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逃げることも戦略の1つです!単なる精神論に惑わされないように

何事もあきらめずに、継続することが大切!

世の中には、諦めない心が大切だとか、逃げてはいけないとか、そんな根性論を真に受けて人生を棒に振る人たちが後を絶ちません

特に、SNS界隈では「諦めなければ夢は叶う」といった精神論が大手を振って蔓延しています
そのため、諦めることや逃げることに対して必要以上にネガティブな印象を持つ人が多いのが実情です

でも、逃げることって、そんなに悪いことなのでしょうか?

よく考えてみましょう

実はビジネスの世界では、撤退や撤収を決断することこそが最善の選択となるケースが数多く存在します
いや、ビジネスに限らず、あらゆる場面において【諦める】【逃げる】【見切りをつける】という選択は、極めて合理的な判断である場合が少なくありません

今回は、「逃げる」という選択が正解となるケースと、その判断基準についてお話ししていきます


ビジネスの世界での実例

ビジネスの世界では、撤退や事業売却といった判断は珍しくありません
むしろ、そのような判断が出来ない経営者は無能だとさえ言えます

たとえば、ソニーはPCビジネスからの撤退を決断しましたよね
VAIOブランドは別会社に売却され、ソニーはPCビジネスから完全撤退しました

この判断は極めて合理的なものでした
なぜなら、PC市場は成熟期を迎え、価格競争が激化する一方で、スマートフォンやタブレットの台頭により、市場自体が縮小傾向にあったからです

ソニーはその状況を正確に分析し、経営資源を成長が期待できる分野に振り向けることを選択したというわけです
これこそが、経営者としての適切な判断と言えるでしょう

一方で、東芝は原子力事業への固執により、著しい経営悪化を招きました
正直、2006年に米国のウェスチングハウスを買収したときに、かなり無理をしたという印象がありましたよね

その後、2011年の福島第一原発事故により、世界的に原子力発電所の新設計画が見直される中でも撤退の判断が出来ず、最終的には巨額損失を抱えることになったのです

結果として、東芝は看板事業であった半導体部門の売却を余儀なくされ、東証一部(現・プライム市場)からも市場第二部への降格を経験することになりました

このように、撤退の判断が遅れることで、取り返しのつかない事態を招くことは珍しくないということです
むしろ、そのような事態は、ビジネスの世界では日常茶飯事とも言えます

個人事業主にとっての教訓

個人事業主にとっても、この教訓は極めて重要です

たとえば、ある事業モデルで成功を収めたとしても、それが永遠に通用するわけではありません
環境の変化により、かつては有効だった手法が通用しなくなることはよくあります

そのような状況下で、過去の成功体験に固執し、いつまでも同じことを続けることは愚かな選択でしかありません

具体例をあげましょう

ブログ運営において「成果が出るまでには時間がかかる。辛い時期を乗り越えれば、必ず結果が出る時がやってくる」というような精神論がよく語られます
確かに、そのような例も存在するでしょう

ところが、これは得てして結果論であることが多いものです
実際、同じようなテーマ、同じような更新頻度、同じような文章力であっても、ブログの収益に大きな差が生まれることは珍しくありません

したがって、いつまでも結果が出ないブログに固執するのではなく、新しいブログを立ち上げる、あるいは全く異なるビジネスを並行して行う方が合理的と言えます

むしろ、そのような見切りをつける判断ができない人は、ビジネスの世界では通用しないでしょう
うまくいかなかった時点で見切りをつけ、新しい取り組みにシフトする。
当たり前のことですが、これこそが賢明な判断というものです

諦めないことの愚かさ

たとえば、好きな人にフラれたにも関わらず、諦めきれずに追いかけ続ける。
これを何と言いますか?
そう、ストーカーです

と、まあ、これは極端な例かもしれませんが。

とはいえ、諦めないことが愚かな選択であり、さらには犯罪的な行為にまで発展する可能性があることは、冷静に考えれば誰でもわかることでしょう

さらに言えば、巨大な津波が襲来するとき、「この程度の波なら何とかなるはず」と踏みとどまって抵抗しようとする人がいたとして、それを「諦めない心の持ち主」だと褒め称えるでしょうか?
決してそんなことはありませんよね

むしろ、一刻も早く高台に避難する、すなわち「逃げる」という判断をした人こそが賢明なはずです
自然の猛威の前では、人智は無力です
そのことを理解せず、意味のない抵抗を続けることほど愚かな選択はありません

実際、東日本大震災の際に「津波てんでんこ」(津波が来たら、てんでんばらばらに、すぐに逃げろ)という教えが、多くの命を救ったことは広く知られています
これは、三陸地方に古くから伝わる防災の知恵であり、「逃げる」という判断の重要性を端的に示す例と言えるでしょう

ともかくも「逃げる」という決断は、時として最も賢明な選択になり得るということです

それでもなお、諦めない心の大切さを執拗に説く人がいるのは、そういう人たちの多くが、実社会での経験が乏しい、あるいは結果を出したことのない人間だからではないでしょうか?
要するに、机上の空論を語っているに過ぎないというわけです

見切りをつけるタイミング

では、いつ諦めるべきなのか?
これについて、以下の3つの判断基準を提示します

  • 費用対効果が見込めない

  • 時間の機会損失が大きい

  • 精神的な負担が重い

これらの要素のうち、1つでも該当するならば、その時点で撤退を検討してください

とりわけ注意したいのが、時間の機会損失ですね
往々にして軽視されがちですが、実は最も重要な要素と言えます

なぜなら、お金は稼ぎ直すことが出来ますが、時間は取り戻すことが出来ないからです

ただし、ここで重要な補足があります

私は決して、努力することを否定しているわけではありません
むしろ、結果を出すまで諦めずに努力することは極めて重要だと考えています
私自身、受験勉強に励み、いわゆるSランクの大学に進学し、就職後も仕事を一生懸命頑張ってきました
並行して難関資格試験に挑戦していますしね
これまでの人生において、常に全力で物事に取り組んできたという自負があります

大切なのは、「努力すれば必ず報われる」という精神論と、「どうにもならないことは潔く諦める」という現実的判断を混同しないことです

たとえば、商品の販売方法を改善する、新しいマーケティング手法を学ぶ、お客様との関係性を強化するなど、自分の努力で改善できる部分については、粘り強く取り組むべきです

一方で、市場環境の激変、法規制の変更、あるいは相手の明確な拒絶など、いくら頑張っても自分ではどうにもならない状況に直面することもあります
そのような場合に、いつまでも過去の成功体験に固執したり、精神論で乗り切ろうとしたりすることは、明らかに不合理な選択でしょう

この「自分の努力で改善できること」と「どうにもならないこと」を見極める目を持つこと。
これこそが、ビジネスで成功する上での重要なスキルになるというわけです

世間体を気にする必要はない

「周りの目が気になって諦められない」

このような発想を持つ人も少なくありません
ですが、そのような他者の目を気にする習性こそが、あなたの足かせとなっている場合があります

世間体を気にして、明らかに不合理な選択を続けることほど愚かな行為はありません
他人の目など気にせず、自分にとって合理的な判断を下すべきです

むしろ、世間体を気にする習性自体を捨て去ることこそが、ビジネスで成功する上での必須条件とも言えます

諦めることで見えてくるもの

実は、諦めることで見えてくるものがあります

それは新しい可能性です

ある物事に固執することで視野が狭くなり、周りが見えなくなってしまうことは珍しくありません

しかし、諦めることで視野が広がるということはよくあります
その結果、新たな可能性の発見につながることもあるというわけです

まとめ

  • 「努力」と「諦める」は相反するものではない

  • 自分の努力で改善できることは粘り強く取り組むべき

  • 一方で、どうにもならないことは潔く諦める判断力が必要

  • 過去の成功体験への固執は危険

  • 世間体を気にする習性は捨てるべき

  • 諦めることで新しい可能性が見えてくる

繰り返しますが、「諦めない心が大切」という精神論と、「見切りをつける勇気」という現実的判断を混同してはいけません

努力するべきところで手を抜くのは論外ですし、そのような怠惰な態度では、そもそもビジネスの世界で生き残ることはできないのは当然です

かといって、どうにもならない状況で、いつまでも精神論を振りかざすことは愚かな選択でしかありません

むしろ、諦めることが出来ない人は、ビジネスの世界では通用しないと言えるでしょう
そのような人間に冷静な判断など期待できないからです

お客さんとの関係も同様です
私の場合、コミュニケーションコストの高いお客さんとは、即座に関係を断ち切るようにしています
なぜなら、そのような関係を継続することは、時間の無駄だからです

このように、諦める勇気を持つことこそが、ビジネスで成功する上での必須条件となります
ぜひとも精神論に惑わされることなく、冷静な判断を心がけるようにしてください


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