見出し画像

#23 2つのBA -DX推進の実際-    【DX推進活動のリスクを見積る】

-PR-

前回

4つ挙げたDX推進戦略活動の内、2番目の「目的とする変革によってもたらされる顧客や社会の価値を想定する」をお送りしました。少し長くなりましたが、いかがだったでしょうか。今回は3番目「実行しようとするDX推進活動のリスクを見積る」について解説します。

リスク分析

リスク分析は、①リスクが発生したときDX推進活動に何が起きるか、②起きた結果によるDX推進活動への影響、③リスク発生の可能性の大小、④リスク発生のタイミングについて検討します。

まだ起きていないリスクを想定するのは難しいですが、「現状を知る」や「価値を想定する」作業で得た情報と、過去の経験から推測することは可能です。このピックアップしたリスクを一覧表にまとめます。

リスクの分類と評価

まず、想定したリスクを「制約条件」「前提条件」「依存関係」の3つのカテゴリに分類します。

  • 制約条件: DX推進活動に何らかの制限を付けるもので、原則的に変更できません。

  • 前提条件: DX推進活動を行う上で置かれた条件や決まり事で、場合によっては変更可能です。

  • 依存関係: DX推進活動の他の要素に影響されるまたは影響することで発生するリスクです。

これらの要素からリスクを具体的に想定し、一覧表にまとめます。

次に、リスクの程度を評価します。リスクは、獲得しようとする価値に対する負の影響の起こりやすさや、その影響が拡大する状況としても表されます。これらの条件をリスク一覧に属性として記載します。

さらに、想定したリスクを対策のパターンから3つに分類します。

  • リスク回避型: リスク発生時の影響が大きいため、全力で回避するよう計画します。

  • リスク中立型: リスクが発生しても損失に繋がる程度が低いとみなし、ある程度はリスクを受け入れます。

  • リスク愛好型: リスクは高いがリターンが大きいと判断し、積極的にリスクを受け入れます。

これらの属性もリスク一覧に記載します。

リスク対応の考え方

リスク対応行動には5つの基本的な考え方があります。

  1. リスクの存在を承知しながらDX推進で期待する効果を追求する

  2. リスク対策を行いながらDX推進で期待する効果を追求する

  3. リスクを上回る期待する効果を追求する

  4. リスクを意識し、期待する効果とのバランスをとりながら最適化する

  5. DX推進で得られる効果を諦める

多くの場合、②と④の組み合わせで実施しますが、状況によっては①や⑤を選択することも考慮します。

リスクとの付き合い

リスクは必ずしも発現するわけではありませんが、可能性のあるリスクを見過ごしてDX推進を行うのは無謀です。リスクが発現した場合の対策を事前に定めておくことは、リスクの影響を最小限に抑えるために有効です。

さらに、リスクの発現とその対策について記録しておくことで、次のプロジェクトに役立つ知見を得ることができます。

次回

次回はいよいよ、これまでご紹介してきた「DX戦略の策定」にかかる各アウトプットを基に、戦略をまとめ上げていきます。ご期待ください。

いいなと思ったら応援しよう!