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「マッチングアプリってのは」

「なんだか中古車サイトを覗いて、良い車を探してるみたいだよな」

おっちゃんは、手を洗いながら言った。

仕事終わりに俺は手を洗う為に、給湯室へと向かう。
そこにいくと上司や他部署の人など、たいてい誰かいるのだ。
今回は勤務歴の長いおっちゃんが居て会話が弾み、話題がマッチングアプリの話になった。
どうやら息子さんが利用し始めたらしいのだが、
親の視点から見るとそう見える様だ。
妙に腑に落ちた俺は、おっちゃんと少しだけ下ネタで盛り上がり退勤した。

言われてみると、そうなのかもしれない。
一昔前は「年収が〜」とか「高身長で塩顔のイケメンで〜」とテレビで芸能人が言っていたが、
俺も昔は「やっぱり車はMTで〜」とか、「雪国だから4WDで、あと走行距離7万キロ以下で年式も…」とか言っていたのと同じなのかもしれない。

たまたまの縁か、条件に合う縁か。

どっちが幸せだとか、物差しで測れないなと感じた。





さて、ここからは俺の完全なる偏見による与太話だ。
「飛び込む勇気もないくせに偉そうに」と思って読んでほしい。
いや、読まなくてもいいや。マジで偏見だけだし。
でも、誰かを責めるつもりも咎めるつもりも無いのは分かってほしい。

白状しておくが、俺はマッチングアプリを使ったことがない。
マッチングアプリを扱った作品を趣味で書いたが、あれはネットの体験談やレビュー記事、それから友人の簡単な監修を経て書いたものだ。
恥ずかしながら、俺には飛び込む勇気がなかった…。

そもそもマッチングアプリ自体が合理的で、
そして矛盾で成り立ってる気がして好かない。
いや、好かないのでなくて怖いんだよな。

まず、システム自体が非常に合理的なんだよね。
プロフィールに年齢や写真などの情報を登録して、条件の合う人を探して一緒になる。
サービスによって違いはあれど、流れは大体同じだ。
この出会いから交際or結婚までのプロセスに一切の無駄がない。
いや、無さすぎる。『フォード生産方式』くらいに無駄が無い。
無さ過ぎてなんだか気味が悪いというか、
メッチャうまい話すぎるのだ。

そして矛盾という点だが、これで企業が潤っている点だ。
この手のアプリの登録や利用は基本的に無料だが、踏み入ったやり取りは有料会員になる必要がほとんどだ。
ここは真剣に交際してもらうためと考えれば多少は納得できるし、
悪用しようと画策している輩への牽制にもなるのかもしれない。
それで良縁成就が出来ればユーザーは大満足。

でも、企業から見れば大切なユーザーパトロンが二人も居なくなってしまう。

そうなると運営が大変になるから、あえて有料プランへと誘導させて、
有料プランにしたらちょっとだけ操作して、長く居てもらう…。
ユーザー側も、なかなかマッチングしないからとプロフィールを少しだけ盛りはじめていき、正直者は『なんかうまくいかん』と離れていく。
すると優秀なユーザー金づるだけが残り、企業も潤っていき…。






なーんてな!

そんなわけないよな!
冒頭の話以外は、俺の妄想に過ぎないからね。
何かデータがあるとか、そんなわけでもない。
そして誰かを貶めようとか、そういうわけで書いたわけでもない。
ただ、そう思っただけなので、気にしないでネ。




ふと気になって調べると、
どうやら既に似たような問題点を指摘している方が居ました。

詳しくはリンク先を読んだほうがいいんですが。
グレッグ・ロサルスキー氏曰く、構造的な欠陥と中古車市場の様な第三者による評価制度が必要と説いているようです。

何はともあれ、おっちゃんの息子さんやマッチングアプリ利用者の良縁成就を祈ってます…。

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