「笑いながら怒る!お笑い維新劇場」西谷文和・佐高信著
「笑いながら怒る!お笑い維新劇場」西谷文和・佐高信著・平凡社新書2024年8月発行
著者の佐高は1945年生まれの辛口評論家、西谷は1960年生まれフリージャーナリスト。
自民党は総裁選で石破内閣が成立。裏金問題で衆議院を解散した。自民党同様、維新の評判も良くない。維新選出の議員の不祥事は多い。
本書は二人の著者が維新不祥事ワースト10を巻頭と巻末に挙げている。共通してあげているのが吉村洋文、松井一郎、橋下徹らの創業者たち。本書発売後の兵庫県斎藤元彦知事が抜けているのが残念である。不祥事でも自民党を補完している。
維新の会は行政改革をキャッチフレーズにした政党である。そこにあるのは上から目線による主流派的支配を目指す権力志向がちらつく。この政党は反主流派を排除する志向が強い。
かつて「自民党をぶっ壊せ」と言った小泉純一郎と同じ志向形態である。小泉は自民党ではなく、当時の自民党の最大派閥・竹下派をつぶそうとしただけ。自民党の主流派になるのが目的。その意味で維新と共通点がある。
維新の「改革」も権力獲得の手段であって、目的ではない。行政改革も一種の政策ポピュリズムである。今回の総選挙各党主張もポピュリズム的政策が多い。選挙ゆえやむ得ないが、誰のため、何のための政策か?わかりにくい。
日本の政党に抜けているのは将来の国家構想ではないか?それは昔の日本を取り戻す的国家構想でなく、新しい日本獲得の国家構想でなくてはならない。その意味で石橋湛山「小日本主義」はもう一度見直されても良いだろう。