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音楽①レーベル≒VCになる……?

はじめまして。

株式会社いやされーの井上です。

いったいこの会社は何をしてる会社なの?

とよく聞かれます(笑)。

それもそのはず、食品分析、通販、カウンセリングそして音楽事業。。。

なんだこりゃ。

ってなりますよね。

でもいやされーのミッションは「人々を癒す」。手段は何でもいいんです。

このnoteのブログでは、「心」「食」「音楽」の3分野について、みなさまが面白いと思えるような記事をどんどん上げていくつもりです。

さて、今回は音楽の第一回目。レコードレーベルがほぼベンチャーキャピタルになる……ってなんのこっちゃ。

実はこれ、イギリスのリサーチ会社、MIDiA RESEARCHの記事の論旨。

英語は日常会話レベルなので、だいぶ苦戦しながら意訳してみました。

間違ってたらごめんなさい(苦笑)。

以下本文及び訳

Labels are going to become more like VCs than they probably want to be
音楽のレーベルは思った以上にベンチャーキャピタル化している

When you are in the midst of change it can be hard to actually see it. Right now, the music business is undergoing a consumption paradigm shift that is changing the culture and business of music. Streaming may be well established and maturing in many markets but the market impact will continue to accelerate as behaviours continue to evolve and bed in.
変革の渦中にいるとき、その全貌を認識することは難しい。まさに今、音楽ビジネスは消費分野におけるパラダイムシフトの真っただ中にあり、文化もビジネスも、変革の時を迎えているのだ。ストリーミングはもはや成熟し、確立したと言えるが、さらに定着し、進化し続けるにつれて、マーケットへの影響は加速し続けるであろう。

Whether it is the rise of catalogue or the decline of megahits, everywhere you look, the music landscape is changing. So it is only natural that the role of record labels is going to change too. They have already of course, but shifts like label services deals and JVs are not the destination, instead they are preliminary steps on what is going to be a truly transformational journey for labels.
カタログが増えようが、メガヒットが減ろうが、どこを見ても音楽の状況は変化している。したがって、音楽レーベルの役割が変化することもまた、当然と言える。もちろん、すでにレーベルは変化していると言えるが、取引そのもの(の変化)や共同企業体が目的地そのものではなく、真の変革への道程の、準備段階なのだ。

Record labels often like to compare themselves to venture capital (VC), taking risks, investing in talent and sharing in the upside of success. While that comparison is flawed, its relevance is going to increase, but not in the way many labels will like.
レコードレーベルは、自身をベンチャーキャピタルと比較することを好む場合がある。リスクを取ること、(これからの)才能への投資をすること、成果を分かち合うことなどを比べるのだ。思うに、その比較には欠陥がある。しかし、多くのレーベルはいい気がしないだろうが、この比較の妥当性は増しているのだ。

Firstly, where the comparison breaks down: VCs invest money early in a company’s life and then earn back if / when a company has a liquidity event (e.g., it sells, it IPOs, a new investor buys out earlier investors). But record labels invest and then take money immediately. As soon as the artist is generating royalties, the label is earning a return, it does not have to wait until some distant time in the future. What is more, even after the label no longer has an active relationship with the artist, it continues to earn. So a record label basically has a perpetual liquidity event. Which means its risk exposure is lower than a VC. Even if the artist flops, it will have recouped at least some of its outlay. VCs can be left with nothing if a start- up fails.
噛み砕くと、その「比較」の中身はとはこうだ。ベンチャーキャピタルの場合、設立当初の会社に投資し、流動性イベント【※訳注:保有株式等を現金化するなどの収益化イベントの経済用語】(例えば、会社の売却、株式の新規上場、新規の投資家が初期の投資家を買収した場合など)、が発生すれば、収益を上げる。しかし、レコードレーベルの場合は、投資をした直後に利益を上げうる。アーティストが印税を稼ぎ、レーベルが利益を得るのに時間はほとんど掛からない。レーベルとアーティストの関係性が希薄になっても、(レーベルから発表された音楽は)収益を得続ける。つまり、レコードレーベルは「流動性イベント」を半永久的に手にしているのだ。これは、露見されるリスクがベンチャーキャピタルよりも低いことを意味している。もし投資したアーティストが売れなかったとしても、その一部は回収しているだろう。ベンチャーキャピタルの場合、スタートアップ企業が失敗すれば何も残らないこともあるのだ。


Labels as VCs
レーベルのベンチャーキャピタル化

But where the label / VC analogy works best, is when looking at how the role of labels will evolve. VCs are typically earlier-stage investments so start-ups use VCs as launchpads for future success, a means to an end. Labels will likely have to start getting used to the same dynamic. Ever more artists are going their own way, launching their own apps, labels, using D2C sites. But the reason why record labels are around (despite artists being able to create their own virtual label from a vast choice of services - see chart) is that artists still need someone to build their audience (at least in most instances). The investment and A&R support help too, though those services can also be tapped into ad hoc from standalone companies.
しかしながら、レーベルとベンチャーキャピタルとの類推が最も効果的となるのは、レーベルのこれからの役割に焦点を当てたときなのだ。ベンチャーキャピタルは、一般的にスタートアップ企業の将来の成功のための「発射台」として、初期投資に利用される。レーベルもまた、同じような力学(訳注:音楽では「強弱」の意味で使われるdynamicをビジネス用語としても使っている秀逸な表現をうまく訳せません。。。)に慣れはじめる必要があるだろう。
アプリを使ったり、レーベルを立ちあげたり、D2Cサイトを使用したりするインディペンデント的なアーティストはますます増えている。それでもレコードレーベルが存在する理由は(アーティストが様々なサービスの選択肢の中から、独自のレーベルを作ることができるにも関わらず―チャート参照)、アーティストたちはまだ、ファン層を獲得するために、その仕組みづくりができる誰かを必要としているからです(少なくともほとんどの場合は)。
投資やA&R(訳注Artists and Repertoireの略。アーティストの発掘からコンセプト設計、販売戦略の組み立てなど、あらゆる面でアーティストをサポートする役職のこと)のサポートもファン層獲得に役立つ。それらのサービスは大手レーベルに属していない独立系企業からも受けられる。

This value chain dependency is what has helped labels to stay relevant despite dramatic industry shifts. But the next stage of this evolution will see a cohort of artists viewing labels as accelerators rather than long-term partners. They will use labels to establish their fan bases and then engage with them on their own terms, sometimes with labels, sometimes not. This is of course already beginning to happen, but it will become an established and increasingly standard career path.
このバリューチェーンへの依存は、音楽ビジネス業界が劇的に変化しているにも関わらず、レーベルがアーティストとの関連性(訳注:収益構造も含む)を維持させた。しかし、この進化の次の段階では、アーティストから見て、レーベルは「長期間のパートナー」というよりも、(まさにベンチャーキャピタルのように初期段階の)「加速器」となっていくだろう。
アーティストたちは、レーベルを使ってファンの基盤を獲得したうえで、彼ら独自のルールや条件で、ときにレーベルと共に、ときにレーベルを使わずに、ファンと深くかかわっていくだろう。

Major labels like to think of themselves in the business of creating superstars. But as the very nature of what a superstar is dilutes, more artists will simply see labels as a launch pad. Start-up Platoon positioned itself as an artist accelerator and was bought by Apple. In many respects it was ahead of its time, pioneering a model that labels will increasingly find themselves filling, even if it is not their preferred role.
メジャーレーベルは自身を「スーパースターを創造するもの」と捉えることに好意的だ。しかし、スーパースターそのものの本質が薄れ、より多くのアーティストはレーベルを単に「発射台」と見るだろう(スタートアップ企業におけるベンチャーキャピタルのように)。
まさにアーティストアクセラレータであったスタートアップ企業“PLATOON”(訳注:2016年に設立された、独自のA&Rサポートを強みとしていたスタートアップ企業)はアップルに買収された。多くの点で、時代の最先端であり、たとえ好ましくない役割だったとしても、レーベルが自分自身を満たすということに気付くモデルのパイオニアであった。

Labels as artist accelerators
レーベルは”アーティストアクセラレータ”に

The repercussions will be massive. Labels, especially majors, will often over invest early to establish an artist. The business model depends on recouping the investment on future earnings. But with ever more artists looking to retain their rights, the labels only have a finite window in which they can monetise those rights, unless they negotiate term extensions. What this means is that labels are becoming a utility for many artists, a stepping stone while their brands are built for them. Like it or loathe it, savvy, empowered artists will increasingly see labels as the launchpad for future independence, and in this respect, labels are becoming more like VCs than ever.
その影響は甚大と言える。レーベル、特にメジャーは、たびたびアーティストを売るために過剰投資をすることがあるが、このビジネスモデルは将来、投資した分以上の利益が回収できる前提の上に成り立っている。しかし、自分たちの権利(訳注:著作権、原盤権、演奏権など)を保持しようとするアーティストがどんどん増えているため、契約期間の延長を交渉して勝ちえない限り、投資分の回収、収益化の手段や見込みは限定的だ。これらの意味することは、多くのアーティストにとってレーベルは使い勝手のいいものになりつつあり、アーティストが自身をブランディングするための踏み台になりつつあるということである。好むと好まざるとに関わらず、知識があり、権限を与えられたアーティストはレーベルを独立するまでの「発射台」とみなすようになり、この点において、レーベルはこれまで以上にベンチャーキャピタル化していると言える。

As disruptive as this paradigm shift will be, record labels will find a way to adapt, just as they have to streaming, TikTok, label services, distribution etc. The difference here though is that this may represent a complete recalibration of the role that record labels play in the music industry value chain. This will mean a riskier, more limited role for labels, which in turn will make them more like VCs than they may be comfortable with. Turns out that modelling yourself on VCs can be a risky business in itself.

このパラダイムシフトは破壊的ではあるが、レコードレーベルはストリーミングやTikTok、独自のサービスや配信などのように、この状況に適合しうるビジネスモデルを見つけるだろう。ただし、ここでの明確な違いは、これまでのレコードレーベルが担ってきた音楽ビジネス業界のバリューチェーンとしての役割を、全く違うものに再構成する可能性があるということだ。これは、よりレーベルの役割が限定的でリスキーなものになることを意味する。これまでの「いい時代」であった頃よりも、もっとベンチャーキャピタル化するのだ。まとめると、ベンチャーキャピタルをモデル化することで、レーベルのビジネスはリスキーなものになる可能性があるということがわかった。


記事ここまで


と、いうわけで、もともとレコードレーベルはアーティストに対して強い立場だったし、売れるためにはメジャーと契約し続けなきゃいけないから、レーベルはアーティストが生み出す利益で半永久的に儲かるという夢のようなちゃりんちゃりんシステムだったわけですが。。。

もうこれからはこうはいかない!

世界ではインディペンデント……日本では「インディーズ」という和製英語で呼ばれてますが(私はこの呼び方が嫌いw)……のシェアはどんどん拡大中。レーベルもベンチャーキャピタルのように、初期投資の分のみで儲けなくてはならない新たな形に変革を余儀なくされてる、というわけなんです。

日本もこの波に乗ってほしいー!

参考:




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