無題の日#9
休み始めてから一ヶ月が経った。気持ちの浮き沈みって正常なときは一日単位で動くけど、いまの状態だと週単位とかになるらしい。たとえば四週間経ってあまり変化がないな、この先ほんとによくなるのかなと心配になるかもしれないけれど、正常なときに換算すると四日くらいしか経ってないから、とにかく焦らないことが大事だよと言っていた。そうなのか、いやいや四日て、と思った。
最初の三週間くらいは、とにかく気分転換をしようとカフェに行ったり散歩したり、というかそれしかしていなかったんだけど、ずっと布団にこもってる日もあったかな、でも予定がない日もそれなりに外出していた。やる気が起きなくてもやる気が起きる前に行動してみて、その後の経過を見てくださいと先生に言われていたので、それ自体は間違いじゃなかったんだろうけど、なんだか色々疲れていた。これって意味あるのかなとか、生産性ないなとか、本当にこれがしたいのかなとか、せっかくの休みを浪費している気がするなとか、心のどこかですべてが無駄なんじゃないかって思っていた。
加えて、なにかしなきゃという義務感で動いているのが苦しかったので、ここ一週間くらいはじぶんを甘やかしてみた。
朝必ず五時くらいに目が覚めるけれど、え、ねえこれほんとになんでなんかな、朝五時は早すぎるて、そこからベッドの上で起きているのか起きていないのかわからない時間をだらだら過ごして、おなかすいたけどベッドから出られない、プロテインさえ作るのも飲むのも無理、ていうか何食べればいいんですかみたいな一連の脳内会話をして、けだるさと眠気がやわらいできたらちょっと頑張って起きてスキンケアをして、コンビニでアイスコーヒー買って三十分くらい散歩して、遅いお昼ご飯を食べて、元気が残っていればまた三十分くらい散歩する、途中で疲れたなと思ったらやっぱりやめたって思って家に帰る。
話は逸れるけれど一ヶ月ってほんとにあっという間だね。そのうち飽きて一、二週間で働きたくなるよと彼が軽口をたたくので、そうなるといいんだけどねと思った。それから二週間後くらいにどう、働きたくなってきたでしょと言われたので、素直に全然働きたくないって言ったら、本当に仕事が大変だったんだねと言っていて、その一連のやりとりが、彼らしいなと思った。休職すると伝えたときも、うつ病だと伝えたときも、ふーんそうなんだじゃあ無敵だねやりたい放題じゃんと言う彼を、ぼくは頼もしく思った。
話は戻って、そこからまた今日はなにしたいかなあって考えるけれど、特にしたいことはあまりなくて、気がのったタイミングでジムに行ってみたり写真のレタッチをしてみたりする、日がある。それも一時間半くらいで終わって、そうするとだいたい夕方よりちょっと前くらいの時間になる。まだ日が沈まないうちにと、また散歩がしたくなるし、コーヒーを飲んでぼーっとしたくなる。もともとぼーっとしてるけどね、ベッドの上でぼーっとするかカフェでぼーっとするかだと精神衛生的にはぼくの場合は後者の方が楽みたいで、仕事休んでるとほんとに社会とのつながりがないから、社会の一部みたいな顔して外出してた方が気が楽なんだよね、お金かかるけどね。そういうわけで散歩したいのと社会の一部みたいな顔がしたいとぼくの心の中のベイビーが言っているので、よしよしわかったよと、もういっかい日焼け止めを塗りたくって徒歩一時間かかる駅のカフェへ向かう。歩くのが嫌になったら途中で電車に乗ってもいいし、やっぱり行きたくないってなったら帰っていいよって感じで家を出る。
お店に着いて、コーヒーと一緒になにか焼き菓子も食べたいなと思うんだけど、本当になんでかこれもわからんのだけど目の前にすると食欲ないんだよね、砂糖と小麦粉がかたちを変えて並んでるだけに感じて、焼き菓子とかケーキあんなに好きだったのに。先週までは出先で、本読む、note書く、レタッチする、推せるvlog見つける、とかなにかしら課題をもっていってたんだけど、今週はそれはやめた。小説とsurfaceと紙のノートとボールペンをつっこんだリュックを持っていって、なんもやらんくっていいよ、なんかやりたいことがあったときにやりたいだけやればいいよということにして、ほんとにぼーっとしてる日もあれば、小説を十ページだけ読んでみたり、こうしてパソコンかたかたしたりする、ぼーっとしてても百点ということにしてる、生きてることを選んでいるだけで百点。
今は朝井リョウの正欲っていう小説を読んでいて、なんでか本屋さんで目にとまったんだよね、友達とか職場のひとがこの本の話をしてたのかSNSで見かけたのか覚えてないけど、裏表紙のあらすじと最初の数ぺージくらいを読んで、これは読まなきゃなと思って買って、これまた長いんだ、五百ページくらいある。小説は好きだけど本を読むのは苦手なので、一日十ページ読めれば二ヶ月くらいで読み終わるかな、みたいな感じで読み進めていて、まだ最初の百ページくらいしか読んでないけどおもしろいので毎日持ち歩いてる。おもしろいというか、日々の鬱屈としたもやもやが言語化されていく感じ、この作者はどんな人生を過ごしたんだろう、取材とかでまかなえるものなのかな、むず痒いポイントをそのまま突いてくる。まだ読み切ってないけどかなりずしりと来ています。
帰りは夜ご飯どうしようかなみたいな感じで、歩きか電車で帰る。だいたい一生歩いてるよね、午後過ぎから活動なのにおよそ一日一万五千歩くらい歩いてるからえらい。歩き足りない日は、歩き足りない日って意味わかんんないよね、でもあるんだよねそういう日が、別に歩くのが好きなわけじゃないし、だいたいこの時点で目標の一万歩は到達してるから目標に対しては足りてるんだけれども、歩き足りない日は夜ご飯のあとジムに行ってトレッドミルで三十分くらい歩く、帰ってきてお風呂はいってスキンケアする、みたいな感じなのをこの一週間は繰り返してる。
おかげで痩せたいって思った日(痩せたいって話 #1)から三キロくらいおちて、もともとがBig Boyなのであまり変化はみられないけれど、目標は随時アップデートということで、あとひとまず三キロ痩せたいな。なんちゃって筋トレしつつ、食事管理はいつも通りして、一日最低一万歩は歩く、やることは変わらないね、ゆるゆるダイエットで一年間でニ十キロおちましたっていうエピソードを夢みてます、夢みるのは無料だしね、いいでしょう。
日々の生活では、部屋の掃除もそれなりにしていて、洗い物もできているし、お風呂にも入れてる、スキンケアもちゃんとしてるし痩せるための諸々も地道に行っている、でもわからない、これが楽しいのか、気分があがっているのかは、正直なところ全然わからない。この前ちょっとゲームをやってみたけど全然おもしろくなくてやめた。
唯一楽しいのは写真と、こうやって文章を書けているときと、おいしいコーヒーと出会ったとき、あとちょっと筋トレが楽しくなってきた。日頃って筋肉を思いきり動かす機会がないので三日にいっぺんくらい体を動かすの、最初は億劫だけどなんかいい。
そういえば先日二子玉川で夏っぽいポトレ写真を撮ってきたの、下に貼るのでぜひ見てください、素敵な写真が撮れました。楽しかったですね、ありがとうございました。