多様化するリスクとBCP策定の必要性【メディア掲載】
このたび、日刊工業新聞社発行「工場管理12月号」に、「特集:人新世のBCP対策~地球規模での危機管理に挑む~」と題する全20ページの記事を寄稿させていただきました。
企業を取り巻く脅威は年々その規模や激しさを増しています。自然災害、感染症の蔓延、サイバー攻撃、地政学的リスク、SNS の炎上によるブランドの失墜なども現実的な視野に入ってきました。どれも日々の企業経営に深刻な影響を与え得るリスクですが、なかでも、工場経営の持続可能性を脅かす最大のリスクは「大地震」と「気候変動」です。
企業は、こうしたリスクに対し、事業継続計画(BCP)を策定し、訓練・演習を反復し、いつでも運用できる体制を築いておくほかに自社を守る選択肢はありません。ところが多くの企業は「BCP は地震対策がメインであり、多種多様なリスクをカバーできるほど融通の効くプランではない」とか、「1 つのリスクを想定したBCP をつくるだけでも大変なのに、リスクの数だけBCP をつくる余裕などない」と考えています。
こうした姿勢は、BCP の本質である事業活動を阻害するあらゆるリスクに対処するための計画とは真逆の受け止め方に他なりません。このネガティブな姿勢はどこからくるのでしょうか? そこで、こうした疑問を端緒として、筆者はBCP を取り巻く現状と今後のBCP のあり方を追求してみることにしました。
本稿は3つのパートに分かれています。
「総論」では、「多様化するリスクと事業継続計画(BCP)策定の必要性~BCPの新しい形と効果的な運用方法の提案~」というテーマで、BCP の現状と意義を振り返るとともに、既存のBCP からより融通の効くBCP(マルチハザードBCP)への移行を提案します。
「解説1」では、「大規模地震に備えるBCP対策~リスクを最小化するための予防・低減策と代替戦略~」というテーマで、大地震を中心としたBCP対策を述べています。
「解説2」では、「気候変動に対処するBCP対策~熱波、水害、感染症への対応と対策~」というテーマで、気候変動の現状と主要な気候リスクのBCP 対策について考えます。
なお、この特集には、東北大学災害科学国際研究所(NPO法人事業継続推進機構)の丸谷浩明先生や、(一財)危機管理教育&演習センターの細坪信二先生も寄稿されています。いずれも、BCPの日本への導入と普及に先駆的なご活躍をされた著名な先生方です。
興味のある方は、ぜひご一読ください。
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