FIREの象徴ステーションワゴン
若い頃、片岡義男の小説にハマりステーションワゴンに魅せられた。何しろステーションワゴンは特別な存在です。その居住性は抜群であり、移動もできればそこで快適に過ごすこともできる。最高の波に出会うために長い板を載せて海まで連れて行ってくれる。
現在も外国車勢はステーションワゴンが得意だけど、国産車では数えるほどしかない。しかもどのクルマも世界的に丸っこいシルエットになってしまった。空力学的に仕方ないのだろう。しかし現在のステーションワゴンでは片岡義男ワールドには到底辿り着くことはできないのです。
FIREしてから30年近く、スポーツカーから本格的4WDまで様々な車に乗ってきた。クルマで散財せず不動産投資をもっとしておけば良かったと今更思う。クルマは投資にはならないけど、せめて投資目線は持つようにしようと思っている。
昔、四万十の海で、白いボルボの940に乗った白髪のロングボーダーが颯爽と海に現れ、カッコ良すぎて痺れた。その時から20年、同じクルマを大阪の中古車屋で見つけるのです。相場から見ても激安のたった23万円のプライスタグをぶら下げて店の片隅に申し訳なさそうにたたずんでいました。
すぐに購入し、新車のjeepラングラーを売り払いました。そこから故障の頻発で苦労しっぱなし。でも、冷静に考えてみれば、26年年前の車をジーンズのようにガシガシ乗って、消耗品さえ交換していけばまだまだ走れる昔のボルボは、やっぱり噂に違わず丈夫であることは間違い無さそうです。
お金もですが心の余裕がないと乗れないクルマです。FIREした私にとって自由を満喫するための相棒が旧いカクカクのステーションワゴンなのです。そして気づいたら、私も白髪のロングボーダーになっていました。今日も当たり前のように片岡義男ワールドに浸りながら台風の波に乗りに行くのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?