#25 2つのBA -DX推進の実際- 【DX推進戦略を実行する➀】
前回は
DX推進戦略の策定における情報のまとめ方についてご紹介しました。今回は策定した戦略に従って、それをどう実現していくかについて考えて行きます。
戦略からイニシアチブへ
戦略策定に必要な4つの情報と+αの情報について前回ご紹介しました。
1.ビジネスを遂行する組織の現状を知る
2.目的とする変革によってもたらされる顧客や社会の価値を想定する
3.実行しようとするDX推進活動のリスクを見積る
4.全体を取りまとめて戦略を策定する
α.ステークホルダーの特徴を知る
これらの情報を元に戦略を策定したわけですが、これらから明確になることがありました。
1.現状を知る⇒ビジネス要求、ステークホルダー要求
2.価値を想定する⇒変革後のビジネス想定
3.リスクを見積る⇒効率的な投資のポイント
4.戦略を策定する⇒策定された戦略
α. ステークホルダー⇒戦略実行におけるマインドのバラツキ
また、戦略を実現する可能性のある複数の施策から、もっとも合理的であると判断したものを選定しました。
プロジェクトとプログラムマネジメント
この選定した施策を実現するため、幾つかのプロジェクトを企画することになります。ここでプロジェクトが複数なのはIT開発プロジェクトだけではなく、その成果物を実際に使えるようにするプロジェクト例えばシステム移行、システム運用、業務プロセス変更、ソリューション評価などのプロジェクトが必要になるからです。
プロジェクトマネジメントの世界ではプログラムという概念があります。ソフトウェアプログラミングのプログラムという意味ではなく、複数のプロジェクトを統合し、より大きな戦略目標を達成するための枠組みのことを意味します。先に上げたように、DX推進戦略を実現しようとすると複数の関連プロジェクトを上手く同期してマネジメントする必要があります。これをプログラムマネジメントと呼びます。
プログラムマネジメントは、戦略と連携し、複数のプロジェクトを統合し、長期的な視点で、プログラム全体の成果を追求(戦略を実現)し、複雑な状況を適切にマネジメントし、ステークホルダーと調整しながら進めることになります。つまり、プロジェクトマネジメントとは異なる視点が必要になる分野です。
アジャイルスタイルでの開発
ITソリューションを構築するには、大きく分けて2つの方法論があります。一つは「予測型」と呼ばれるウォーターフォール型開発手法、もう一つは「適応型」と呼ばれるアジャイル型開発です。
DX推進におけるITソリューションの開発には、いくつかの条件があります。DXは変革のための施策ですが、近年、社会の変化が急速かつ激しくなっていることが顕著です。そのため、個々のプロジェクトは長期的なスパンを想定せず、短期間で成果を上げ、それを積み重ねていくことが求められます。また、社会の変化に対応するため、施策の陳腐化などによる方針変更が必要になった場合に柔軟に対応できるのがアジャイル型開発です。ただし、施策の内容によっては、従来のウォーターフォール型開発が必要になる場合もあります。
次回は
ソリューション開発に必要な以下の4つの要求について、詳しく見て行くことにします。
・ビジネス要求
・ステークホルダー要求
・ソリューション要求
・移行要求
ソリューション開発はこれらの要求に対して、最適な答え提示し実現することが必要になります。ではご期待ください。