見出し画像

東京事変/スポーツ/全曲レビュー

最近唐突に聴きたくなって、車でずっと聴いてる10年以上前の東京事変の4thアルバム『スポーツ』
10年経っても変わらず格好良く寄り添ってくれる曲たちよ…

ちなみに東京事変のアルバムのタイトルは全部テレビ番組縛りになっています(教育、アダルト、娯楽、スポーツ、ディスカバリー、音楽)
更に曲名も林檎名義でのアルバムと同じくシンメトリーになってます。

1.生きる

開会式チックなアカペラから始まる一曲。
希望にあふれてるチックなメロディ、アレンジですが歌詞が絶望しきってるギャップが好き。

充たされないで、識らないで、追いかける影の美しさよ。皆まで言うな。憧れ続けていた筈の、孤独と自由が首を絞める。
至らなかった。忌み嫌い続けていた筈の、無欲と空虚が胸を占める。なんてこの身は頼りないんだろう。
あまりに何も無い。

2.電波通信

サビの疾走感が大好きな曲!!タイトなドラムとゴリゴリのベースも良き。韻を踏みまくりの歌詞が面白いので読んでみてください。
当時流行ってた(今も流行ってるのかは知らん)ボーカロイドっぽい感じの曲だよね。

暗号を読んで 侵される前に やられる前に 
洗脳されないように
嗚呼 彼奴等の妨害に 倍返し

ここの大サビ前が特に好きです。

3.シーズンサヨナラ

これも好き~。失われた青春感。サビのメロディーが切ないんだ。
以下好きな歌詞を抜粋。

もうどうにも あの場所にも戻れないみたい
そうじゃないってそう言って かわすの止めて
背中を見せるぐらいなら 見つめないわもう結構
冷めきった終点なんて秋空の夕日に寄り添った
まあいいでしょ 何度もそうすがりたくはない
どんな邪が胸を侵して いつか枯れ落ちていくの
また会う日なんて余韻は捨てて 
見えないところまで行って

未練があるようで、でも急にドライになるようなこの心情の動きが表現されていて堪らん。

4.勝ち戦

なんともそつのないお洒落な英詞曲。

5.FOUL

多分浮雲さんの曲。バンドだとメンバーの色が出て面白いですね。
これ聴いてるとつよつよ女になれます。

逃げ切りたい冷静に 完全犯罪切り抜けたい
つまりヤバい橋の上を 勇壮に闊歩してみたい
後のことは知ったことではない
知っていて 解っていて あえて冒す反則の美徳

6.雨天決行

アルバムに必ず一曲はあるけれど、個人的にはこういう可愛い系の曲は好きではない。笑
でもこのほのぼのとした曲、可愛らしいアウトロの後に、満を持して始まる能動的三分間が格好良すぎるので、つなぎ目としては最高の曲。
ここに配置してくれてありがとう…

7.能動的三分間

きっかり三分間の曲。モニターにタイマーを出して、きっちり三分間で生演奏したらそりゃもうライブでクソクソ盛り上がるやつ。
『カップ麺が出来上がるのを待ってる間何するの?』(意訳)
から始まる歌詞も格好良いんだよ~

精神崩壊前夜 待ってよサンデードライバー
泣いてんだったら聴きな
骸骨を狙えシンセサイザー
寄る辺ない現し身を使い古して無常
列島崩壊前夜 待ってよダイナマイター
タイマー切ったら効きな
愛憎大破した君は ロックアイコン顔負けのナチュラルハイタイム
脳天を浸せイコライザー 音楽のキキメは長い

8.絶体絶命

この曲が聴きたくて久々に再生した。
これも可愛い感じの曲なの。でも歌詞が重たいの。この歌詞を悲しく重い曲にされたら多分ものすごく抉られるので、そのバランス感覚がさすがだなぁと思う。
まさに絶体絶命の時、この曲に救われたひとがどれほどいるんだろう。

かなしみが声を殺してわたしを待ち構えている
余にも重く余にも硬く余にも暗く余にも冷たい
かなしみが顔を隠してわたしを抱き抱えている
余にも低く余にも永く余にも深く余にも大きい
絶望が囁く「逃がした魚へ泥拘る姿勢は尊い」と
唯独りにして放っといてさようなら
晴れ渡る空は遠く塗り潰されて行く

関係ないけどツイッターで海外の方が「絶体絶命」の感じをバラすと「糸色体糸色命」「いとしき体、いとしき命」と読めると呟いてて
ほんとだ何か素敵!!って思ったよね。

9.FAIR

この曲も好きですね~。落ち着きのあるアダルティな感じで。
大人の童話のような歌詞。

月の無い夜は長引くぞ 明けるまで
何とも思って居ない
眠らないのも私の勝手
満ちては引いた潮の所為
酔いを醒ましたら 疵痕ごと腐敗した残像
熟れては落下するだけさ

10.乗り気

これも電波通信ぽい面白い歌詞。

読みかじった文字面と、視たままの数字を覚えて、
知った気になっているようじゃあ今日も、丘サーファー・・・。
波の所為にはしたくない。

特にこのワンフレーズが好きです。

11.スイートスポット

めちゃめちゃ好きだった曲、よくこれを聴いて泣いていたわ…
歌い出しがメロも歌詞も切ない…ギターソロに入る前のゆっくり盛り上がっていくあたりが好き。
以下ライブで披露された和訳から抜粋。

私が沈黙するとしたらきっかけは決まっている
貴方がこの場を去って残響だけが止まない時
わざとは声を出せない
貴方がここを去るならきっかけは決まっている
私はいつか酷く乾いて鳴らなくなるのだから
貴方の指の温度に従い私の表面が初めて潤う
関係を断ち切れないの
これがほかのだれかを
幸福にするはずがない
そう、貴方なしの私は脈打つことすら難しい
それでいったい如何して今
我々がこんな処に居るのか
そう言えば何か誓い合った試しも無かった

12.閃光少女

このアルバムは全体を通して、刹那的で肉体的なテーマの曲が多い気がするね。やっぱりスポーツだからかな。
正統派な事変の曲!って感じの曲。好きです。

切り取ってよ、一瞬の光を
写真機は要らないわ 五感を持ってお出で
私は今しか知らない 貴方の今に閃きたい
今日現在がどんな昨日よりも好調よ
明日からそうは思えなくなったっていいの
またとないいのちを 使い切っていくから

13.極まる

曲名が良くない⁉「極まる」て。格好よすぎ。
SFチックなちょっとわけわからん歌詞が好きです。

接吻のような 乳白色の霧の奥のレイヤーの
碧く濁った穴を 見上げていた 
とっても好きな碧だ
あれは多分 太陽なんじゃないかしら
接吻の後に 大きい音を立てて やってきたら
濡れた体を翻せ
今一つの樹のように さようなら
ここから動けないのだ

ここまで刹那的、衝動的な曲を並べておいて、最後は樹のように動けなくなってしまってさようならしちゃうの、好きだわ~

以上、スポーツのご紹介でした。

いいなと思ったら応援しよう!

ない
子供に何か買ってあげます!