンジカリスト゠グループ「オーガナイズ!」>のニューズレター『ブラックスター』46号、2025年1月
原文掲載日:2025年1月11日

2025年だ。ガザでは依然として大量虐殺が行われている。イスラエルはレバノンも攻撃し、アサド政権崩壊を機に、ヘルモン山のシリア側を侵略・占領し続けている。ロシアはシリア沿岸部の軍事基地を維持し、米軍は北東部に駐留している。トルコはアサド政権崩壊に乗じて、シリア民主軍に対する新たな攻撃を再開した。ロシア・ウクライナ戦争は10年目に突入し、スーダン・ミャンマー・エチオピアは戦争で荒廃し続けている。これらは、世界で繰り広げられている50年近い戦争のほんの一部に過ぎない。

冷戦後の米国支配は、少なくとも中国によって挑戦されているとは言え、帝国主義諸国はグローバル資本主義体制における各自の立場を改善・維持しようと争っている。拡大する資本主義戦争にどのように対抗できるのだろうか?ナショナリズムも、「自」国の権力者・富裕層を擁護することも、解決策ではない。ナショナリズムはあらゆる資本主義戦争に労働者階級を動員する基盤であり、あらゆる資本主義戦争は、富裕層の利益のために殺し・殺され・障がいを負い・犠牲になるべく私達が互いに対立するよう求めているのだ。

世界中の資本主義戦争に対抗する最良の方法を判断する際、私達は認めねばならない。第二次世界大戦の終焉以来、資本主義的「平和」が労働者階級をほぼ間違いなく以前よりも弱体化させてきた。つまり、私達は理想的な情況から出発しているのではないのだ。私達は、世界中の戦争から逃れてきた脱走兵と難民を支援し、地元のナショナリスト感情が彼等に向けられることを拒否する。私達は、軍需産業機構に対して妨害工作を行った人達・兵役を拒否した人達を称賛する。だが、それだけでは不充分だ。前例のない規模のグローバル紛争があるのなら、前例のない規模の革命的階級組織が必要だ。しかし、革命的労働者階級は未だこの挑戦に対する準備ができていない。

ハッキリさせねばならない。戦争への飽くなき衝動を持つこの資本主義世界体制で、私達は帝国主義と軍国主義に対する反対を普及させねばならないのだ。「正当な資本主義戦争」などない。現実に戦争に反対する全般的反戦運動を構築しなければならないのだ!それができなければ、自分達を主人だと思い込んでいる一握りの人々の利益追求のために、私達は破滅の途を歩み続けることになる。戦争と軍国主義に対する闘争は、革命的労働者階級自主組織の刷新と手を携えて行われねばならない。私達がより良く組織されればされるほど、この地球上のあらゆる戦争を終わらせるために、私達の力を活用できるようになる。

戦争は資本主義システムに組み込まれている。それは、世界の資源を再分配し、「勝者」の間で資源を物理的に切り分ける手段である。明確にしておこう。誰が勝とうとも、労働者階級が勝者になることはない。私達は必ず負ける。経済が不安定で流動的な時代には、国家は戦争を激化させる。軍事的解決策は、既に富と権力を持つ者の権力と富を強化・防衛・拡大するための望ましい選択肢になる。

1922年(当然ながら、アナルコサンジカリスト運動が私達の階級の大多数を組織していた)、国際労働者協会の創立宣言には、以下に示す「戦争と軍国主義」という項目が含まれている。それは、100年以上経った今も、軍国主義と戦争に真剣に反対しようとしている人々に思索の糧を与えてくれる:

戦争と軍国主義

軍国主義とは、国家的搾取の舞台を防衛・拡大し(防衛戦争・侵略戦争)、新たな搾取の舞台を統制し(植民地戦争)、反抗的な人民大衆(ストライキ・騒乱・暴動)を厳しく取り締まることを目的とする独占的国家暴力システムである。

いかなる場合であれ、その目的は支配階級、すなわちプロレタリア階級の敵の階級の利益を維持し、増大することにある。

軍国主義は、労働者階級を支配下に置き、自由を求める闘争を封じ込める際に、ブルジョア階級が思い通りに使える最後にして最強の手段なのだ。

民族闘争や解放闘争の中で新たな軍国主義が形成されたあらゆる場所で(ロシア・中国)、それは労働者自身に跳ね返ってきた。何故なら、本質的に軍国主義は、特権階級の利益のために大衆を弾圧する道具であり、あらゆる自由に敵対しないではいられないからだ。

従って、労働者階級の根本的課題は、現在の資本主義的物質主義と戦うだけでなく、軍国主義そのものを廃絶することでもある。軍国主義と戦う最良の手段は、反軍国主義メンタリティに最も相応しいものとなろう。

何よりも重要なのは、積極的なプロパガンダによって軍国主義・規律・服従の心理を打破し、兵士を教育し、軍の基盤を弱体化させ、労働者に対する効力を失わせることである。義勇軍・白軍・ファシスト軍などは、平時であってもボイコットの対象としなければならない。

軍隊のほとんどは労働者で構成されており、現在の近代戦テクノロジーは完全に軍需産業に依存している。従って、労働者は、たとえ軍事行動を行っているのが白軍だったとしても、兵役拒否・ストライキ・妨害工作・ボイコットによってあらゆる軍国主義活動を停止させる力を有しているのである。

こうした大衆行動の基礎を今ここで築く最良の方法は、個々人の兵役拒否であり、組織化されたプロレタリア階級による兵器製造の拒否である。

何より、その目的は新たな戦争勃発の阻止であり、そのために、現在の社会秩序の経済的変革(社会革命)をもたらすことで、戦争と軍国主義の主要原因を追放することなのである。

従って、大会は全てのIWA加盟組織に以下を要請する:

  1. 現実的な手段で、即効性を持って、戦争物資の製造拒否を広めること。

  2. 兵器工場や兵器工場に転じそうな企業にいる労働者を次のように説得すること。労働者階級にはストライキの脅威で戦争の脅威に応え、戦争物資とその製造に使われ得るあらゆる資材とを押収し、工場を資本主義にとって無用のものにする義務があるのだ。

  3. 加盟組織は、可能な場所なら何処ででも、ゼネスト委員会を設置しなければならない。その課題は、工場を押収・保持する方法・手段、そして資本家に再び奪取される危機に陥った場合に工場を破壊する方法・手段を検討することとなろう。また、国家組織の中枢を掌握する方法・手段も子細に検討しなければならない。つまり、鉄道センターと鉄道路線・鉱山・発電所・郵便と電信・配水地点・公共医療サービスと医薬品である。彼等はブルジョア階級・政治家・聖職者・銀行家の中から人質を取らねばならない。

つまり、労働者は蜂起主義的ゼネストを革命の成功に転じるべく、全力で取り組まねばならないのである。