タワーマンションに住みたい勢
リアルにタワーマンションに住んでいる知り合いがいるようになったのは平成の後半の頃からです。
高層住宅は嫌いではありませんし美しい眺め自体は素晴らしいと思いますが、私は2階以上に住んだことがないので、高層マンションに住む感覚は分かりません。
(あと地震が怖いというのが大きいです。もちろんお値段も・・・)
でもやはり住んでみると非常に素敵なのだろうと知り合いの話を聞いて感じていました。
一般的には20階建て以上をタワーマンションと呼ぶらしく、なんと日本最初のタワマンは1971年に建てられました。
ただし当初は数も少なく、実際に数が増えだしたのは2000年(平成17)ごろからとなります。
新しいライフスタイル
高層住宅とはつまり、住居を縦方向に延ばして条件の良い土地の活用度を高める目的で作られた建築物ということになります。
ちょうど六本木ヒルズの開発が完了した2003年頃、当時森ビルの社長だった森稔氏が東京の中心部の高層化による土地の有効活用を強く訴えた、
New tokyo life style think zone
という本が強く印象に残っています。
WIREDやInterCommunicationのようなデザインで、内容はもとより、装丁も非常にレベルが高かったと思います。
このように、新しい都市のライフスタイルとしてタワーマンションのような高層化が進み、2000年代にはブームと言える状況となりました。
タワーマンションを求める人々
タワーマンションの供給数は2003年から2009年に最も伸び、おそらくその時期から一般化が始まったと思います。
そして平成の後半くらいからでしょうか、タワーマンションに憧れる若い人が結構多いということに気づきました。
不動産は高価なだけでなく人生のゴール的なイメージがあり、タワーマンションはいわゆる社会的な地位が高い人々、パワーカップル、資産家、裕福な外国人、投資家など特別な層だけのものである。
若い時は駅や繁華街など仕事と遊びに便利な街に賃貸で住み、お金があればおしゃれな街のおしゃれな物件に住み、お金がなければ面白い街の古いアパートにでも住む。そして思いついたら引っ越すという軽さで住み替える。
自分と同じように、今の若い人もそうだと勝手に思い込んでいました。
しかし、タワマンに住みたいと憧れる若い人を実際に目にし、またとても若い成功したタレントがタワマンに住むというステータスを手に入れたといった話を聞いて、価値観の変化に驚いています。
流行から定番的存在へ
よく聞くタワーマンションの悪い所として、このような話があります。
無駄に高い、無駄におしゃれ、眺めもすぐ飽きる、地上に移動するだけで時間がかかる、住人の格差がある、維持コストが高い、子供が自然に触れないので良くない、騒音・揺れ、停電や災害時に困る。
私は、高層住宅で育つ子供が高さを怖がらないことによる不慮の事故や、外出が減って自然から得られる刺激が減ることが心配です。幼児期は特に気になります。
ただどんな住まいでも良い点や悪い点はあり、これだけ悪い点を喧伝されても人気は衰えていないのが事実で、それ以上に多くの人に選ばれる存在となっています。
憧れの存在というステータスや、最新の環境・設備、そして人間が普通では到達できない高さに住む達成感を求めているのかも知れません。
住居を可能な限り合理的に集中させる都市の構造を、一つの建物にコンパクトに収めようとしたのがタワーマンションという形態であるとすると、都市に集まる人が相変わらず多い今、当然タワーマンションに住みたい人もまだ多く存在し続けるのだろうと思います。
「都市的なもの」にはそれだけの引力があり、それが一極集中を生んでいるという問題はありますが、タワーマンションはまさにそれを象徴する存在だと言えるのではないでしょうか。
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