#24 2つのBA -DX推進の実際- 【DX推進戦略を策定する】
前回は
DX推進の実行戦略を策定するために必要な4つの要素の3番目、「リスクを見積る」の考え方と手法をご紹介しました。いかがだったでしょうか?リスク管理の大切さはよく言われることですが、これをきちんとマネジメントするのは結構ハードルが高いものです。なぜなら、リスクが発現することを考えたくないという言霊心理と、リスクが発現しないかもしれないという希望的観測、発現した時の目先の対応に意識が向いて、計画通りに冷静な行動がとれないことなどがあります。
今回は
これまで見て来た3つの要素のアウトプットを「DX推進戦略」としてまとめるときの考え方についてご紹介します。
まとめるための材料は以下の4つです。
現状の理解
将来像の想定
リスクの評価
ステークホルダーに関する資料
これら4つの要素をまとめて戦略を考えるわけですが、通常ゴールに至るルート(戦略)は一つではありません。つまり可能性のある複数の戦略が存在し、それらの中から最も自社のビジネス環境に即し、現実的と思われる案を選択する必要があります。
DX推進戦略の策定
まず、なぜDX推進を図ろうとしているのかを明確にする必要があります。それは、現状の課題を解決するためです。この目的を、背景情報を含めたストーリーとして簡潔に表現することが重要です。例えば、「今年の第一四半期の商品Yの売上が、前年比で10%減少している。これは、他社が新たに発売した製品Zに搭載された機能が、顧客に受け入れられつつあるためとみられる。当社のYはその操作性が評価され根強い人気を保持しているが、現時点で何らかの手を打たないと売上減少が続く可能性が高いと判断しており、製品機能、マーケティング、デジタルチャネルの底上げ、新規チャネルの創造など抜本的なビジネス変革を行い、売上を20%増やす必要がある。」のように、現状の困りごと、その解決のために必要な規模感、結果目標などを文章として表します。
次に、考えられる複数の戦略の中から、もっとも自社にフィットしていると考えられるものを一つ選択します。このとき、なぜそれを選択したのかを、バックグラウンド情報を含め適切に説明することが重要です。要は、関係者全員の納得感がDX推進の成功のためには必要であり、そのためにリードする人は力を尽くすことになります。
さらに、リソース、チャネル、パートナー、活動、コスト、収益など、ビジネスとして必要な要素を戦略として表現します。これは、前回ご紹介したビジネスモデルキャンバス(BMC)で表現する必要のある「要素」と同じです。つまり、複数作成したBMCからもっとも妥当と判断したものを選び、その内容を詳細に記述したものが「DX推進戦略書」となります。
次回は
今回で「DX推進戦略を策定する」の最終回です。重要なので戦略立案のための4つの要素を再度上げておきます。
ビジネスを遂行する組織の現状を知る
目的とする変革によってもたらされる顧客や社会の価値を想定する
実行しようとするDX推進活動のリスクを見積る
全体を取りまとめて戦略を策定する
次回はDX推進活動の進め方について考えを進めて行きます。ご期待ください。
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