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情報戦と認知戦(プロパガンダとアジテーション)
オープニング
「世論」は広告代理店が作るプロパガンダによって形成され、戦争が作られる。また、SNSやインターネットの普及は、プロパガンダや世論形成の手法も劇的に変化させており、「国家や支配層」によるプロパガンダだけでなく、ユーザーによる『クリック至上主義』にも注意しなければならない。 pic.twitter.com/ccwexFCvqm
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 24, 2024
サイバー戦におけるプロパガンダは、従来の戦争とは異なり、認知領域を標的とする新たな脅威となっています。
この脅威に対処するためには、政府レベルでの対策だけでなく、市民一人ひとりが情報を精査し、俯瞰する能力を身につける必要があります。はじめに「情報戦」と「認知戦」の特徴を順番に追っていきます。
情報戦
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情報戦は平時や戦時において、情報面で優位な状況をとるために国家レベルで活動を行い、物理的な戦闘だけでなく認知領域にも影響を与えます。
これは、敵の指導者や市民の認知に影響を与え、戦わずして勝つことを目指す戦略です。攻撃ではサイバー攻撃や偽情報の拡散、世論工作などが行われます。
政府は感染症対策の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」を9月1日に発足させ、トップに栗生俊一官房副長官を充てる方針。同庁は政府行動計画の立案や総合調整を一元的に担い、平時の専従職員は38人とし、有事には101人態勢に増員する予定。今更、日本版CDCを設置して何をしようというのか🤔 pic.twitter.com/bZZ3Ym2pdk
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 26, 2023
情報戦は国家防衛の戦略として並行され、日本では偽情報の流布に対処するため、防衛省の防衛体制を強化し、同盟国との情報共有や共同訓練を実施、AIを活用した情報収集・分析機能の整備も進められています。つまり、国民に対する「情報統制」は情報戦のひとつとなっています。
日本軍「秘密戦」要員の養成機関「陸軍中野学校」出身で戦後、公安調査庁に勤務した元陸軍大尉の牟田照雄さんは「『超限戦』は、世界中に広がっており、サイバー戦用に「サイバー要員」を確保する時代に入っている」と指摘。すでに脳内の認知領域を制御・操作することが新たな戦争形態となっている。 pic.twitter.com/H7EDc8NTCg
— あいひん (@BABYLONBU5TER) March 15, 2024
情報戦は情報収集や分析を超えて情報を戦略的に利用し、相手国や世論に影響を与えるものです。近年のデジタル技術の発展により、その重要性と複雑性が日を追うごとに増しています。
認知戦
ヒトは情報に対し, 確証バイアスやアンカリング・バイアスといった傾向を持っており, これらは元来, 生存のための本能です。
— ひよどり きびお (@Hiyodori_Kibio) March 1, 2024
しかし, この本能を狙った攻撃が, 認知戦と呼ばれる戦争です。これからの認知戦を生き延びるためには, 情報に対するバイアスや嗜好性を, 個人が自覚する必要があるでしょう。 pic.twitter.com/pphzowkrJB
認知戦は、敵の心理や思考プロセスに働きかけ、その行動や意思決定を行うことを目的とした現代の戦争形態で、全世界の市民がターゲットとなり、人間の脳や認知領域をコントロールすることを目指します。
人は、最初に受け取った情報を基準にその後の情報を解釈し、最初の考えを支持する情報を優先的に受け入れ、反対の情報を無視したり軽視したりする傾向がある。マスコミの偏向報道や印象操作、SNSのフェイクニュースが頻繁に使われる理由がコレ👇 pic.twitter.com/S0GuReQyq4
— あいひん (@BABYLONBU5TER) October 20, 2024
従来の権限のない武力行使者ではなく、情報操作や心理的影響を主な手段として、SNSやAIなどの最新技術を活用し、偽情報の拡散や世論操作を行います。
![](https://assets.st-note.com/img/1721848014336-vqWLOHt2P4.png?width=1200)
というように、認知戦は従来の戦闘とは全く異なり、情報や心理面での優位性を追求する新たな戦争形態で、国家間の対立だけでなく一般市民の認識や行動にも大きな影響を与える可能性があり、今後の環境において重要な課題となっています。
次に、私たちの認知に影響を与える「プロパガンダ」とは何か、改めておさらいします。
プロパガンダ
大手メディアがプロパガンダ装置として機能することで、世界中の一般大衆に対して「認知戦」が仕掛けられ、特に日本は「ワクチン接種」や「コオロギ食」を通して、「認知戦」に弱いことが証明された。 https://t.co/lf2oM7nbNJ pic.twitter.com/7yYmY67rPR
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 25, 2023
プロパガンダとは、特定の思想や意図に基づいて個人や集団の思考や行動に影響を与えようとする組織的な宣伝活動です。
16世紀の宗教改革では各国で様々な動きが展開された。プロテスタント・カルヴァン派の予定説が資本主義を発展させ、カルヴァン派の教義を取り入れたイギリス国教会を樹立したイギリスが世界経済の主導権を握った。 pic.twitter.com/nExZd1u2rn
— あいひん (@BABYLONBU5TER) August 7, 2023
またプロパガンダという言葉の起源は、1622年にカトリック教会が設立した「布教聖省(Sacra Congregatio de Propaganda Fide)」に由来し、ルターをはじめとする宗教改革の諸運動に対し、カトリック側の言論統制は一層強化され,同時に教義の積極的な宣伝がはじまったことが発端です。
大手メディアがプロパガンダ装置として機能することで、世界中の一般大衆に対して「認知戦」が仕掛けられ、特に日本は「ワクチン接種」や「コオロギ食」を通して、「認知戦」に弱いことが証明された。 https://t.co/lf2oM7nbNJ pic.twitter.com/7yYmY67rPR
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 25, 2023
プロパガンダは
「宣伝」と「情報統制」がセット
布教聖省による言論統制や宣伝は、中世社会の崩壊とともに世俗的君主国家に受け継がれ,政治的目的のための統制として発達しました。
プロパガンダの目的は、ある政策や問題に対して、あらかじめ用意された特定の行動パターンや結果に扇動し、誘導することにある。かつてプロパガンダは新聞とテレビが主流だったが、今や舞台の中心はSNS。分かりやすい「スローガン」や拡散しやすい「ワード」には要注意。 https://t.co/9jRfSHPqJd pic.twitter.com/IOhpNNPY0E
— あいひん (@BABYLONBU5TER) May 13, 2024
プロパガンダは政治的意図を持ち、特定の思想や主義を広めることを目的とし、情報による大衆操作や世論喚起の手段として用いられます。
現代では、SNSや生成AIの発達により、個人に合わせたターゲット化が可能になっており、メディア、広告、政治宣伝など、様々な分野で活用されています。
フランスの財政難は王室の浪費ではなく、アメリカ独立戦争の支援が原因で、フランス革命は「絶対王政」に対する市民革命ではなく、特権階級が有していた免税特権にメスを入れようとした国王に対する「反抗・抵抗運動」が発端。マリー・アントワネットに対するレッテルがパリ五輪の開会式につながる。 https://t.co/LdaEj0sepA pic.twitter.com/ZFEBHN2nQB
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 28, 2024
フランス革命時にはマリー・アントワネットが「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と語ったとしたものや、首飾り事件に関するパンフレットがばらまかれ、反王室の気運が高まったのもプロパガンダによる世論工作です。
2024年パリオリンピックの開閉会式の芸術監督トーマス・ジョリーは罪深いが、大会会長のトニー・エスタンゲットも同氏に対し、「大胆な選択であり、私たちのビジョンと一致している」と賞賛。 https://t.co/h8nVGsfKWf
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 28, 2024
パリオリンピック開会式で披露された『機械の馬』のメッセージは、ヨハネの黙示録の四騎士以外に社会革命党戦闘団のテロ指揮者サヴィンコフが発表した『蒼ざめた馬』が考えられる。マリー・アントワネットの描写も含め、「革命」というメッセージが重複。pic.twitter.com/lE1GZN2Sep
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 29, 2024
2024年パリ五輪の開会式は政治色が強く、キリスト教の品位を貶めるものや儀式、王室を揶揄したものに溢れたものとなりました。
パリ2024マスコット「フリージュ」=フリギア帽 https://t.co/mfbKRFPW9w pic.twitter.com/EI7QZxAISJ
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 27, 2024
また、マスコットキャラクターの「フリュージュ」は「フリジア(フリギア)帽」というミトラ教の関連の深い古代ローマに起源をもつ帽子のひとつで、「隷従から自由への解放」=「革命」の象徴とされています。
ギロチンで断首されたマリー・アントワネットという衝撃なパフォーマンスからの「ゴシックメタル」というキレッキレのパフォーマンスで幕を開けたパリ五輪🔥#Paris2024 pic.twitter.com/dz3rl3cb4v
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 26, 2024
動画が削除されてしまいました。Eテレの「ジェンダー体操」、NHKの「官僚による内部告発」動画に次ぐ、今年3回目のアカウント・ロックを喰らいました。
過去ポストの情報統制が酷い。メディアが再生できなかったり、URLを他のサイトに貼り付けても反映されなかったりする。それなので「見つかりません」ではなく「表示できません」が正しい。Xに戻ると表示されるポストもあるので気づきにくい。 pic.twitter.com/lCaW4rYVcM
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 22, 2024
Xの情報統制や妨害?行為も水面下でひどくなっています。noteに貼付しても表示されないポストや勝手に削除されているポストもあります。
情報操作
![](https://assets.st-note.com/img/1722192077544-jTbZOHeCia.png?width=1200)
本来、プロパガンダと情報操作は違いますが、情報戦と認知戦の違いのように境目が曖昧になってきており、主戦場がテレビや新聞などのオールド・メディアからインターネットやSNSなどのニュー・メディアに移ってきているのが要因の一つとして挙げられます。
民主主義は本来、有権者の賢明で理性的な判断に依存するものだが、現実には「独裁的プロパガンダ」と同じ「マーケティング」の手法で国民を洗脳し、思考停止状態に陥れている。巻き込まれないように注意。 https://t.co/v3GEN7SX97 pic.twitter.com/SLnqu2iIox
— あいひん (@BABYLONBU5TER) February 25, 2024
さらに、「情報の宣伝」よりも「情報の拡散」が重要視されていることや心理学やAIの発展により「偽情報・誤情報」の見分けがつかなくなってきています。
イギリスでダンス教室に通っていた3人が殺害された事件では、犯人が「イスラム教徒だ」という 『偽情報』が拡散され、100人以上の暴徒が逮捕。日本でも移民による犯罪や治安の問題が起きているが、Xでは移民や宗教、民族へのヘイトを煽るポストが拡散しやすい状況なので、流されないよう注意🚨 pic.twitter.com/VnspEoe1FX
— あいひん (@BABYLONBU5TER) August 2, 2024
特に「情報の拡散」に関しては「感情」が大きく関与しているのは間違いありません。具体的に例を挙げます。
デマポストは削除してブロックして逃走。
— 久保山 尚 🏴のバズらせ特級出羽守 (@KBYMScotland) August 3, 2024
めいろまはイギリスで政府の監視対象にある極右グループ等の反移民反イスラムのデマをそのまま日本語にして拡散する危険な人物。日本のメディア、出版業、研究者やSNSでフォロワー多い方々はくれぐれも注意して対応して欲しい。 https://t.co/tQCjb3KY1h
わかりやすいアイコン詐欺・経歴詐欺の例。谷本真由美のWikiをご確認ください。この経歴を見て信用できる人物でしょうか?
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国連やIMFの職員を1名20万円で紹介するという謳い文句で人材紹介を行い、外務省が事実無根として「注意喚起」の声明を出すほどの猛者です。
そこまでチェックしない方が大半なので、こういうアカウントの誘導に引っかかってしまいます。
明らかに異なった「字幕」をつけてミスリードを平然と行い、👇のポストのように絵文字や表現で「差別」を刷り込むアジテーション(扇動)に気づかない人が多い。 https://t.co/X4z1qPG0iI
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 28, 2024
これも似たようなアイコン詐欺。このアカウントは全く違う内容の字幕を付けることで有名ですが、気づかない人は容易に誘導されます。
文章内容を見れば「明らかにバカにしてる」ことは明白ですが、気づかない方が多く、コメントも肯定的なものばかりでゾッとしました。
このアカウントがデマや嘘ばかり投稿しているのはもう何度も指摘されてるし、今回はわざとイスラム教に対する憎しみを広めるために間違った字幕をつけてる。でも、アラビア語がわかる俺から見れば、それが明らかな操作だってわかる。だから、この悪意のある奴に騙されないでください。わざと嘘をつかれ… https://t.co/G8aAHvDdop
— yousef 🍉 (@heavenlydemon98) July 18, 2024
指摘している方は多数いるにもかかわらず、懲りないというよりより悪質さが増しています。特にパリ五輪で「本領発揮」といったところです。
オキシトシンは「愛情ホルモン」として知られ、他者への愛情や信頼感を形成し、心に安らぎをもたらす効果がある一方で、自分と同じ国や民族の人々に対する愛情を強化するため、他の国や民族に対する差別感情や攻撃性を生む可能性がある。🎞️スターウォーズの「ダークサイド」と「ライトサイド」と同じ。 pic.twitter.com/FdF53VhOb1
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 25, 2024
こういったアカウントが偏った投稿を続ける理由は、ドーパミンやアドレナリン、オキシトシンなど「脳内物質」の分泌に大きく関わっており、フォロワー獲得やインプレッションにつながることが考えられます。
2020年のジョージ・フロイド事件から4年が経過した今、社会の分断と憎悪の高まりは私たちに重要な教訓を示している。過去の警告が現実となった今こそ暴力や対立ではなく、若い世代を含む全ての人が平和的な改革を目指すことが重要です。 pic.twitter.com/Gi1lUfKR2s
— あいひん (@BABYLONBU5TER) August 3, 2024
このような情報に接するたびに、私たちの認知は歪められ、思い込みは強化されてしまうので注意が必要です。これが「認知戦」です。次に「感情」を利用した戦略を取り上げます。
アジテーション(扇動)
![](https://assets.st-note.com/img/1722193719282-ZSptj7mQEN.jpg?width=1200)
アジテーション(扇動)は、19世紀〜20世紀にかけて様々な政治運動や政治の中で発展し、ロシアのマルクス主義革命家でソビエト連邦の建設者ウラジーミル・レーニンがアジテーションの概念を定義し、政治闘争に不可欠な戦略として位置づけました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722195926926-8CHGKCSVdq.png?width=1200)
またレーニンは、アジテーションを大衆向け、プロパガンダをインテリ向けとして区別し、1920年9月、ロシア共産党中央委員会書記局の一部局として「扇動宣伝部」が設立されました。
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これ以降、共産主義運動においてアジテーションは一般的に行われました。 ここでプロパガンダとアジテーションの具体例を見ていきましょう。
プロパガンダの具体例
メディアは『権力の監視役』としてではなく、『権力側の広告代理店』として機能している。民主主義は本来、有権者の賢明な合理的判断に依存するものだが、現実には国民を思考停止状態にするため、『マーケティング』と同じ『独裁的プロパガンダ』の手法を使って洗脳している。#オルダス・ハクスリー pic.twitter.com/tIFOpW6bVi
— あいひん (@BABYLONBU5TER) September 26, 2023
戦時中の愛国心を高めるポスターと映画
政治家や政治家を支持するための広告キャンペーン
企業製品やブランドイメージを向上させるための広告
映画や音楽を用いた国民高揚
偏向報道による印象操作
アジテーションの具体例
イギリスでは極右勢力がSNSやインターネット上で偽情報を拡散して民族憎悪や宗教対立を煽り、抗議運動から移民排斥デモ、暴動、略奪へと発展。現在の「アジテーション(扇動)」は主にSNSを通じて拡散されており、情報拡散のスピードが格段に速く、エスカレートも早い。pic.twitter.com/QpvZrtmvHX
— あいひん (@BABYLONBU5TER) August 4, 2024
労働運動における街頭演説や集会
政治家の抗議活動やデモ
SNSを利用した拡散を促す投稿
革命や暴動を煽る演説や文書
日本に"民主主義"があったことは一度もない。もちろん今もない。あるように学校で教えているのは"民主主義"の定義が民主的に決められていないからだ。大日本帝国議会時代はもちろん民主主義ではなかったし、現行の憲法第四十一条… https://t.co/erhMWYIO8H
— 苫米地英人 (@DrTomabechi) July 30, 2024
これはほんの一例ですが、プロパガンダが組織的で決定的な思想や行動の変化にアプローチするのに対し、アジテーションは即時行動や感情の喚起に影響を与えるアプローチを行い、市民運動やデモに結びついていることがわかります。
現代のメディア環境では、アジテーションとプロパガンダの境界が曖昧になってきている点にも注意が必要です。
両者は相互に政治・社会・文化的影響力を発揮する上で重要な役割を果たしています。次に市民運動に直結する重要人物を紹介します。
ソウル・アリンスキー
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ソウル・アリンスキーは、アメリカのコミュニティ・オーガナイザーおよび作家であり、近代における住民組織化の手法を確立した人物です。
アリンスキーはシカゴのスラム街でロシア系ユダヤ移民の子として生まれ、シカゴ大学で考古学を専攻しましたが、大恐慌の影響で犯罪学に転向し、イリノイ州で関連する職を得ました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722749460435-y3NWcggcYv.png?width=1200)
その間、アル・カポネのマフィア組織に入っていた経験から、人を操る術を学び、貧困に対する政府の無関心さに反感を抱くようになりました。
1938年に職を離れてから住民組織化に専念し、アリンスキーの手法は1960年代に流行した草の根運動(グラスルーツ運動)の基礎を作り、ラルフ・ネーダー、シーザー・チャベス、ジェシー・ジャクソンなどの大衆運動に影響を与えました。
アリンスキーの住民組織化の手法は、大学生や若い活動家に引き継がれ、大学構内での組織化戦略の一部となりました。タイム誌は「アメリカの民主主義は、アリンスキーのアイディアによって変化した」と述べています。
「持てるもの」と「持たざる者」
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アリンスキーの「持てる者」と「持たざる者」の概念は社会変革理論の中心的な要素で、主に持てる者は「A層」を、持たざる者は「C層」を指します。
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またアリンスキーは、持てる者は「現状維持」を望み、持たざる者は「変革」を求めると指摘し、「持たざる者」が組織化することで力を得られると主張しました。
つまり、アリンスキーの住民組織化の手法は、この力の不均衡を是正するためのものでした。言い換えると、資本主義に対する「戦術」や「組織化」を理論化したのがアリンスキーです。
ただし、この概念は、「持たざる者」の声を政治に反映させることで、より公平で民主的な社会が実現できると考えたため、社会主義や共産主義ではなく、民主主義の理想を実現するための手段として位置づけられたことが興味深いです。
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また、オバマ元大統領は「なぜ組織化するのか?」というエッセイで黒人教会を通じた住民組織化の重要性を説き、ヒラリー・クリントンは卒業論文を「アリンスキーが恐れられるのは(キング牧師と同様)彼が最も過激な政治信条 -民主主義- を信じているからだ」と結んでいます。ここでアリンスキーが提唱した「13の戦術」をみてみましょう。
13の戦術
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アリンスキーの著書『過激派のルール(市民運動の組織論)』で提唱された13の戦術ルールは、「現実的過激派のための実用手引書」であり、社会変革を目指す運動家のための実践的なガイドラインとなっています。
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権力は、あなたが持っていると人々が信じているものではなく、実際に持っているものである
敵の規則の範囲内にとどまるな
敵の領域の外に出よ
敵を自身のルールブックに従わせよ
嘲笑は人間の最も強力な武器である
良い戦術は、あなた方が楽しめるものである
戦術は長引くほど重荷になる
圧力を維持せよ
脅威は通常、その実行よりも恐ろしいものである
主要な前提は、消極的な反応の発展である
十分に押し進められた敗北の代償は、勝利に変わる
攻撃の代替案を提示せよ
特定のターゲットを選び、個人化し、分極化せよ
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これらのルールは権力構造に挑戦し、社会変革を実現するための戦術的アプローチを示し、アリンスキーは、これらの戦術を通じて「持たざる者」が「持てる者」に対抗し、自らの声を政治に反映させることができると考えました。
マフィアと関係が深かったアリンスキーだからこそ、目的のために手段を選ばない+正当化にあふれた戦術となっています。
住民組織化
住民組織化(コミュニティ・オーガナイジング)とは、地域住民が共通の利益のために協力し、行動するよう組織化する手法で、この概念は以下の特徴を持っています。
目的
社会的に弱い立場にある人々(移民や貧困層など)の意見を政治に反映させ、生活状況や環境の改善を図る。
手法
住民自身に問題意識を持たせて議論し、解決のために組織化して行動することを促す。
リーダーシップ
コミュニティ・オーガナイザーと呼ばれるリーダーが重要な役割を果たす。
特徴
一時的な動員ではなく持続的な組織づくりを目指し、擁護者による代弁ではなく、影響を受けている人々自身が発言することを重視。
ベネズエラ大統領選挙に反対するテレグラムチャンネルや南米で活動するSNS上の膨大な数のアカウントが「火炎瓶」の作り方などを発信し、ベネズエラ国民にデモや暴動を呼びかけ、扇動している。pic.twitter.com/17cwzqfR7L
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 29, 2024
ここで気をつけるべき点は住民組織化は「活動主義」と違う点です。また草の根運動が、いつの間にか扇動家による『人工芝運動(アストロダーフィング)』にすり替えられてしまう点も挙げられます。では活動主義とは何でしょうか?
活動主義(アクティビズム)
![](https://assets.st-note.com/img/1722380967067-6298VXVrRy.jpg?width=1200)
活動主義(アクティビズム)は、社会的、政治的、環境的な変革を目指し、活動家は「デモ、キャンペーン、ロビー活動」など、特定の問題についての意識を高め、人々に積極的な関与を求めます。
目的
特定の社会問題に対する即時的な変革や抗議を目指すことが多い。
手法
デモ、抗議活動、キャンペーンなどを通じて直接的な行動を起こすことで注目を集め、変化を促す。
リーダーシップ
しばしばカリスマ的リーダーや特定の団体が中心となって行動する。
特徴
特定の問題に対する一時的な動員が多く、長期的な組織づくりは必ずしも目指さない。
今までの戦争はリーダー同士の権力闘争が原因だったが、次世代はいつでもリーダーを交代できるメンバーを育てながらゴールを目指し、既存の権力構造を必要としないコミュニティを構築していくと苫米地英人博士が解説。そのために必要なのはヴィジョンの共有とゴール設定。 pic.twitter.com/j9Ry51M4PV
— あいひん (@BABYLONBU5TER) April 30, 2023
住民組織化と活動主義は、どちらも社会変革を目指す手法ですが、アプローチや目的にいくつかの違いがあり、この違いはプロパガンダとアジテーションの類似点と共通しています。
つまり、プロパガンダと住民組織化は思想の固定化につながり、アジテーションと活動主義は感情的即効型となります。
リポストで縁を感じ『雷雨決行』をお迎えしました🔥
— あいひん (@BABYLONBU5TER) February 1, 2024
打倒「中央集権」目指すは「自立分散」❤️🔥 https://t.co/s4CyT1jZlW
また住民組織化は、地域住民が自らの力で問題を解決するための意識と行動を促す点に特徴があり、ボトムダウンではなく、ボトムアップの民主主義を実現する手法として重要視されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1722383799498-cnflnY2QG6.png?width=1200)
自律分散型コミュニティーが目指す社会は、個人が主体性を持って行動し、責任と権限が分散された状態で協働する社会をいいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1722383791467-CziIpXgNsn.jpg?width=1200)
自律分散型社会では中央集権的な管理が存在しないため、各メンバーが自己管理能力を持つことが求められます。 具体的には、自分で目標を設定し、進捗を管理し、問題解決に取り組む能力が必要です。
エンディング
ウォルター・フリーマンの意識理論は脳の活動がカオス的(混然一体)であり、自己組織化のプロセスにより意識が形成されると主張。フリーマンの理論は、従来の認知科学の「実体存在論」とは対照的に「プロセス存在論」に立脚し、意識や心の本質に関して古代仏教と多くの類似点を持っている。 pic.twitter.com/Tg4JeiYUjN
— あいひん (@BABYLONBU5TER) July 23, 2024
不安とは興奮が否定されることによって生まれる。そして、あらゆる「圧力」は置き換えられた熱意である。
私たちは、自分たちの欲求に気づいていないという事実そのものが「圧力感」へと導く。
自分でできることは、しつこく続く圧力がすべて当人自身の投影された欲求であることを自覚して、その圧力を乗り越えることである。
自分の感じるものが自分自身の欲求であることに気づいている人は、その圧力に腹を立てたり、抵抗したりせず、行動する。
私たちはすでに必要な欲求を体験しているのであり、誤ってそれを「圧力」と命名しているに過ぎない。
私たちが自分自身のものと認めることをひどく嫌ったそれらの否定的傾向がいったん再統合されると、私たちのなかの否定的な性向と調和し、予期された悪の色彩を失うことを発見する。
自己自身の受容は道徳問題の核心であるとともに人生観の縮図である。
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