想いを胸に抱いて
サバイバルスキル
集団生活で各々が獲得してきた思考・行動パターンをサバイバルスキルと呼びます。これらの思考や行動のクセは、これまでの生活を守ったり、逆に脅かしたりするものなので、集団生活を通じて気づきや修正を促すのですが、その過程で人それぞれの認識や時間の違いからトラブルに発展することも少なくありません。自分の問題は他者の行動によって明らかになり、自分の行動によって、他者の問題が浮き彫りになります。
また、自分の問題と他人の問題の区別がつけられず、他者との境界線が曖昧になると共依存になり、自分をコントロールすることが難しくなります。
以下にサバイバルスキル・共依存・パワーゲームというワードが出てきますが、集団生活に占める人間関係の嗜癖(しへき)という有害な習慣は、この3つのスタイルが顕著に出てきます。物質嗜癖の傾向がある人は、関係嗜癖や過程嗜癖に問題がある人が自分も含めて多く見受けられます。
嗜癖(しへき)
物質嗜癖:薬物、アルコール、タバコ、必要以上の処方箋
行動嗜癖:インターネット、ギャンブル、ゲーム、SNS
人間関係の嗜癖:共依存、DV、金の貸し借り
と大きく3つに分類され、嗜癖行動は重複するケースもあるので、その場合はクロスアディクションと呼びます。行動の目的が手段になるにつれ、強迫観念が強くなり、身体、精神、経済的な問題を引き起こす傾向があります。
人の頼みを断るのが苦手な人や、人間関係に悩みがちな人は、人間のコミュニケーションにおいて、受動的な立場から線引きをするのは非常に難しく、能動的に会話をする人に委ねられることが多いということを知っておくと便利だと思います。
↓に幼少期と現在の思考パターンと行動の比較を施設で学んだプログラムを通して抽象化したものをまとめました。
幼少期からのサバイバルスキルと信念
べき思考(ラベリング)
人の顔色を伺う(ペルソナ・影)
比較・分析(二元論的思考)
負けず嫌い(パワーゲーム、マウント合戦)
家に帰ったら部屋から出ない(引きこもり)
幼少期からのサバイバルスキルによる不具合
自分も他者も裁く事になる
自己同一性に不具合が生じる
思考による分断と幻想に迷い込む
空虚や虚無感から孤独感を募らせる
問題の回避になるが解決には至らない
不具合を理解した上での行動変化
自身の感情に気づくことを優先し、認める(アサーティブ)
自分を主語にした発言を心がける(アイ・メッセージ)
状況に応じて判断を手放す(無分別心)
人の行動の先読みをして駆け引きをしない(正直さ)
変化を焦らず静観し、無常を知る(自己内観)
成長の一助になる行動・信念
最高ではなく最善を尽くす
主役ではなく主人公になる
必要なのか欲しいのか考える
身の程をわきまえる
物事は無常のサイクルになっている
間(はざま)
人は変化を受け入れることが難しいため、抑圧、否認、反応形成、忘却などの防衛機能が働くのだと思います。そこに、差別や排除、暴力、暴言などの衝動や攻撃的な欲求が生まれることがあります。
人は話し合いで解決することを選択することができます。認め、受け入れ、許すことができれば、人生はどれほど楽になることでしょう。自分の想いを合理化しようとすればするほど、人の心が非合理的であることに気づかされます。
あなたの内面の世界は、外の世界と同じように冷酷であり、同時に善良でもあるのです。あなたは、自分の完全な管理者であるという錯覚から逃れることはできません。
あなたも社会や他者にとって、受け入れがたい何かを持っていることを知ったとき、その後の行動次第で、自分の世界を変えるきっかけになるはずです。そう、社会や他者は、あなたの心を映す鏡なのです。