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「同じ話を繰り返す親にイライラして、きつい言葉を投げかけてしまう」と相談されたとき
noteがきっかけで『子育てとばして介護かよ』を出版してから、介護について相談される機会が増えた。
よく相談されることのひとつに「同じ話を繰り返す親にイライラして、きつい言葉を投げかけてしまう」がある。
ホントにもう、イヤにやっちゃうんですよ!!! というテンションで聞くこともあれば、「ホントは怒らないほうがいいんですよね……」と後ろめたそうに言われることもある。
きつい言葉を投げかけたいわけではない。
でも、イライラしちゃって、つい声が尖る。
このまま放置すると、もっと悪くなってしまうんじゃないかと不安も募る。
だからこそ、「しっかりして!」と叱咤激励したくなる。
「またなの!?」と突き放し、険悪になったりもする。
こんなとき、「寛容に対応しましょう」「繰り返したくて繰り返してるわけじゃないんだから」と諭すのは悪手だと思ってる。「きつい言葉」を投げかけるには相応の積み重ねがあったりもする。
刺々しい言い方は、言ってるご本人がギリギリ、限界の精神状態にある現れなのかもしれない。だからこそ慌てて、たしなめるようなことはしたくない。もう二度と、言葉にしないで、苦しさもつらさも胸の奥深くにおさめてしまいかねない。
かといって、「親子だから大丈夫」「そのままでいいんです」「きっと、お母さん(お父さん)もわかってくれますよ」と伝えるのも、どこか違うような気がしている。
「お願いだから、しっかりして!」と責め立てることで、正気を保ってほしいと願ってる人が一定数いるような気がするからかもしれない。認知症だったらどうしよう。そうであってほしくないという不安を打ち消すために、ワーワー騒ぎたてる。そんなケースは珍しくない。
責め立て、騒いだからといって認知症を回避できるわけではない。むしろ、ストレスをかけるだけ逆効果なのではないか。
義父母が認知症だと診断されたとき、義姉は義母のために英語ドリルを買ってきた(義母はもともと英語教師だった)。気持ちはわかる……というのは真っ赤な嘘で、意味が分からないと思っていた。
頑張れ頑張れと追い立てて余計に認知症が悪化したらどうすんねん、とも思ってた。義母の英語好きは変わらず、楽しそうにやっていたようだし、「イヤなことはイヤ!」ときっぱり言うタイプでもあったので結論としては、「まあ、いっか」だったんだけれど。
「認知症にならないよう、×××をさせてます!」
そんなフレーズを聞くたびに、その×××がご本人が好きなものだったらいいなあと願う。
かといって、「そんなん厳しく言ったり、本人が好きでもないことを無理やりさせても、ストレスがたまるだけでっせ~~~!」とか言われても、つらい気持ちにさせるだけだろうなとも思う。
いっぱいいっぱいのときに聞かされるアドバイスほど、うっとうしいものはないし。
どうしたらいいんだろう。もにょもにょ考えていて、思いついた新バージョンは「きつい言葉を投げかけるのはやめられるものなら、やめたいですか?」と質問してみる。
もし、「やめたい」という答えが返ってきたら、次にこう聞いてみたい。
「〈同じ話を繰り返さなくなる〉以外で、どういう状況だと、きつい言葉を投げかけずにすみそうですか」
そして、一緒に考えたい。
ぐちぐち言う親のことは放って、おいしいケーキ食べに行くとか、少しでもゆっくりお風呂に入るとか、睡眠時間確保するとか。兄弟姉妹はうまいことやりとりしてるなら秘訣を聞いてみるとか。「兄に対してだけは、調子いいんです」なんて話が出てきたら、いっそ、おしゃべり担当は任せちゃおうと作戦たてたり。
あれをしろ、これをしろと言われるとつらくなるけど、「そのままでいい」と言われて気が楽になるかというとそうでもない(気が楽になることもある)。今回はどっちかなあ、どっちでもなくて、また第三の道があったりするかなあというのをゆるく探り当てて、一緒に考えられる問いかけやあいづちや雰囲気をひとつでも多く見つけていきたい。