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#25 2つのBA -DX推進の実際-    【DX推進戦略を実行する②】

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前回は
 戦略を実行に移すための行動として、プログラムマネジメントとアジャイルスタイルでのアプローチについて解説しました。
 今回は「戦略を実行する」の第二弾、「4つの要求」について解説していきましょう。

4つの要求とは
 
おなじみ BABOK® で述べられている、適切なソリューションを検討するために必要な要求です。具体的には、以下の4つがあります。

  • ビジネス要求: 経営戦略やビジネス戦略などの企業の活動方針から導き出される、解決すべき問題や課題

  • ステークホルダー要求: 企業のビジネスに関わり活動する人が持つ、解決すべき問題や課題

  • ソリューション要求: 主に IT システムが持つ、解決すべき問題や課題ならびに期待

  • 移行要求: 上記3つの要求を果たすために実現したソリューションを、正しく運用するために求められる環境に関する条件

ビジネス要求

ビジネスの重要な方針から出てくるので、組織(経営者)から見ると最も重要な要求です。この要求を明確にするためには、いくつかの手順があります。

  1. 組織とビジネスの現状を知る: これはすでに説明しましたね。現状を知ることで、現時点での問題点や課題が浮かび上がってきます。

  2. 具体的な活動: 経営戦略や事業戦略の理解、その基礎となるビジネス環境(マーケット)の理解が必要です。経営者へのヒアリングやアンケートを通して、さらに理解を深めます。

  3. 将来の姿とギャップの明確化: ビジネス戦略を基に、近い将来のビジネスの姿を明確に想定し、現状とのギャップを測ります。

  4. 優先順位とロードマップ: 解消すべきギャップに優先順位を付け、解消のためのロードマップを描きます。

  5. 実行: ロードマップに従って、ギャップ解消作業を実行します。

ステークホルダー要求

 ビジネス要求が経営レベルから発せられるものであるのに対して、ステークホルダー要求はビジネスに関わる関係者(ステークホルダー)が感じている、解決すべき問題や課題です。例えば、業務プロセスのパフォーマンスが低い、部署間連携がうまくいっていない、無駄な会議が多すぎるなど、現場で働く当事者にとって解消が必要なものです。

 ビジネス要求に比べると重要度が低いように感じるかもしれませんが、企業全体のパフォーマンスを向上し、適切に維持するためには重要な要素です。

ステークホルダー要求を引き出す際は、対象者が多いのでグループディスカッションやアンケートなどを活用して効率的に行う必要があります。また、分野によっては対象者を選抜して深く知ることも必要になります。

いずれにしても、きめ細やかかつ大胆な引き出しと取りまとめが重要です。あまり細かいことにこだわったり、一部の声の大きい人に引っ張られたりしないようにしましょう。そのようなときは、個別の要求がビジネス要求と矛盾しないか、逆にビジネス要求の実現を助けることができるかがポイントになります。これを常に意識することは、非常に重要かつ難しい行動です。

次回は
 残り2つの要求について解説します。どうぞお楽しみに!



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