見出し画像

多くの人は天国にも地獄にも行く自信はない

多くの人は確実に天国に行けるほどの善行をした自信はない。かといって地獄に落ちるほどの悪行をしたとも思っていない。
世の中の大半は善悪二元論で白黒つけるには半端だと思っている。

キリスト教の歴史に話は移るが、ローマ・カトリック教会はキリストの死後、聖書にはない「煉獄」という概念を作り出し、死後の世界の説明とした。
「煉獄」とは天国と地獄のちょうど中間にあたる世界である。
煉獄は神に罪は赦されたものの、残った罪の償いをしなければならない苦しみの世界である。火に焼かれる苦しみを受けるが、罪の浄化が終われば天国に行けるのだから地獄よりか温情である。

中世の人もやはり、自分や自身の祖先が天国や地獄に行くという極端な自信はなかなか無かったようである。
教会が当初はなかった煉獄を「発明」したのは、死後どこへ行くかわからないという、人々の死への不安に応えるためだろう。
中世の人は煉獄の苦しみから早く逃れられるよう、教会への献金を行い司祭に祈ってもらった。
例えば宗教改革のきっかけとなったことで有名な「贖宥状 (献金による免罪符)」はその典型例であり、このような経緯で行われていた。

このことを痛烈に批判したのがルターを始めとした、「新しい原理主義者」であるプロテスタント諸派であった。宗教改革の重要な論議の一つは、聖書に書かれていない煉獄の存在の否定だったのである。

しかしながら聖人にも大悪党にもなれない凡人からすれば、ちょっとの差で天国と地獄に振り分けれれるのは怖い。煉獄も用意してくれていると嬉しいと思う。

いいなと思ったら応援しよう!