「しーぶん」文化
小学生のころは、日々の買い物は市場や個人商店でしていました。スーパーもありましたが、ちょっとおすましな買い物、という印象で、
市場・個人商店 < スーパー < デパート
という明確な序列があったように思います。
母が何か買い忘れたりしたときは、買い物かごと、財布と、メモを渡されて、おつかいに送り出されました。
買い物かごの底が地面に擦れてしまわないように気をつけて持ちながら、お店に向かいます。お金を持っているというだけで、妙に緊張し、不自然な歩き方をしながら、近所のお店に。
お店の人は小学生の私に優しく、母のメモを見ながら、必要なものをかごに入れてくれます。支払いも済ませて、ほっとしていると、ちゃちゃっと薄紙に何かを包んで、そっとかごに入れてくれることもありました。「おつかいがんばったね」と言いながら。
そんなおまけがとてもうれしかったのを覚えています。
ちなみに、惣菜屋さんは、なぜかいつも売り物ではないカンロ飴でした。店番のおばさんのおやつかな、と思いながらありがたくいただきました。
ウチナーグチでは、おまけのことを「しーぶん」と言います。沖縄では、いろいろなお店でしーぶんをいただきます。びっくりしたのは、タンカン(みかんの一種)を宅配で送ろうとして、2kgの箱入りを農家さんで購入し、いざ宅配センターから送ろうとしたら、「重量オーバー」とのこと。ああ、しーぶん入れてくれたんだな、と思って、「2kgになるまで減らしてください。自分用に持って帰ります」と言ったら、何個だったか忘れましたが、相当量のお持ち帰りタンカンが生まれました。農家さんの愛を感じました。
もらってうれしかったしーぶんの思い出はありますか。