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永野とくるまがお笑いを進化させる

突然ですがみなさん、「お笑い」って何でしょう?

いつ笑いが起きるのか考えてみるとその答えが分かってきます。
笑いは多くの場合こういう時に発生します。

・認知の裏切り 驚きによる生理的な笑い
・予想の裏切り 思ってたんと違うズレの笑い
・期待の裏切り 思わぬ成功や失敗の笑い
・常識の裏切り ルールや倫理を無視したスッキリ感の笑い

これは二代目桂枝雀が提唱した、笑いとは「緊張と緩和」であるという理論で、彼は落語や漫才のウケる構造まで類型化し、いわば音楽の父バッハのようにお笑いの仕組みを形にしてくれました。


新番組、ひっかかりニーチェ


ところで、永野と令和ロマンくるまの番組、「ひっかかりニーチェ」がスタートしました。

テーマに沿ってこの二人が語りまくるのですが、もう途中から二人の主張が面白すぎて止まらないのでぜひ見てみてほしいです。


永野という芸人は令和ロマンのような受賞の肩書もないし失礼ながら代表作もそれほどないのに、出る番組出る番組で受けまくっています。

多くの場合彼が世間の声や共演者などをぶった切って面白くなり、その極論で周囲を怯えさせつつも、よく考えたらその理論の正しさに納得してしまい、そのギャップでもう一度面白くなります。

言いたいことも言えないこんな世の中…に絶対必要な人でしょう。

そのため彼は偉い人にはよく怒られるそうですが、視聴者からの人気と期待はますます高まっています。


そして令和ロマンのくるまですが、すでに才能と実力は証明されていて、いつ普通の番組で活躍してくれるかと待っていましたが、ついにその時が来ました。

恐ろしいくらい世の中を冷静に分析する頭脳、それでいながら斜に構えた否定的なスタンスではなく、明るく未来を語れる芯の強さ。

頭が良すぎる人特有の話のスピード感があり、視野が広いが故に主観と俯瞰の視点切り替えが速すぎて周囲が置いてきぼりになりそうな瞬間はありますが、その状況自体も彼らしくて面白いです。

またそういった天才によくある純粋さを持ち合わせているのもいいですね。


緊張と緩和の笑いを体現する二人


私は永野という芸人は、長らく売れなかった地下芸人という生き方自体が矛盾にあふれていて、今まさに人生の悔しさをお笑いという形で解決しようとしているその様こそがお笑い芸人だなといつも思います。

それはまさに「緊張と緩和」の生きざまです。

いつも少しずつ感性がズレてしまう自分、上京して有名になりたいのに何の努力もしない自分、地下に潜って悪口しか言わない自分、でもラッセンで受けたら喜んでテレビに駆け付け、でも世間からバカにされ裏切られた自分、そして50になってついに自分らしく売れることができた自分…

一般世間の平和な人にはない本当の波乱を越えた先の安定感を、あの激しい芸風の裏に感じます。


そしてくるま。

今や大学お笑いの象徴として突っ走って活躍していますが、彼は天才的な知力を持ちながら、非常に物事にこだわりすぎるタイプのようにも見えます。

人を人と思わず合理的に評価できるような冷酷さと、思いつめた愛情が爆発してしまうような熱さを同時に持つ、カリスマ起業家のような印象です。

あえていうなら、一人の人格の中に「緊張」と「緩和」が同居していると言えるのではないでしょうか。


この番組はまだ1回しか放送されていませんが、そんなくるまの鋭い問題提起と解決策の提示はありつつも、気が早すぎ熱中しすぎて前のめりになったくるまを、まさかの永野が諫める側に立つという驚きもあります。

くるまが制限なしに活き活きと発言して天才を発揮し、永野が過激でありながら納得の正論を吐いて大人の視点でまとめる、といったお互いの良さが出続けるような楽しい番組に育ってほしいです。

そして三谷紬アナも自分の言葉でそれらを受け止めて進行するような流れができたら、ひょっとして大きく化ける?なんてことも期待してしまうので、みなさんもよかったら一度見てみてください。



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