「夜にしがみついて、朝で溶かして」ライナーノーツにはほど遠いけど、感想文を。
万華鏡のようだと思った。
万華鏡の中身は少しのビーズやガラス片。限られた物しか入っていないのに、クルッと回せば多くのキレイな模様を見せてくれる。
このアルバムも、根っこにはクリープハイプの4人しかいないのに、15曲が本当にたくさんの表情を持って色んな感情を引っ張り出してくれる。1曲だけを取り上げてみても、その中の新しい音に驚いたり、懐かしい感じがしたり、ドキッとしたり、切なくなったり。クルッと回した万華鏡のように、聴くたびにまわりの景色が変わっていくような感覚。
言葉遊びの散りばめられた歌詞が本当にすごい。尾崎さんの頭の中には一体どれほどの言葉たちが詰まっているのだろう。
「しらす」も可愛らしさに気を取られるけれど歌詞は奥深い。
そしてその歌詞たちに負けないメロディの素晴らしさ、曲の振り幅の大きさ、胸がギュっとなるくらいのアレンジのかっこよさ、美しいコーラス、これしかないだろうと思える曲順、「ナイトオンザプラネット」のため息が出るほど素敵な歌声。通して聴くとおなかいっぱいのようで、でも実はもっと聴きたい、もう一回聴こう、そう思わせてくれる。エンドレスでおかわりしてしまう。なんて素敵なアルバムなんだ。
彼らはいったいいくつ引き出しを持っているんだろう。どこからこんなに溢れ出てくるんだろう。緩んだネジの隙間からなのか。様々なチャレンジを、悩みながらもかっこよく、楽しく、初めてみたいなドキドキする仕上がりにできるクリープハイプは最高にかっこいい。
そして、CDとしてきちんと手元に残るということが何より嬉しい。ジャケットを手に取っては見つめ、抱きしめ、手触りを確かめ、CDをセットして音を流す。この一連の動作が愛おしい。このアルバムは「CDで聴く」ということが本当によく似合う。
魔法のように寄り添ってくれる。涙することを許してくれる。クスッと笑わせてくれる。たくさんの模様を見せてくれる。このアルバムを、ずっとずっと聴いていたい。
クリープハイプの音楽は、なんてことない日々に色をつけてくれる。このアルバムを含め、クリープハイプが届けてくれる音楽がとても素敵な宝物。
#クリープハイプ
#ことばのおべんきょう