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④ DJ日記

20代の頃の話。いわゆるメインストリームにカテゴライズされるHIPHOPに飽きてしまって、別ジャンルなのだけどHIPHOPの匂いがするものを発掘するのが楽しくなった。

そんな中タワレコで「HIFANA」と言うブレイクビーツユニットに出会った。アルバムにはDVDが付いておりその中で彼らが演奏する「アサラト」と言う楽器に好奇心がピンコ立ちになった。「やってみたい…」民族楽器なのは分かるけど、どう言う原理で音が鳴ってるのかもよく分からない、初めて目にする楽器だった。民族楽器にアンテナを張り、生活をしている中ある日偶然、民族雑貨の店であの「アサラト」に出会い即座に購入した。だが、演奏方法が全く分からない。(当時はネットにもあまり情報がなかった)軽くいじけて次第にやる気がなくなり放置した。

ある日、DJでお呼ばれしたイベントに友人Hが、彼の幼馴染Jを連れて遊びに来てくれた。はじめましての挨拶をした時、Jの腰元に目線が釘付けになった。「アサラト」がぶら下がっていたのだ(下ネタみたいね)。「それどーやってやるの???」Jも始めたばかりだったが、持ち方、振り方、技のやり方を教えてくれた。Hもそのタイミングでどハマりした。以来いつでもどこでも「アサラト」を持ち歩いて、歩きながらとか車を運転しながらとか、とにかく鳴らしまくった。自分でビートを作るのが楽しくて仕方がなかった。

自分の人生のラッキーアイテムは「アサラト」だと断言できる。

ある日mixiで繋がったアサラト仲間との練習会の後、夜の大通公園で車座になってセッションしていると、ジャンベを持った男が2人「おいーす」みたいな感じで近づいて来た。「あっごめん!友達かと思った!」と1人の男が言った。だが大通公園でジャンベを持っているヤツなんて、まさに鴨がネギを背負っている状態だ。「セッションしよう!」やるに決まってるでしょ。セッションは凄く楽しかった。終電が近づきそろそろ帰るかと立ち上がると、「来週もここで会おう!」とジャンベの男は言った。「じゃ来週もここで!」めちゃくちゃアバウトな約束をして別れた。

翌週、「まぁ会えなくてもしょうがないよなぁ」と思いながらも大通公園に向かうと、遠くからジャンベの音が聞こえてきた。

その翌週も、またその翌週もアサラトを持って大通公園に出かけた。セッションの輪は不思議な広がりをみせ、アサラト、ジャンベだけではなくディジュ吹き、ダンサー、ラッパー、絵描き、時にはバイオリンやギター、ただ酒を飲む人、人がたくさん集まった。その集団は「Hacu」と言う名を名乗り毎週大通公園でセッションを重ねた。そのうちセッションを見た人がイベントに誘ってくれる様になり、メンバーが出たり入ったりしながら、クラブやライブハウスや祭会場での活動も増えた。日本の、いや世界のアサラト界のトップ集団「ヌチグスイ」が主催する「アサラトナイト」にもお呼ばれしてライブをさせてもらったりもした。Hacuは大通公園ファミリーとmixiのページで謳っていたが、ライブのオファーが増え、集まるのは大通公園ではなく、練習スタジオになっていった。スタジオばかりになり少し寂しい気もしたが、それが前進だと思った。

今はHacuの活動はしていない。
俗に言う音楽性のなんちゃらってヤツだ。

だけどあの時大通公園で出会った人たち、もちろん居なくなった人もいるけど、今でもちゃんと繋がっているし、大切な仲間だと思っている。

現在は「元祖デジタルズ」と言うバンドで活動していて自分のパートはDJだ。3人のパーカッションと自分が作ったトラックをミックスする、変わった編成の4人組バンドだ。

7/9の「じじいと田中、遊ぶゆめ 2 正夢」
元祖デジタルズ一同気合い入れて盛り上げたいなーと思ってるので、よろしくお願いします。楽しんで欲しいなー。

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