見出し画像

弁理士業の魅力 審査官面接

40代弁理士の石川です。今日は、弁理士業や知財に興味のある若い方や学生さんに向けて、審査官面接について書きたいと思います。

特許出願などの審査において、審査官とのコミュニケーションを取るうえで重要になってくるのが、審査官面接です。

特許出願は、出願されたものがすべて、登録(特許が成立)となるわけではありません。特許庁において、審査がされ、不適切な出願については拒絶され、特許性ありと判断されたものに特許が付与されます。

特許庁において審査を担う方が、審査官です。審査官は、出願審査請求がされた特許出願について、特許性があるかないかを審査します。

審査において、出願人の求めに応じて、審査官が出願人との間で行う面接を、審査官面接と呼びます。審査官面接について思うことを書きます。

1.極めてユーザーフレンドリーであること

以前、といっても多分15年以上前になりますが、出願人から求めがある場合でも、面接をしていただけないこともありました。特に、応答期限が迫っていたりすると、断られてしまうようなことがたまにありました。

最近は、弁理士から面接を求めた場合に、断られることはまずありません。審査官は、最低1回は面接に応じるように、面接ガイドライン【特許審査編】にも定められています。

したがって、最低1回は面接のチャンスがありますから、出願人からみれば、極めてユーザーフレンドリーであると思います。このような親切な行政庁はあまり他にないのではないか、というくらい親切です。これは、世界に誇れる日本国特許庁の美点であると思います。

2.日本国特許庁の審査官は極めて優秀

日本国特許庁の審査官は、極めて優秀です。私もこれまで、面接で多くの審査官にお会いしたことがありますが、本当に優秀な方が多いように思います。また、新しい技術に対する好奇心が旺盛な方が多いです。そうでなければ審査官の職務は務まらないと思います。

このように知的好奇心の旺盛な方々であるため、出願人から技術説明を行うと審査官に喜ばれることが多いです。

3.権利化の方向性を一緒に考えてくれる審査官が多い

審査官の方と面接して思うのは、権利化の方向性を出願人と共に考えてくれる審査官が多いということです。率直に言って、いい人が多いです。優秀で、人柄も良く、さらに、ユーザーフレンドリーとくれば、もはや代理人サイドからいうことは何もありません。

このため、私の過去の経験では、面接をしてまずかった、或いは面接をしなければ良かったということがありませんでした。

また、特許庁の考え方をダイレクトに聞ける貴重なチャンスですから、我々弁理士にとっても学びのある機会となります。

このため、出願人にとってメリットが見込めるのであれば、できるだけ面接をしたほうがいいように思います。ただし、弁理士の手数料がかかることが多いと思うので、費用面で出願人から了承を得ることが必要になります。

4.オンライン面接にも対応してくれる

コロナ禍でありましたので、Web会議形式でのオンライン面接にも柔軟に対応いただけるようになりました。したがって、出願人や弁理士としても、特許庁に出向かなくて済むようになったので、気軽に面接を申し込むことができるようになったと思います。

現在でも、電話面接も可能となっていますが、私は、どちらかというと、審査官と顔を合わせて行うWeb会議形式のほうが、審査官との間で意思疎通を円滑に行えると思うので、優れていると思います。

5.まとめ

私のこれまでの経験で、審査官面接は、申し込んで損となることはありませんでした。出願人から、費用面についての了承を得ることができれば、積極的に活用すべきであると思います。なお、面接時には、代理権(弁理士資格等)を確認されることが通常となっていますので、出願人以外で、弁理士や弁護士資格の無い方が審査官に面接を申し込むことは基本的にできません。

いずれにしても、出願人サイドと特許庁との間で、十分な意思疎通を図ることができる手段として、審査官面接ほど優れたものはありません。

また、審査官面接は、我々弁理士にとっても大変に学びがあり、且つ、やりがいのある業務となっています。

出願人としては、特許庁に出向いたり、Web会議をしたりするのに緊張するかもしれませんが、実は弁理士の方もけっこう緊張しています。冷静に見えて、実は裏では冷や汗をかきまくっています。

ただ、面接完了後の達成感は、格別なものがあります。審査官面接は、弁理士業のなかでも楽しみの多い業務です。

弁理士の石川真一のフェイスブック
facebook.com/benrishiishikawa



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?