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「わたくし生活保護をうけられますか」三木ひとみ著

「わたくし生活保護をうけられますか」三木ひとみ著・ペンコム2024年10月発行

著者は1981年生まれ、特定行政書士・行政書士法人ひとみ綜合法務事務所所属。生活保護サポート専門行政書士「サポートは1日たりとも休んではいけない」開設以来24時間365日年中無休で生活保護相談にあたる。申請サポート10,000件以上を有する。

著者はシングルマザーで生活困窮に陥り、その経験から困窮者、弱者救済の生活保護申請専門の行政書士事務所を開設する。本書は、著者の豊富な経験、事例による生活保護申請、決定までのガイドブックである。

2023年現在、生活保護受給者は200万人超、165万世帯にのぼる。コロナ禍失業で申請件数は25万件、前年比7.6%増加、しかし保護決定数は横ばい、水際作戦で受給者数抑制傾向にある。不正受給防止で審査を厳格化しているが、不正受給はたったの0.29%、金額は知れている。

憲法25条は「国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む生存権」を保障する。生活保護法4条1項は「保護は、生活困窮者が利用可能な資産、能力その他あらゆる生活維持のために活用することが要件」と規定し、抑制する。

役所窓口担当者は勤労の義務を主張「保護申請する前にまず働け」と指導する。憲法にも第28条に勤労の権利と義務がある。ゆえに本来受給されるべき多くの人が申請を断念し、申請すらさせない。相談件数に対する申請率は30%を切る。申請に対する認可率は90%超と異常な数値となっている。

「働かざる者、食うべからず」日本人道徳観が日本の社会保障制度を使いにくくさせている。本来、保護受給できる人が受給されていない。生きにくい時代でもある。

生活保護者と刑務所拘禁犯罪者は似ている。本来は生活改善、更生が目的の制度がその状態から抜け出せなくさせている。制度目的が差別思考、断絶によって歪められている。制度を根本から見直す必要がある。即ち「稼働能力」とは何かを問うべきである。

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