Baku
この三日間一睡もしていない。
眠ってはいけないのだ。眠ればアレが来る。恐ろしい。だが何が恐ろしいのかも思い出せない。とにかく恐ろしい。目を閉じることすら恐ろしい。眠りたくない。眠ってしまうとアレがgnkdz
「はっ!」
危ういところだった。一瞬の眠りに落ちる寸前で安田は激しく頭を振った。通行人が訝しげに彼を見るが、気に留めることもなく歩み去った。
深い隈を目元に刻んだ男がよろめきながら歩く。眠気が恐ろしい。よろめいて歩道の柵にぶつかった。
黒い男が目の前に立っている。
「お前の悪夢を食わせろ」
男はいきなり安田の顔を鷲掴みにすると、握りつぶさんとするかの如く凄まじい力を込めた。安田の悲鳴は男の手のひらに塞がれ、眠気と酸欠で意識が暗転した。
「やすだくぅぅぅぅん、どうしてたすけてくれなかったんだあああああああい」
違う、やめてくれ、俺のせいじゃない
「やすだくぅぅぅん」「やすだくぅぅぅん」
安田は絶叫した。
【続く】
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