泡跡(ほうせき)をつみ重ねる時
それはエンジェルリング(天使の輪)やレースの模様に喩えられる。
ビールの出来、コンディション、注ぎ方、グラスの洗い方、そして飲み方まで、醸造所から飲む場所、飲む瞬間までのいろいろが関わってできている、物語の結末のようなものとも言える。
時には、ふんわりやわらかく、
時には繊細な模様を描き、
時には何かを語りかける記号のようだ。
この特別な空間で、光と影の中に佇むリュトンを見ていたら、エンジェルリングでもビアレースでもない、もっと相応しい呼び方を思いついた。
泡の跡、泡跡、ほうせき...
「泡跡(ほうせき)」と呼ぶことにしよう。
人とビールとグラス、そして飲み手がこの瞬間に至るまでのストーリー、
それは奇跡的な組み合わせで、唯一のものだ。
きらきらと輝く時間、二度はない、貴重な瞬間のつみ重ねの跡は、
きらめく宝石のようじゃないか。
「泡跡(ほうせき)」