掌編「十年パンイチ」@毎週ショートショートnote
今日で10周年だ。
重度のコミュ障なので、界隈の交流は一切してこなかった。何なら部屋から一切出なかったので誰に会うこともなかった。
しかし、今日という特別な日、避けてきた門をくぐる勇気が沸々とわいてくるのを感じた。
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お越しいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞこちらに。
本日担当させていただきます、クマズと申します。
始めにお伝えさせていただきますが、パンイチ界隈では、10年は一瞬のようなものです。
ですが、せっかくお越しいただきましたので現状の分析と評価はお伝えさせていただきます。
まずパンツの造形です。虎柄な点は評価できます。しかし虎パンの強度から考えるとまだまだ履き込みが足りません。また、擦り切れ具合ですが、穴が空いてからが本番です。因みに虎パンの寿命は100年です。
次に、御本人様についてですが、パンイチに耐えうる肉体とは言い難いかと。視線に晒されるという環境で培ったとは到底思えないのです。今後はその点を…
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