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シティポップでも昭和歌謡でもないけどまた聴きたい曲

シティポップや昭和歌謡のブームでかつての名曲が次々と掘り出されていますが、それでもいまだに忘れられたままのいい曲がたくさんあります。

今回は特に、そういった振り返りの波にもほとんど引っかからずファンだけがひっそりと聴いているに違いないけれど、今聴いても本当に素晴らしい曲を皆さんにご紹介します。


GAO|サヨナラ 1992年

強くてハスキーな声、ショートで中性的な容姿など正体不明感が当時人気を呼んだGAOですが、今聴いても本当にいい曲ですね。
今聴くと曲の展開がシンプルで凝っていないので、なおさら彼女の歌が心に強く響きます。

悪い言い方をすれば「一発屋」的な存在と言えますが、だとしても一生に一曲これだけ心を震わせる名曲を持てれば素晴らしいのではないでしょうか。


小比類巻かほる|Hold On Me 1987年

彼女は近年のシティポップ文脈で語られることもありますが、それよりも懐かしさが勝ったので今回取り上げました。

この曲は彼女がメジャーになるきっかけの曲で、当時20歳とは思えないソウルフルな歌声は本当に上手いし、何よりたたずまいが美しいですね。

ただ当時はもっと可愛らしい感じの女性が好まれていたので、彼女がいまいちブレイクしきれなかったのも分かります。
絶対今の方が受けただろうな…


篠原ともえ|クルクルミラクル 1996年

今の大人の彼女とは異なり当時はおふざけキャラで突っ走っていましたが、この曲は全盛期の石野卓球の才能が冴え渡って、面白いのにカッコいい曲という奇跡的なバランスを保っていました。

同じパターンでポケビブラビなどもありましたが、そちらは今でも何かと話題になるのにこの曲はそういうこともなく、せっかくなのでこういう場に出して少しでもみなさんに思い出していただければと思います。

あと当時のTV番組めっちゃ面白いですね。


谷村有美|がんばれブロークンハート 1989年

非常にバブルや好景気の記憶を呼び覚まされる曲で、彼女は少し内気な守ってあげたい女性イメージで売れたと記憶していますが、今はもうそういうの流行らないですよね。
30年でいろんなことが変わったんだなと実感しました。

ただ音楽自体はとても凝っていていま聴き直しても十分完成度が高く、発売されたのがまだぎりぎり80年代だったというのが少し意外なくらい良いサウンドだと思います。


次はさらに懐かしいと私が思う男性編です。


横山輝一|Lovin' You 1993年

当時流行ったブレイクダンスやヒップホップ的なサウンドに正統派男性ボーカルを乗せた良曲で、こぶしを利かせた歌い方が印象深いです。
90年代流行ったポジティブソング(?)の代表のひとつではないでしょうか。

調べるとEXILEの前身ZOOの作曲をしていたらしく、それで、ちょっと朴訥な印象のある彼と当時としてはおしゃれな音楽のギャップが生まれた理由が分かりました。
当時の粗い画質のMVで見ればより90年代感を思い出せます。


KATSUMI|危険な女神 1990年

深夜のTVで流れまくっていた「ジュワイヨ・クチュール・マキ」のCMでブレイクした曲のひとつです。
じゅわいよくちゅーるの響きが懐かしすぎて今回思わず取り上げました。

ただ改めてちゃんと聴いたらしっかりとしたバンドサウンドとボーカルであり、記憶よりずっとハイレベルなアーティストだったと気づきました。
曲調はまさに90年代J-POPで、サビのフレーズが印象的なのとラテンぽいアレンジは今こういうのがあっても面白いのになと思います。


m.c.A・T|Oh! My Precious! 1995年

Bomb A Head!で注目されたm.c.A・Tですが、DA PUMPのプロデュースでも活躍し、この曲は逆にDA PUMPが2021年にカバーしたくらいの良曲です。
お聴きの通り純度の高いNew Jack Swingで、撮影はニューヨーク、監督はスパイク・リーというavexのCDバブルを体現したようなMVも凄い。

彼はあまりに90年代的すぎたからか、その後聞くことはあまりなくなってしまいました。
でも私はこのやんちゃさと美しい曲という組み合わせが今でも好きです。


藤谷美和子・大内義昭|愛が生まれた日 1994年

最後は男女の組み合わせということで、曲自体は非常に売れたので知っている人が多いと思いますが、この動画の再生回数が凄くて何と1700万回を超えています。

藤谷美和子は当時から「ぷっつん女優」(昭和の表現…)で有名でいつ何が起きるか分からない女性でしたが、この映像でもその才能をいかんなく発揮しています。

でも、曲が始まる前はド緊張で、始まっても歌詞を間違え音程も外していますが、いざハマった瞬間の声と表情と立ち姿が本当に輝いていて、その美しさや尊さは何物にも代えがたく、もうこんな人いないのでは?と思わせる魅力があります。

今は世間のいろんな要求が厳しくて、彼女のような存在は表に出ることが許されないでしょう。

もう決して現代では見ることができない「失われた輝き」というものがあるとしたら、この映像で彼女が垣間見せる子供のような笑顔のことを言うんだろうな、と思います。



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