ついに今、本当に終わるテレビ業界
私は昔、テレビ業界を目指していた時期がありました。
正確にはテレビ番組制作会社(確か結構老舗の会社だったはず)にとある先生の推薦で入れそうだった、というのが正しいのですが、それは実現しませんでした。
私がIT業界、いや就職氷河期にはまだ「IT」とは呼ばれてはおらずマルチメディアなどと言われていましたが、その方向に将来を強く感じ、半ば推薦をお断りする形でそちらに向かったからです。
しかし当時のIT業界黎明期は本当に海のものとも山のものともつかない浮き草稼業といえるようなもので、ブラックなのはもちろんのこと、まともな上司などおらず、自己流で仕事を身につけるしかありませんでした。
その時に「やっぱりテレビ業界のほうが良かったのかな…」と一度も思わなかったのかと言われれば、もちろんそんなことはありません。
テレビ業界は出来立てのIT業界とは比べ物にならないくらい世間では憧れの職業で、同じ苦労をするならそういった仕事の方がいいはずでした。
では私は、なぜテレビ業界に行かなかったのでしょう?
それは、テレビ業界がその時すでに古かったからです。
直感的に、昭和の中頃に出来上がったテレビ業界というシステムは、私が就職活動をしていた平成の時点ですでに古く厳しい業界だと感じました。
逆に、80年代後半から次の時代はコンピューターだと世間では言われており、パーソナルコンピューターが個人の可能性や領域を広げるツールであることは間違いなく、その仕事を絶対にすべきだと決心しました。
私の父は高度経済成長期に花形と言われたある業界にいましたが、私が学生の頃ふと言われた言葉をとてもよく覚えています。
「若いときは、いま良い業界よりも、これから育つ業界に行ったほうが絶対いいぞ」と。
その時はそんな見方もあるんだくらいにしか思っていませんでしたが、いざ自分が就職となった時、その言葉が頭に蘇りました。
あれは父が自身の経験から導き出した心からのアドバイスでした。
そして、令和のテレビ業界はもう確実に難しい状態です。
上場企業として考えづらいことですが…
あのお台場のテレビ局が人気男性タレントに自社の女性アナウンサーを上納する女衒システムを構築しているという疑いがあり、女性アナと思われる元社員が中居正広氏から性被害を受け、慰謝料9000万円(!)を受け取って和解していた。
という報道があり、真偽はまだ分かりませんが、すでに中居氏は予定されていた番組の出演を取りやめ、CMも放送を自粛しているようです。
通常こういったセンセーショナルな報道は週刊文春が突っ走って流し、あとで実は間違ってましたなんてこともありますが、今回はより慎重な報道姿勢のスポーツ新聞社等も複数追随しているため、事実の可能性がかなり高まっています。
これはもういろいろ無理でしょう。
こういった組織ぐるみの問題をかなりの信憑性を持って疑われ、世間(特にネットの人々)の目が大きく変わってしまった時点でもう厳しいです。
私はこの話を見て、もう何回も繰り返されるテレビ業界の数々の不祥事を思い出し、どうしてこんなことになってしまったのかと嘆きつつ、自分が若い頃にした大きな選択、つまりテレビ業界を選ばなかった当時の自分を誇りに思いました。
よくやった、当時の俺。
当然ですがこんなことになると予期していたわけではありません。
でも、仮に私が番組制作会社でずっと働き、キャリアの後半に来た時にこんなひどい下品なスキャンダルばかりの業界にいたら、少なくとも自分の父のように子供に仕事のことを話すことは出来なかったでしょう。
斜陽の業界に不祥事はつきものですが、その多くは詐欺、横領や脱税、ハラスメントや暴力です。
今回のような性的な問題は数は少ないですが金銭トラブル等に比べ長く人々の記憶に残り続けるため、関係者のダメージがデカいです。
つまり、一生かけた自分の仕事を誇れなくなるということです。
そんな悲しいことがあるでしょうか?
その業界の人がもしこの文章をお読みであれば本当にお気の毒としか言いようがありませんが、私は、自分の子供がこういった過ちを避けられるよう出来るだけのアドバイスをしたいと思います。
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