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#11 2つのBA ーDX推進の実際➀ー

◆2つのBA 1

前回の振り返り
前回まで5回に渡って「DX推進計画」のポイントについて解説してきました。
まず以下の4つの重要ポイントをあげました。
1.ステークホルダーエンゲージメントを確保するための計画
2.DXの「動機」のタイプの違い(新規の創造/既存の進化)を認識した目的の明確化
3.共通の目的達成に向けて実施する複数の施策のマネジメント計画
4.「アジャイル型」アプローチによる計画
続いて、関連する3つのポイントを挙げました。
5.「DX推進活動」をコントロールするためのガバナンス計画
6.ビジネスに関する「情報」を管理するための方法論とルールの規定
7.「DX推進活動」の品質を向上するための施策の計画
以上7つの「計画」のポイントを意識した計画策定が必要になります。

2つのBA
では今回は「DX推進活動」の実際について、筆者の考えを述べて行きます。このNoteの富士山のヘッダーにあるように、本ブログは『2つのBA』をテーマにしています。これから述べる「DX推進活動」の実際は、この2つのBAの考え方や手法を基に進めて行きます。
この2つのBAは、それぞれ「ビジネスアナリシス」と「ビジネスアーキテクチャ」と言います。まずはこの2つの概要とそれぞれの関係について、解説いたします。

ビジネスアナリシス
ビジネスアナリシスは、組織のビジネス活動についての現状や将来状態の問題点を分析し課題を特定し課題解決のための具体的な方向性を策定する活動です。具体的には、以下の3つの要素を明確にします。

●  何を変革するのか(変革対象):現状のビジネスや想定するビジネスの将来像の問題点に基づき、変革が必要な要素を特定します。
●  何のために変革するのか(変革目的):変革によって実現したい目標や目的を明確にします。
●  どのように変革するのか(変革方法):目標達成のための具体的な方法や手段を検討します。

ビジネスアーキテクチャ
一方、ビジネスアーキテクチャは、ビジネス活動を行うための仕組みを設計する活動です。その活動は、現状のビジネス遂行の仕組やビジネスアナリシスが指し示す変革に必要な仕組みを考え、以下に上げる4つの主要要素と関連する6つの付随要素を詳細に検討し、変革実現の可能性を高めます。

主要要素
Capabilities: 組織が持つまたは持つ必要がある「能力」を特定します。
Value Streams: 顧客が獲得する「価値」を考え、それを実現する「価値創造の流れ」を明確にします。
Infomation: ビジネスに関連する「情報(要素)」を明確にします。④Organization: 組織の形や関係性を明確にします。
付随要素
Stakeholder:ビジネスやDX推進の活動に関係する人と役割りを特定します。
Policies:組織やビジネスに対する意義(理念)を明確にします。
Strategies:組織活動やビジネス活動のありかた(戦略)を策定します。
Products:ビジネスの中心となる製品やサービスを明確にします。
Initiatives:共通の目的を持つ様々なDX推進活動の集合を構造的に説明します。
Metrics:DX推進活動を評価するための指標を設定します。

「2つのBA」の関係
ビジネスアナリシスはビジネスの変革(チェンジ)を構想します。ビジネスアーキテクチャは変革の構想を実現するための最適な仕組み(設計図)を提供します。逆に、ビジネスアーキテクチャによって提供されるビジネス実行の仕組みから、変革に必要な課題を引き出すのがビジネスアナリシスとなります。このようにビジネスアナリシスとビジネスアーキテクチャは、車の両輪のように密接に関係しており、両者の連携によって、組織の変革を成功に導くことができます。

いかがでしたでしょうか。今回は実際の「DX推進活動」の詳細に切り込む前に、「2つのBA」とその関係について解説しました。次回から「DX推進活動」の実際について考えを進んて行くことにします。


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