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【コラム】 試合を決める一撃を打てる選手

2024/2/3
横浜ビー・コルセアーズ GAME1から見えた
# 4 寺園脩斗の
素晴らしいパフォーマンスについて
少しだけ語りたいと思います。

◯ クラッチタイムに突入!

第4クォーター
オフィシャルタイムアウトの時点で
残り4分45秒
63-66でレバンガ北海道が3点リード
という状況でした。

# 81 関野は4つめの個人ファウルを取られ
そのタイミングでオフィシャルタイムアウトへ。

この時点で # 4 寺園は11得点でした。
前半で10得点を取ってから
第3クォーターの残り4分56秒で投入され、
以降は厳しいマークに遭って
フリースローによるわずか1点のみで
抑えられているという場面です。

いわゆるクラッチタイムというのは、
「試合終了まで5分以内で点差が5点以下」
定義されるのですが、
この試合はまさに
クラッチタイムに該当するゲームです。

レバンガ北海道のオンザコートは
# 4 寺園 # 6 菊地 # 15 島谷 
# 21 Dウィル # 24 ブルックス
でタイムアウト明けの最終局面を迎えます。

# 4 寺園が起点のセットオフェンスで
フローターによる2得点、
そして
ピック&ロールによる
# 24 ブルックスへのパス経由で
左コーナーの# 2 ラモスの3ポイントを演出で
たまらず横浜にタイムアウトを取らせます。


◯ # 4 寺園 起点のセットオフェンス

この時点で
残り3分05秒、66-71 5点差

ここからフリースローで1点を加算し、
# 4寺園が起点となる
セットオフェンスが続きます。

ショットクロック10秒で
# 24 ブルックスとの2メン・ゲームで
ピック&ポップのワイドオープンを作って
# 24 ブルックスに気持ちよく
3ポイントを打たせます。

結果的に、
このシュートは外れてしまうのですが、
ベストな攻撃を選択できているという点で
攻撃は成功と捉えることもできます。

5回その状況を作ることができれば、
統計上2本は3ポイントを決めてくれるので
たまたま外れた3本側にサイコロの目が出た
と捉えるのが
健全な「見方」なのかもしれません。

そして、次の攻撃ターンになったとき
同じように、
# 4 寺園からセットオフェンスが始まりました。

ショットクロック残り6秒で
Dウィルが左からピックをして
そこにディフェンスを引っ掛けて
一瞬フリーになりました。

まだ3ポイントラインから
1.5mほど離れています。

ショットクロック残り5秒で
# 4 寺園が選択したのは、ディープ3でした。

綺麗な弧を描きスウィッシュ!
残り1分03秒で66-75 
レバンガの75点目を決めて
# 4 寺園が吠えたシーンは
多くのレバンガブースターの心を
動かしたのではないでしょうか。
(そんな私もついつい叫んでしまいました。)

6点差の残り1分少々の時間帯で
相手にトドメの一撃を
喰らわせるだけの強メンタルの持ち主が
レバンガ北海道にもいたのです。
クラッチタイムの4分半で9得点、という
素晴らしい活躍でした!


◯ 試合を決定づける一撃を打てるプレイヤー

このシーンに既視感があると思い、
似たようなゲームを思い返してみると、
2023年8月27日、FIBAワールドカップ予選
日本代表 対 フィンランドの最終盤が
思い出されました。

第4クォーター残り4:35に
# 5 河村がレイアップシュートを決めて
78-78の同点に追いつき
さらにAND 1を確実に決め、
逆転に成功しました。

10点のビハインドを背負った状態で
迎えた最終クォーターは
じりじりと追い上げる形で、
ついにフィンランドを捉えたのです。

FIBAランキングでは
格上・強豪フィンランドには
NBAのスタープレイヤー
# 23 マルカネンがいました。

もちろんフィンランドも
目先の勝利が重要なので
強力な反撃の手を打ってきます。
本気 vs 本気のタイトな試合となりました。

リードを獲得して追われる立場の中、
ゲームメイクを託された # 5 河村には
5つの選択肢がありました。

目の前には
現役NBAプレイヤー # 23 マルカネンがいます。

・自分(# 5河村)
・外角のシュートが得意な # 30富永
・FG%が結果的に大会No.1の # 24ホーキンソン
・NBAで活躍している# 12 渡邊
・どこからでも点が取れる # 18馬場

そのような選択肢がある中で
彼が選んだのは、
NBA選手にドリブルで仕掛けて3ポイントを放ち
ゲームを決めに行く、というものだったのです。

そして、
その3ポイントシュートは見事に決まり、
フィンランドを突き放すことに成功しました。

蓋を開けてみれば、
10点差を付けての快勝となり、
第4クォーターの# 5 河村の活躍は
多くの視聴者の記憶に残ることになりました。

堅実にペイントエリアで2点とか
なんとかリードを守ろうとか
そういった発想ではなく、
自信のあるプレイ、得点効率の高いプレイに
とれだけ懸けられるかが
勝利にとって
大事な強者のメンタルなのでしょう。


◯ 残り1分で6点のリードで# 4 寺園が選択したのは ?

そんな # 5 河村の目の前で、
試合を決定づける75点目を決めた# 4 寺園。

結果的に、
横浜ビー・コルセアーズの最終得点は73点。
つまり、
文字通り試合を決めた一撃になったのです。

世界レベルで活躍するプレイヤーの域に
# 4 寺園は足を一歩踏み入れていると思います。

何かのインタビューで
ダブルキャプテンに対して
「日本代表は狙わないのか?」と問われていて
二人とも謙遜してNoと答えていましたが、
GAME1の75点目と同様のシーンで
試合を決定づけるシュートを
打ち切る/決め切るプレイヤーは
そう多くは無いと思います。

日本代表クラスでも、
そのようなシュートを
打ち切れるプレイヤーは限られており、
勝負強さを発揮してチームを勝利に導く
一流プレイヤーの証になります。

# 4 寺園は間違いなく、
そのようなシュートを
「打ち切れる側」のプレイヤーだと
確信させてくれるような
見事なパフォーマンスを発揮しました。

残り1分で9点差というと、
相手にとっては相当厳しいです。
最低でも3回の攻撃を要するわけなので、
横浜ビー・コルセアーズが逆転できる確率を
一気に削り取ったのが
# 4 寺園の3ポイントシュートです。

非常に価値の大きな決定打の一本になりました。

結果として
20得点という素晴らしい結果を残しましたが、
やはり、75点目の3ポイントが特に
# 4 寺園の強いメンタル・技術を
よく表しているので
深く印象に残っています。


◯ 長くレバンガ北海道を支えてほしいなぁ〜

レバンガ北海道に移籍してから
3年目を迎えています。

もちろん、
前に所属していた三遠でも活躍をしていて
レバンガ北海道も当時の寺園に
苦しめられた記憶もありますが、
ぐんぐんと成長しているのが分かります。

代表選手候補になれるかなれないかは
ヘッドコーチの好みやプランに左右されますし、
同タイプに選手も数多く存在します。
(横浜BCの河村、千葉Jの富樫、島根の安藤など)

彼らと競争して優位に立って
初めて得られるチャンスなので
現実的には可能性は高くないかもしれませんが、
Bリーグの中でも非常に優秀で
頼もしいプレイヤーとして
レバンガ北海道に貢献してくれてるのは
本当に心強く頼もしいことだと実感しています。

そして、一流のプレイは
必ずチーム内やチームメイトの若者に
いい影響を与えることでしょう。

箱推しの私ですら、
推したくなる気持ちにさせてくれますし、
長い期間、
レバンガ北海道にいてほしいとも思います。

これからも応援しています!

がんばれ、レバンガ!
がんばれ、寺園脩斗!

文:アズマ リュウセイ
写真:民谷 健太郎

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