ハンドメイドビザンツ部 活動まとめ(2022年)
何かに強く惹かれたり、憧れたり、好きになったりしたとき、その「何か」を身に付けたり纏ったりしたい、近づきたい……と思うこと、ありませんか? 私にはよくあります!!!!
現在私は『アンナ・コムネナ』という、中世の東地中海に生き残ったローマ帝国(つまりビザンツ帝国、あるいはビザンティン帝国や東ローマ帝国と呼ばれる国)を舞台とした漫画を連載しているのですが、
この漫画に着手する前から、ビザンツ文化に興味を抱き始め(古代ギリシア~現代ギリシャを好きになるとまず避けて通れないので、たどり着く運命だった…)、上記のように「身に着けた~い!」と思うタイプの人間だったので、なにかこう、ビザンツみのあるものが欲しい…身に付けたい…と願うようになりました。
しかし、身の回りにあまりビザみのあるものがない……(ギリシャからイヤリング買ったりはした…)……無いなら作ればいいよね!
というわけで、こまごまとしたアクセサリー類を去年から作ったりしていました。2021年は主に、ビザンツ初期のジュエリーを真似てイヤリングを作ったり、或いはビザンツの飾り襟をモチーフにビーズを編んで首飾りを作ったりしていたのですが(Twitterで #ハンドメイドビザンツ部 というハッシュタグをつけてつぶやいたりしています)、
2022年はちょっと大物(?)を作ったので、作ったものたちを、作り方と共にご紹介したいと思います。
①ビザンツ襟(ステートカラカッロン)
ビザンツのモザイクに描かれている聖人や帝室の人々、あるいは正教のイコンのなかでしばしば描かれている、宝石ぎっしりの幅広襟です。『ビザンツ襟』は私がそう勝手に読んでいるだけで、正しくはστηθοκαρακάλλον(ステートカラカッロン)と言うそうです。
ビーズでも作ったよね…? と思ったけど、やっぱり布の! キラキラビジューぎっしりついたのが欲しいんだよね! 作ります!!!
1.型紙を作る
自分の体の大きさ、肩幅などに合わせて適当にこういう形の型紙を作ります。
(ちなみに、アマゾンでお買い物した時に段ボールの空きスペースに詰められてた雑紙を伸ばして再利用しました) (大きいコンパスとか持ってないので、折り紙みたいに折りまくってなんとなく扇状にカットして円にしたよ)
布を中表で半分に折り、型紙をのせてチャコペンで形をうつします。線を移したら3カ所くらいマチ針で留めます。
2.チャコペンに合わせて縫う
ざっくり周りの布をカットして、それからチャコペンの線をなぞるようにミシンで縫います。端っこは返し口としてまだ縫いません。
3.表にひっくり返す
縫い終わったら、5ミリくらい残して布をカットします。(返し口の所は1センチくらい残した気がします)
全体的にカーブしているので、縫い目の1㎜手前くらいまで布に切れ目を入れて、ひっくり返した時にきれいなカーブになるよう、縫い目の部分で折ってアイロンをかけます。
ひっくり返してからも、全体にアイロンをかけて形を整えます。
4.ビーズを縫い付けていく
ここで誤算に気が付く。
初めに襟を縫い、形を整えたために、シルエットはそれなりにキレイにできた…んだけど、返し口が端っこ、しかもカーブした筒状になっているこの襟にビーズを縫い付けるのめちゃめちゃ面倒じゃない!?
面倒です。
裏側まで糸が貫通していいならサクサク進められるんですが、なんとなく…裏側も綺麗であって欲しい…と思い、なんとか貫通しないよう、表の布1枚だけにビーズを縫い付けていくという面倒な作業が始まりました。
まずパールビーズをぐるっと縫い付けて……
どんどん縫い付けていきます。
次は色石、キラキラビジューを縫い付けます
ビジューを縫いつけ終わったら、芯地を入れて、スナップボタンを縫い付け(中世にはスナップボタンとかないですが……)、返し口をコの字閉じで縫い閉じます。
完成です!!!!
着用するとこんな感じになります。
可愛いです。でも普段のお出かけなどで着ける機会はありません。
②ビザンツおひめさまチュニック
襟を作ったからには、やっぱり、襟に合う、相応しい衣服が欲しいですよね。
実はビザンツ襟を作る以前、去年の秋ぐらいに、スペインから11~12世紀のビザンツの絹織物のレプリカ布を3mほど購入していました。(あわただしくなって、布を裁つ時間的・精神的余裕が失われてゆき、1年以上畳んだままになっていた…)
また、正教会の祭服を仕立てたりその材料を売ったりしているウクライナのお店から、ビザンツ柄リボンを買ったりもしていました。
布を裁つのってドキドキしますね。しかもこの布、もう品切れになっちゃったので失敗したらあとがありません。しかし勇気をもってジョキジョキしていきます。
参考にしたページ
https://rosaliegilbert.com/tutorial_ttunic_cheaty.html
1.布を裁つ
型紙とか作らず、しかし一応チャコペンで印をつけながらジョキジョキやります。
布の柄を前後ろで同じ方向、ちゃんと上下合わせたかったので、一応半分に切って中表で合わせて、それから縦半分に折って、自分の体にぴったりサイズのカットソーを参考になんとなく印をつけます。
袖を斜めに広がっている形にしたかったのでそんな感じにして、両脇のあまり布を、スカートに縫い付けてよりフレアにするための布にすることにします。
2.ガンガン縫う
ミシンでどんどん縫っていきます。
端の処理とか面倒だったのでほつれどめ液とかで済ませちゃった……。
ここで試しに着てみて誤算に気付く。
誤算1:脇~二の腕のあたりがかなりタイト…!シルエットは割ときれいだけど、すぽっと被って着るのが難しいかも……。
→よっしゃ!襟ぐりを広げて背中に切り込み入れてボタンで留めるようにしまーす!
誤算2:袖が斜めで広く開いてるから、ふつうに布の裏側が見えてちょっとかっこわるい……。
→よっしゃ!袖だけ裏地つけまーす!
フィッティングを繰り返し、てきと~に勘で首回りをジョキジョキ裁ったり、縫ったりしつづけ…
袖の部分にビザンツ柄リボンをぐるっと縫い付けます。
3.垂れ下がってる布作る
服の前側についてる(垂れてる)やつ (正式にはλῶροςローロスと呼ぶらしい。元は体にぐるぐる巻くタイプの装飾品なんだけど、どう見ても服の前側にしかついてないよね?って変形バージョンの図像をよく見るので、これを「前側についてるやつ」って呼んでる)を、余っている布やパーツでなんとなく作ります。
これも翻ったときに裏側丸見えだと悲しいので下地を付けました。メインのビーズを縫い付けた後、縁取りのリボンと裏地でサンドするようにして縫います。
③冠
チュニック本体、垂れ下がってる布が縫い終わり、完成じゃ~ん!と思ったんですが、何か足りないという事に気が付きました。
そう、冠……! 冠欲しいよね。作りましょう。
1.リボンに透かしパーツを縫い付ける
リボン結びをするだけの長さ、余裕をもって両端50cmくらい残して、ちくちく手縫いで縫い付けていきます。自分の頭をぐるっと1周するくらい縫い付けちゃったんですが、後で、少し少なめでも良かったな…と思いました
縫い付け終わったら、頭の形に添わせるように、金属パーツを少し曲げてカーブさせます。
2.パールビーズを縫い付ける
すこしゆとりをもって、上辺にパールビーズをちくちく縫い付けます。透かしパールの隙間に縫い付けていく感じです。
3.瞬間接着剤でビジューを張り付ける
色石を貼り付けたらだいたい完成~!!
でも冠から垂れ下がってる飾り(プライペンドゥーラπραιπενδούλαとかカタセイスタκατασείσταとかっていうらしい)も欲しいので、作ります。
4.垂れ下がりパーツを作る
これはビーズアクセサリー作りの要領で、ビーズ、透かしパーツ、3連バー、基本の金具などをつないでいきます。
冠と連結する部分、ふつうに冠とつないじゃってもいいですが、しまうときにめちゃめちゃ邪魔だったので、カニカンで着用時に接続するようにした方が楽でおすすめです。
完成です!
やった~!冠、襟、チュニックが揃いました!!!!
達成感!
こうして、またどこにも着ていく機会のない衣服・装飾品を作ってしまいましたが、100%自分のためだけに、とにかく無意味に、誰にも要求されていないのにただ作りたいというだけでものを作るのって、心が潤う感じがします。
⑤おまけ:シルバニアファミリーのお洋服
あまり布とあまりパーツで、シルバニアファミリーのペルシャネコちゃんにビザンツお姫様装束を作りました。
可愛い! シルバニアファミリーのネコちゃん、何着ても似合う! 安定して自立するし、程よい重み、手触りも素敵で、シルバニアファミリー最高だな…と思いました(人生初シルバニアでした)。
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