#20 2つのBA -番外編- 【DX推進7つの障壁】
DX推進における7つの典型的な障壁とその対処法
前回予告した、ビジネスアーキテクチャの重要な要素であるバリューストリーム・マップについて解説する前に、今回は番外編として、DX推進において立ちはだかる7つの典型的な障壁とその対処法について解説します。
1. DX推進の意味を理解していない
DX推進の意義が理解されない問題の場合、以下の3つのパターンが考えられます。
経営者がDXの本質を理解していない 予算やリソースの配分が不十分になり、活動が頓挫する可能性があります。デジタルツールの導入のみをDXと誤認し、真のDXの実現を妨げるケースもあります。
中間管理職がDXの本質を理解していない トップの意思に反して、「楽なDX」として体裁だけを整える形になる可能性があります。
現場の職員がDX推進の本質を理解していない なぜDXに取り組むのか、その結果どのようなメリットがあるのかを理解していないと、真剣に取り組むことが難しくなります。
対処法
DX推進の意義、目的、目標を明確にし、経営層から現場まで、全社員が共通認識を持つことが重要です。研修や説明会などを開催し、DX推進の重要性を理解してもらうための取り組みが必要です。
2. 目的や目標が明確でない
目的や目標が明確でないままDXを進めてしまうと、活動が破綻する可能性があります。DX推進の理由(背景)や結果として得られるもの(アウトカム)について、全社員が共通認識を持つことが重要です。
対処法:
DX推進プロジェクトの開始前に、目的や目標を明確にし、それを達成するための具体的な計画を策定する必要があります。KPIを設定し、進捗状況を定期的に確認することも重要です。
3. 不十分な実施体制
DX活動に必要な組織体制やスキルが不足している場合、DX推進が円滑に進みません。
対処法:
DX推進チームを編成し、責任者や担当者を明確にする必要があります。また、必要なスキルを特定し、社内で育成するか、外部から調達するかを検討する必要があります。
4. 不十分な計画
DX推進活動の計画が不十分な場合、活動が迷走する可能性があります。アジャイル型のマネジメントスタイルを取り入れつつ、具体的な計画を策定する必要があります。
対処法
DX推進プロジェクトのロードマップを作成し、各段階で何を達成する必要があるのかを明確にする必要があります。また、リスク管理計画も策定し、発生しうる問題に事前に対処できるようにしておくことが重要です。
5. 協力関係が築けていない
DX実行の結果に影響を受ける職員との協力関係が築けていない場合、DX推進は困難になります。
対処法
研修や説明会などを開催し、DX推進の目的や内容を共有する必要があります。また、定期的な意見交換会などを実施し、現場の声を吸い上げ、DX推進活動に反映させることも重要です。
6. コミュニケーション不足
ステークホルダー間のコミュニケーション不足は、状況理解の齟齬を生み、問題の早期発見を遅らせる可能性があります。
対処法
定期的な会議や報告会などを開催し、情報共有を密にする必要があります。また、コミュニケーションツールを活用し、いつでもどこでも情報共有できるようにすることも有効です。
7. 変化を拒否する心理的ハードル
変化を嫌う心理は誰にでもあります。DX推進には、この心理的ハードルを乗り越えるための取り組みが必要です。
対処法
変化を受け入れることに対するインセンティブを提供する、業務負荷を軽減する、例外処理を削減する、責任範囲を明確にする、問題発生時の対処ルールを明確にするなど、変化を受け入れやすくするための工夫が必要です。
まとめ
DX推進には、ここで挙げた7つの障壁以外にも、さまざまな課題が発生する可能性があります。しかし、これらの障壁の存在を認識し、事前に対策を検討しておくことで、トラブルを回避し、DX推進を成功に導くことができるはずです。
次回は、前回の続きとして「バリューストリーム・マップ」の作成について解説します。