褥瘡

今回のテーマは「褥瘡(床ずれ)」について。

普段、訪問リハビリの仕事をしているとよく直面する問題です。

基礎的なことを書きますので何かご参考になればと思います。

褥瘡

褥瘡の定義

「圧力、張力、剪断力の持続的作用により支持面と接触する身体の局所(圧迫点)に生じる阻血性の組織損傷や壊死のこと」

好発部位は仙骨や大転子などの骨の隆起部

予防が最も重要で必ず予防できるという考えのもと話を進めていく。

毛細血管は32mmhgの圧で閉塞すると言われています。
(文献によっては40mmhgというものもある)

30分以内に消失しない赤みを「持続性発赤」と言い、進行すると「白く退色しない発赤」(暗赤色の発赤で指で押しても赤色が消えず白くならない状態)へと変化します。

この時、皮膚の微少循環が障害され炎症が起きているので除圧など対策をする必要があります。

70mmhgの圧が1〜2時間続くと病理学的変化がみられやすいと言われています。

正常な人は通常一晩に20〜40回(1時間に2.5〜5回)寝返りをしていて自然と除圧されていますが、寝たきりの方は自分で寝返りができないので体位変換や福祉用具の使用、ポジショニングが重要になります。

体位変換、ポジショニング

体位変換は背臥位、側臥位や背上げ、足を高くするなどの方法があります。

2時間ごとが良いとされる文献もいくつかありますが、除圧の管理がしっかりできていれば2〜4時間に1回の体位変換でオッケーです。

体位変換は基本であり、最も重要ですが、この時のポジショニングで注意しなければならない点がいくつかあります。

①姿勢の捻れに注意する

まず、基本的な考え方として、安全で安楽な姿勢にすることです。そして、変に体幹部など捻れていたりするとアライメント異常をきたすリスクがあります。

クッションなどを上手に使ってアライメントを整えましょう。

②除圧とは浮かすことではなく、圧を分散すること

好発部位が背臥位であれば仙骨、後頭骨、踵、側臥位であれば大転子や腸骨などにできやすいです。

その部分を除圧しようとしてマットに当たらないようにポジショニングしてしまうと、浮かした部分は良いですが浮かしていない部分の圧が必然的に増え、新たな褥瘡のリスクとなります。

除圧の考え方としては局所に圧が集中しないよう分散させること、点ではなく面で支えることです。

意外と誤解している方も多く、また枕の高さなど頸部のところのポジショニングが不十分な方を臨床上見かけることが多いので注意してください。

③福祉用具を有効に使う

除圧するためには、マットレスやクッションをちゃんと使いましょう。

介護保険を使えば安くレンタルできたり、レンタルであれば劣化してきたときに新しいものと変えてもらうことが可能です。

素材もジェルタイプや低反発、エアーなどあり、それぞれに特徴があります。

自分で少しは動ける方はジェルタイプや低反発が選択されることが多く、自力では動けない方はエアータイプを選択することが多いです。

また、素材だけでなく型もいろいろとあります。同じエアータイプでも例えばマットレスなら端の方はエアーが入っていないので座位がとりやすくなるものなど。

使う際は専門の方に評価してもらい、その人に合ったタイプのものを選択しましょう。

まとめ

本当に基礎的なことをまとめましたがいかがでしたでしょうか?

褥瘡は作ってしまってからでは処置するのも大変ですし、治癒するまでにも時間がかかります。

そして、感染もしやすくなります。

もしあなたの周りに動いてない人、動けない人がいたら、褥瘡ができる前に対策をしてあげてください。

また、今回は主にポジショニングのことを中心に書きましたが、褥瘡管理に欠かせない因子として栄養面と精神面の問題もあるのでそちらへの配慮も忘れずにお願いします。

私自身、苦い経験をしたことがあります。

同じような経験をみなさんがしないことを願っています。

また、創傷治癒のメカニズムなどについても書きたいと思います。

今回はここまで。

お読みいただきありがとうございました。


感謝・謙虚・敬意
積土成山・知行合一
岩瀬 勝覚