能登半島地震と企業のBCP
石川県、富山県、新潟県の各地に拠点を置く企業は、この大地震にどう対処しただろうか。
大企業か中小企業か、BCPを持っている企業かそうでないかによらず、これほどの大地震には太刀打ちできないのが現実である。
BCPを策定しているからといって、震度7の地震災害の中、絵に描いたようにスムースに事業を継続できるわけではない。リアルな事業継続方針には3つのオプションがある。
一つは「事業を止めて復旧に専念する」。最もオーソドックスな方針だが、業務(製品・サービスの提供)を止めることによる影響が限定的で、早期復旧が期待できる場合に適用できる。
次は「業務の継続を優先する(1)」。わずかな中断も許されない業務については、これらの業務対応を最優先で実施する。この場合、復旧活動は同時並行で実施、または一時保留とする。
そしてもう一つの「業務の継続を優先(2)」。復旧に長期を要し、かつ自力での業務継続が困難な場合は、他事業者への協力要請や業務委託などを通じて事業を継続しつつ、段階的に完全復旧を目指す。
いずれの事業継続戦略も、この判断に先立つ「緊急対応(Emergency Response)」の結果がモノを言う。「緊急対応」とは災害発生直後に従業員とお客様の命を守り、速やかに関係者とコミュニケーションをとり、二次災害の拡大を防ぐ初期の対応活動のこと。
緊急対応体制ができていなければ、従業員やお客様が命の危険にさらされ、コミュニケーションが麻痺し、対応が後手に回ったり場当たり的になったりする。対外的にはブラックアウトの状態に陥る。BCPにおける訓練や演習は、こうした事態を防ぐために行われる。
被災した企業の皆様、一日も早い復旧と復興をお祈りいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?