セルフヒーリング
近頃は気温の変化も大きく、体調を崩す人も多いと聞く。
私ももれなく、その内の一人である。
頭が痛い、喉の違和感、胃の痛み。
上げればキリがないけれど、年齢もあるのか日々の体調変化が目まぐるしい。
薬を飲めばいいのだろうが、極力自分の力で切り抜けてみせると意気込み、ひたすら不調と向き合ってしまうのだ。
痛みや違和感と戦っている時に、いつも脳裏に浮かぶのは、こう出来たら楽になるのではないかという妄想。
例えば頭痛であれば、この痛みを引き起こす頭痛の糸みたいな物をこめかみからツツーと引き出して頭痛が消えたらいいのに。
胃痛であれば、今このギューっと痛がっている胃を取り出して、ぬるま湯の中で綺麗にして優しく温めてあげたいとか。
そんな事考えている暇あるなら薬を飲んで治せばいいと思うのだが、ついつい薬を後回しにして自分の限界まで我慢してしまうのである。
我慢の限界と言えば、この昨今の急激な冷え込みと年齢のせいか、いささかトイレが近くなっている。
飲み物を飲めば、すぐトイレに行きたくなってしまい、体に水分足りてますか?と心配になるほどだ。
少しくらいなら我慢できると、またもや私の悪いくせで何事も後回しにしてしまい、いざトイレへ行くかと重い腰を上げた時には、なかなかの切羽詰まった状態となっている事がある。
それでも、直前までは余裕があるのだ。
鼻歌混じりでトイレへ向かい、いざ個室へ入る直前に猛烈な尿意に襲われる。
子供が我慢するかの様に足を地団駄。
タイミングよく行動しないと無事にゴールまで辿り着けない予感。
波が少し収まるタイミングでトイレへ入り鍵を閉める。
次のタイミングでズボンを脱ぐ。
さながら、出産時の陣痛の波の様に自分と呼吸を合わせ動かねばならないのだ。
この話をすると必ず言われるのは、だから早めに行かなきゃ!まだ早いかな?と思っても行った方がいいという、ごもっともな意見。
そうなのだ。早めに行けばいいのだ。
しかし、学習しない私は何度も経験してしまう。
先日、テレビでこういう症状を改善できるという薬のCMが流れた。
「え?お薬で治せるんだ〜!」
私が思わず呟いたセリフである。
これを聞いた企業の人がいたら間違いなく私をCMに起用するのではないかという、真実味を帯びた自然体の一言であった。
残念ながら家に1人でいたのでオファーはなかったが。
年齢を重ねると、人に会えばお互いの体調の話しが高い割合で出てくる。
やれ、どこが痛い、あそこの病院に通っているだとか。
まだまだ、そんな年ではないと思っていたのだが、確実にそうなのだ。
だから、CMを見てもあんな切実な反応が出てくるのだろう。
これからは薬も上手く活用して、自分のセルフケア(妄想)も取り入れつつ、気長にCMへのオファーを待つとしよう。