![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/77274870/rectangle_large_type_2_7d89deb47f992a28bbda6788095da924.jpg?width=1200)
孤独と芸術 3
教育実習生との対話
私が研究に行き詰まっているとき、たまたまお話しする機会のあった教育実習生の方と「なぜ芸術家は病むのか」という議論をしていた。そのときに興味深いお話しが伺えたので、ここに記しておく。ちなみに、彼はピアニストだ。
「同じ音楽家でも、病むのは作曲家が多くて、演奏家は案外ケロッとしている気がする。演奏家は何よりも表現力、スキルが求められるから、常に他の演奏家と競争していて、プレッシャーも大きい。反対に作曲家はある程度のレベルまで達せれば、何が正解か、なんてものはなく、『みんな違ってみんな良い』の世界になる。だけど、僕はピアノを弾くこと自体が自己表現だから、日頃の鬱憤や悔しさを、演奏によって発散しているような気がする。その点、自分の手で何かを生み出す人たちは常に自分とは何か、自分の中にあるものから目を逸らさずに見つめ続けないと自己表現ができないから、自己の向かう先が演奏家が外側なのに対して、作曲家は内側に向いている。それが、君のいう、原意識へのアクセスなのかもしれないね。」