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シュレッダー

時に危険の方から送出されるシグナルは、見逃してはならない。

私が初めてプログラマーとして就職した会社での話。

30代未経験を雇ってくれた会社だ。その一点においては今でも感謝しているが・・・元々、2年くらいで他へのステップアップを目論んでいた私を、たった半年でうつ、そして退職へと追い込んだ会社でもある。


ソフトウェアの開発では、バージョン管理システムというものを使う。ファイルの変更履歴(いつ、誰が、どのように)を管理するもので、特にチームでの開発にはなくてはならないものだ。現在はGitを使っているプロジェクトが多いと思う(ちょっと前までSubversionはわりと見かけたけど、最近はやや減っている気がする)
しかしその会社で使われていたのは「VSS」だった(2018年頃の話です。最終版は2005年?)

VSSとはMicrosoft社が扱っていた製品なのだが、現在VSSで検索すると、「Volume Shadow Copy Service」がヒットするようだ。しかし以前はVSSと言えば、「Visual Source Safe」であった。MSは黒歴史を自らの手で塗り替えたかったのかも知れない。

VSSを知らなかった私が、会社で使っていると聞いて検索し、最初に辿り着いたページ。そこから飛び出してきたのは、「Visual Source Shredder」なるワードだった。えっ?何?シュレッダー?一瞬目が点になったと同時に、私の頭の中を電気が走った。

「ここに長居をしてはいけない」


VSSは、複数人で使うにはあまりにも勝手が悪かった。確か、誰かがファイルを開いたら読み取り専用になって、他の人が触れなくなるような仕組みに近かったと思う。もし誰かが握ったまま帰ってしまったら、その人が出社するのを待つか、管理者権限で解除するかだ。

シュレッダーの異名も伊達ではない。複数人で使うとそこそこ壊れる。昔からのプロジェクトで使い続けているから使う、というのならまだわかるが、新規プロジェクトで使う意味がわからない。トップがGitの話題を避ける人だった(それってどうなのよ)から仕方ないのか?選択肢として後継のTFS採用を考える・・・って発想にもならないものなんだろうか・・・ならないか(実際にはライセンス云々の話もあるだろうからあまり勝手なことは言えないが)

結局その後、私は闇の中へ足を踏み入れることになるのだが、酷いことになる手前で逃げ出すことができた。これは、早い段階からVSSがシグナルを発信してくれていたからなのかも知れない。

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