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掌編「精神的幽体離脱」413文字
完全な受け手として
自分の作品を楽しんでみたい。
自分で生み出した作品を
つくる過程の記憶は一切消して
まっさらな状態で楽しむ方法がないか
と、湯船で考えた。
存在を忘れていた作品だとしても
みているうちに
だんだんとつくったときの記憶が蘇ってきて
ここ直したいな、とか思ってしまう。
鏡でみる自分と、不意に撮られた写真の自分とがまるで別人に見えるように
自分の作品をみるときは
どうしても身構えてしまうのだ。
まして、私はプロではないし、自分に甘い。
自分の作品がとても可愛い。
贔屓目にみてしまう。
自分の身体から離れて、客観的視点を得られる(であろう)幽体離脱を、精神にも起こせないか。
自分の意識から自分の意識を離脱させ、自分の意識を客観的に見たい。
いや待て、それはどういう状態だ。
独立した2人の自分が存在するということか。
よく分からなくなってしまったけれど、
共感してくれる人は少なからずいると思う。
つくるのも、楽しむのも
どっちもすごく好きなんだよね。