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妖精の国からわたしの空へと

「ピーウィー、ピーウィー、お調子者が来たよ。お調子者がまた来たよ」
うるさい。
下校中にあたしの耳元で喋りだしたこの子は妖精(とあたしは呼んでいる)。姿も声もあたしにしか見えないし聞こえない。現れたのがこの歳になってからでよかった。子供の頃なら確実に周囲に話して、良くて不思議ちゃん悪ければ病気だと思われる。いや、今でもなお(医者のお墨付きを得たとはいえ)自分の正気をいまいち信じられないのだけど。
と、急にあたりが翳ったかと思うと、大粒の雨が降り出した。
ああ、これが“お調子者”。妖精の言は一事が万事こんな感じでまるで理解できない。そういえば昨日も通り雨があったっけ。屋内にいたから忘れていた。
「プラタルルル、行き先不明の花びらと折り畳んだせせらぎだよ」
また難題だ。この子が喋るのは常にあたしに対する何らかの警告で、それは推測不可能なことにまで及ぶ。だから少なくとも悪意が無いのはわかるのだけれど…

【続く】

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