ミュージカルのオーディション書類選考をしてて思うこと
どうも舞台演出家バックステージです。
普段は稽古場か劇場に居て演劇やミュージカルを作ってます。みなさんに舞台業界のリアルを伝えて行こう思って発信してます。
・今日のお話
今日のテーマは「舞台オーディションの書類選考攻略法」です。
どうしてそのテーマ?今ですね、将来的にやる作品のオーディション書類とかをみてるわけです。
ミュージカル村の住民票を作るみたいで楽しいです。新卒採用とか中途採用とかじゃなくて、制限なしの一括採用なので応募者のみなさんの成長やら、努力というのも見れて自分も頑張らなきゃとなりますね。
あと、別にこれはオーディション書類の受かり方みたいな放送にはしたくないなと思ってます、だってそういうの発信してる人って大抵ウソつきじゃないですか?・・・偏見です!笑
あるいは大抵は舞台業界に対して詳しくない人ほどやってるイメージがあります。本当に全然実情違いますので!(そんな自分が怪しい笑)
なので、今日は演劇やミュージカルのオーディションをどうやったらアップデートできるかを受験者側の目線、募集者側の目線で考察してみようと思います。
ただの今の仕事に関しての愚痴回とも言えますね・・・笑
いや改善策を考えよう回です笑
今日もよろしくお願い致します。
・結論はかっこつけないで素直になろうよ
結論としては「募集側はもっと募集対象を明確に、応募側はもっと自分の魅力を明確に」したら?って思います。
つまり、オーディションの目的を端的に言うと、募集側はこの作品に合うか?を考え、応募側はその作品に自分の魅力が合うか?を双方で確認し、合意できたら出演となります。だったらそこだけに集約したらいいのにって思って今回は発信しますね。
前提として、ある作品の書類選考の点だけに限定しますね。おそらく研修所とか芸能事務所とかのオーディションはまた種類が違うのでお気をつけください。
・募集対象が曖昧!
数多くの作品のオーディションをしている身として思うのが、募集対象が曖昧で応募者が何に応募してるのかが理解していないというのは感じますね。
今テキトーにネットで調べてみると
募集対象 男性18才から35才 歌、演技、ダンスに長けている人
・・・
いやざっくりだなーって思いません?主観でうまいと思ったら、誰でも応募できるし。人気作品だったらみんな応募しますよね。
基本的にオーディションする側は「血眼になって俳優を探してます」これは本当です。絶対理想キャストまで辿り着けません。スタッフ総動員でいろんな事務所の俳優たちを調べ、youtuberなども調べて常に人材を探してます。新生スターが現れたら業界は良いことだらけですから。
こういう曖昧な公募は養成所とか事務所さんのように長い間この人材を確保する意味でやったらいいのです。
作品単位で公募するなら、その作品にどういう人を求めてるかをもっと正確に提示すべきだと思ってます。
プリンシパルだったら、絶対どういうことを求めてるかわかるじゃないですか、どういう音域が必要で、どういうキャラクターになれるかを正確に書いてあげましょう。
アンサンブルでも、
アンサンブルA 女性、ソプラノ音域が出せる、踊りはジャズとシアター系を得意とする、身長は160cm前後が望ましく、舞台経験が5年以上ある、役は老婆の役もあり。
アンサンブルB 男性、大柄でバリトン、力持ちに見える人が望ましく、なおかつ踊りにキレがあるのが理想、怒鳴るセリフがあるのでオーディションで確認予定。
みたいに、オーディションで探しているポジション、そして応募者の見たいところを募集側が先に提示してあげればいいのにって思います。いきなりその場でお願いするのもありですけど、基本的に舞台の稽古でそんなことはないですからね。芸人さんとかのバラエティ番組のオーディションはそういうのが求められるのかもですが。
・自分の魅力を理解して一点突破したら?
一方、応募側はその作品の求めていることを予想や理解をして、そこに一点突破したらいいのにと感じてます。これ他の業種の人事の方も思ってるかもですが、応募者本人がアピールしたいところと企業が求めているスキルが全く違うと、どんなに能力高くても採用しづらいですよね。
プリンシパルの方々も「あたしはこういう歌い方できます!」っていう風に得意に歌い上げてーみたいに提示してくれるんですけど、いや作品への理解をされてないのでもったいないなーと思います。
僕は一緒に仕事したことある俳優さんが、能力あるのは知ってるのに、アピールの方向が違って失敗しちゃってるのをみたことがあってつらかったですね。
つい最近あったのが、すっごい真面目な芝居も得意なのに、最後に特技はありますか?と聞かれて最近モノマネができるようになりました、やってみてください、現場大ウケ、審査中「彼はどちらかというとコメディよりだからこのキャラクターには合わない」みたいな評価を受けちゃってました。シリアスな芝居してる作品もみたよって付け加えておきましたよ。危なかったなーあれ。(笑)
・ちゃんと書類を作れている人は少ないからチャンス!
間違ってるアピール書類ではすごく多くて。むしろちゃんとしたアピールしてる人が少なすぎる。書類フォーマットに沿って、高校大学とか書いてくれるのですが、何も意味ないですからね!学歴不問です。もちろん芸大とか音大とかだったらOKですよ。
あと、なんかのイベントや舞台に出たってのもよくわからないで、その作品でどういう役柄をやって、自分としてはこういうことが得意な俳優だと思ってる。みたいなことを明記してくれた方がよっぽど応募書類の情報として価値があると思います、
なんとかアイドルなんとかイベント地方公演出演
何やってたと絶対わからないですし、この作品と関係ないことは全部書かなくていいです。
つまり現状は、
募集側はなんとなく人を集めてその中から良い人をみつけたい
応募側は自分の全部をみてもらいどこかでひっかかったらいいなー
ていう状況です。
毎度毎度こういうすれ違いが舞台系のオーディションだと発生してると思うんです。
非常にコスパ悪い。
オーディションやったことがある人そう思いません?
なので、解決策として、お互いにもっと素直になって腹を割って、歩み寄りましょうよという提案です。
・キャスティングダイレクターのすすめ
海外だとね、この問題を解決してくれるポジションがあって、キャスティングディレクターという職業があるんです。一言でいうとスカウトですね。
これねー、将来的には日本にも導入したい制度なんですけど、
その作品にあった俳優を集めて、オーディションを実施してくれるディレクターがいるんです。報酬はどうやってペイされるかは契約次第ですけど、キャスティング専門に振り切ってるのであらゆる養成所の卒業公演やいろんな舞台を見ているプロのスカウトです。一度良い俳優を紹介できたら、その評価があがり、ミュージカル系をお願いするならあのキャスティングディレクターだなとか制作側も発注しやすくなると。
日本だと演出サイドと制作側がこのコストを支払ってるのでなかなかきついなと思いますね。
たまにオーディション料を求めるオーディションあるじゃないですか、個人的にね、個人的にですが、嫌いですね。だって何様だって思いますね。コストがかかるのは当たり前、それを軽減や回避する方法はこうやっていくらでもあるんですよ、でもそれを受験者に皺寄せをいかせるってのは、僕は、業界の敵だなって思います。
と、まあ暑くなってしまいましたが
今日はそんなところです、バックステージでした。
ではまたー
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