産後ケア・助産師さんの働き方
前回、お母さん側の悩みを書きましたが次はケアする側について。
産後のお母さんをケアする人ってたくさんいると思います。が、産前産後の女性と赤ちゃんに特化した専門職かつ国家資格保持者っていう意味でもここでは助産師さんにフォーカスです。
1,働く場所
全国で働く助産師は4万人弱。その中で病院で働く人は3万5千人ほどと圧倒的多数が病院勤務となっている。病院以外だと、助産所や出張専門助産師、行政で働くなど。
https://www.nurse.or.jp/home/statistics/pdf/toukei03.pdf
(出典:『平成29年 看護関係統計資料集』日本看護協会出版会編集)
2,病院で働く助産師さんは時間がない
私が出会った助産師さんたちから「病院ではケアに十分と時間をかけられない」という声を聞くことが多かった。病院はとにかく、めちゃ忙しいのだ。出産スタイルがどう変化したかをみると、1950年ごろには、自宅出産が95%で産婆さんが家に来て出産するというスタイルがほとんど。現在は、病院出産が98.8%、助産院が1%、自宅は0.2%とほとんど全ての赤ちゃんが病院での出産となっている。(「厚生労働省人口動態調査」より)
が、しかし。病院ではなかなかケアに時間がかけられないという調査が以下資料(『助産師の必要人数算出に関する提案』)。妊娠中から十分なケアをするためにはもっと助産師を増やすべき、という提言がなされている。(逆を返すと、今いる人数だと十分なケアに時間をかけられてないということ)https://www.nurse.or.jp/nursing/josan/oyakudachi/kanren/2014/pdf/hitsuyoninzu.pdf(平成27年3月 公益社団法人 日本看護協会)
3,気力・体力をフル稼働しないといけないお産現場
お産は24時間365日待った無し。という状況の中で日々頑張る助産師さん。だけど、就業グラフを調べていて思ったのが「M字」になっていないということ。25〜34歳ぐらいをボリュームゾーンにあとはだんだんと減っていく。
子育てひと段落してさあ、もう一度!の50歳ぐらいになると数が半分以下になっている。凄まじく気力と体力を使う上に夜勤があるとなると、いろんな制約が出てくるのだろうな。ということと、こういった研究もある。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/21/1/21_1_1_30/_pdf(『日本における病院勤務助産師のバーンアウトに関する研究』)
助産師は看護資格を取った後さらに助産に関する専門の勉強をしないともらえない資格なので、赤ちゃんと妊婦さんのために力を尽くしたいという志の高い人が多いのではないかと思う。仕事に対する喜びや達成感が大きい一方で緊張感もかなりのものなのだろうと思っている。
出典:『平成29年 看護関係統計資料集』
出典:『内閣府男女共同参画局HP』より
4,地域に出たら稼げないという問題
病院でフルタイムで働いた場合の助産師の平均年収は約560万円(*厚生労働省調べ)。かなりの高給取りだとおもいませんか。一方で、病院勤務以外での働き方は?というと、行政での仕事(保健所等)、保育園、看護師資格でも働ける個人病院や一般企業(医療機器メーカーなど)、そして開業助産師として、地域に出るという道だ。
助産や産後ケア、妊産婦に関わる業務につきたいと思った場合、病院以外には開業して助産院(または訪問ケア専門)を開くということになるのかなと思う。ただ、開業助産師はなかなか稼げない。一般企業と同じく集客のための施策をしなければ人は来てくれない。地域に寄り添いたいと思ってもそもそも自分の存在を知ってもらうことから始めなければならない。
助産ケアに加え経営しなきゃいけないってめっちゃ大変じゃないですか。しかも、個人のお客さんからケア代をいただくのは実費。ママからしても病院で3割負担なのと、全額自主診療というのだと負担が大きい。行政から新生児訪問の仕事依頼も来ますがその仕事、基本的に激安ですから。
現状ほとんどの助産師さんが病院働き、地域で活躍できる数は全体から見るとわずか。
病院でママと赤ちゃんのために働けない訳ではない。ただ、出産がゴールではなく、その後に続くながい育児で伴走してくれる助産師さんに地域で気軽に出会えたらいいのになと思う。
そのためにどうしたらいいのかな、ということを考えてみる。
サポートしていただいたお金は、今と未来の子供達のために使っていきたいと思います。