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「ペスト」アルペール・カミュ著

「ペスト」アルペール・カミュ著・新潮文庫1969年10月発行

コロナ騒ぎでアルペール・カミュの小説「ペスト」が人気らしい。
若い頃、カミュ「反抗的人間」のサルトル論争を読んだ記憶がある。当時は難しく、さっぱり意味が解からなかった。

「ペスト」はアルジェリア・オラン市で起きた流行病ペストをめぐって、医者リウー、下級役人グラン、新聞記者ランベール、密売犯罪者コタール、よそ者タルーらが保健隊を結成して市民を守る物語。

最終的にペスト抑え込みに成功する。しかしよそ者タルーはペストで死亡、犯罪者コタールは逮捕、医師リウーの療養中の妻は病死して物語は終わる。

家族を失い、病気に恐怖する子供に対してパヌルー神父は言う。「病気は信仰なき人間の罪の結果、受け入れるべき」と・・・人間の不条理・・・
医師リウーは神父に反論する。「人間の悪とは無知だ」と・・・

子供もペストに罹り、死亡する。パヌルー神父は哀しみのなかで今までの考え方を変更する。神父もやがてペストに罹り、死亡する。

当初、新聞記者ランベールはペスト流行のラン市からパリの妻の所に逃亡を図るが、医師の説得で保健隊の活動に協力する。医師リウーとよそ者タルーとの連帯と友情。医師リウーは言う。「ペストと戦うのに唯一必要なものは誠実だ」と・・・

カミュ自身、新聞記者の経験がある。反ナチス運動の抵抗組織の記者となって取材活動している。そこで見たのは正義の名の殺し合い。1947年「ペスト」を発表、1957年ノーベル文学賞受賞、1970年45歳の若さで自動車事故で死亡。

最近、首相会見で新聞記者の対応が話題である。
中島岳志は言う。空気を読めない「子供」望月衣塑子氏が「王様は裸だ」だと言って、初めてみんなが大騒ぎとなったと・・・。

カミュ同様、まさに「人間の悪とは無知」であり、リーダーに必要なのは「誠実さ」だ。

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