知床観光船の水難事故 営業・経営について
直接の事故原因ではなく、会社の運営方針に欠落があったと見るニュースは多い。
◾️M&Aでノウハウの欠落
4年ほど前に会社経営権が、知床の海にも不案内で、船舶営業に疎い現在のオーナーに移り変わったとのことだ。
一般的に、日本各地で経営者が70才以上で、かつ後継者不足を抱えている会社か、100万社以上ある。つまりこれまで営々と築かれてきたノウハウが失われつつあるという問題が明るみに出た事件でもあると言える。
会社を買収した際、資産となるのはこの船会社が持つ船舶や知名度だけでなく、人材の専門知識も経済的価値をもつ。
ただ、昨年にベテランたちを次々に解雇したことで、そのノウハウが失われた、形だけで中身の伴わない営業形態となってしまったわけだ。
◾️コロナ禍による業界特有の事情
また、もう一つの問題は、コロナ禍にあって飲食宿泊などは、売上に大きな影響を受けたトップ2になり、無理な営業に走ってしまうケースがあるということだ
観光シーズンでもコロナ感染が広がり、旅行客が途絶えてしまった。せっかくの営業機会を逃したくない、顧客にも満足してもらいたい、といった想いが無理な航行に走ってしまったとも言われている。
◾️設備やそのメンテナンス不足
もう一つは、資金ショートのため、業者にメンテナンスを任せるということができていなかったということも指摘されている。
◯機関室やエンジン周りの点検
◯腐食防止のため甲板を入れ替え設置する亜鉛板
◯無線連絡様のアンテナ
◯衛星携帯
こういった営業の基幹部分にまでメンテナンスを怠っていた可能性があるとのことだ。
◾️閉鎖的なローカルの中で孤立
また、ローカルの小型船舶観光協会ではゴールデンウィークまで営業を待つ方針だったが、この会社だけ一足先に営業開始していた。
こういった孤立状態になっていたことも、天気や危険情報の共有、また事故後の連携が取れなかった要因でもある。
もし他の漁船や観光船が出ていれば、まだ救助された望みはあったのかもしれない。
◾️営業初日が1番危うい
もう一つは営業所日に事故を起こしたという点だ。
これも労災事故なども、新入社員の初日や経営者の久々の臨時仕事などで、重大な事故につながるケースが多い。
初日から本格稼働することがいかに危険か。この点もしっかり押さえなけれはならない。