10年前の僕から11年後の誰かへ(18禁エロ小説を初めて投稿したので宣伝させてください)
先週土曜日(2024年11月23日)の夜から日曜日(2024年11月24日)の朝にかけて、男性向けアダルト小説投稿サイト、ノクターンノベルズに19万字ほどの小説をアップロードしました。自分にとっては、とても強い思い入れがある作品です。しかし、ターゲット層が狭い作風の上、同サイトでも初投稿の作品のため、なかなか読んで頂けていません。不快な表現も含まれており、大っぴらに宣伝することも憚られるのですが、以下にリンクを張らせていただきます。
ネゲントロピア:意識工学におけるリャプノフ指数とエルゴード仮説についての試論
18禁が大丈夫な方、そして、上記のリンクを辿って読んで頂ける方は、この記事はもう閉じて頂いて構いません。読んでください。以下は、この作品に対する筆者のその「思い入れ」を滔々と語る記事となっています。
リンク先の序言にも記載しましたが、この作品は10年前に友人たちと企画し、完成しなかったエロゲの没シナリオです。ノクターンノベルズの梗概欄の上限が1000字のため細かい経緯まで書ききれませんでした。企画が開始した日を明示するのは難しいのですが、敢えて特定するならば、2014年11月23日、日曜日、コミティア110の後の飲み会です。
その酒の席では、お互い仕事や家庭生活に追われ20代のようにコミティア向けの同人誌を作ることはできなくなった友人と、また何か一緒にやろうという話をしたはずです。その後、複数回の打ち合わせを経て、プロジェクトの大枠が固まりました。僕がシナリオおよび音楽担当、その友人がイラスト担当、もう一人の友人がプログラミング担当となり、アダルトノベルゲームを作成する。物語は、ゲームが作成される2015年から見て20年後、2035年の大学を舞台としたSFということになりました。
シナリオは一つのルート完結まで書き上げたところで小休止となりました。ノベルゲームである以上、ルート分岐があります。現在アップされている小説のうち、基本的には1章から7章までが共通ルート、8章から17章までは4人それぞれのヒロインを選択した場合の分岐ルートに相当します。このうち1章から10章までは2015年から2016年にかけて執筆されたものです。しかし、2016年初頭にその企画は頓挫しました。仕事の多忙さが主な理由です。その年には僕の家庭に長男も産まれています。その後、その10章までの12万字ほどの原稿は、続きの構想のメモと共に僕のパソコンの中で放置されていました。
その後、長男は小学生となり、2023年5月から、僕は投稿サイトに小説をアップするようになりました。ほとんどがR15のエロラノベとなっており、当時エロゲのためのセリフ回しを友人たちに見せていたことが、今の僕の作風の原点だとも言えます(2015年以前の僕の作品に性描写はほぼありません)。そして、17作品ほど投稿した後で、次回作構想のため過去データを遡り、改めてその原稿を読みました。そして、今まで自分が投稿してきたどの小説も、この原稿を超えていないのではないかと思いました。
当然、当時より成長した部分もあります。専門用語を弄ぶような、過剰に背伸びした僕の作風は、年齢を重ねるとともに抑制されてきたはずです。しかし、その没シナリオの中に迸っていた情熱と自己陶酔は、ある種、自分が失ってしまった若さの象徴に見えました。作品の中では、主題となる仮想現実を通した人間の意識についての問いだけでなく、分子生物学、大脳生理学、特許訴訟、国内政治過程などに関わる用語が自己校閲もされないまま乱発されており、そこに直截的な性描写と反復される喘ぎ声が併存しています。性欲と知識欲に溢れたトランス状態にならなければ、僕は同じような表現はできないと思います。
過去にも、この原稿を小説として再構成し完結させようと考えたことは何度もありました。しかし、そもそも、SFには賞味期限があります。いや、優れたSFにはそんなものは存在しないのかもしれません。それでも、少なくとも2015年に想像された2035年の世界は、2024年のいま想像できるそれとは異なります。レイ・カーツワイルの『シンギュラリティは近い』が出版されたのが2012年。当時の僕のSF的想像力は、AIの技術的発展を織り込んではいましたが、現代のような生成AIの隆盛を見越してはいませんでした。そのような乖離も、この原稿が放置されてきた理由の一つでした。
そういった状態で、この11月に入り改めてその原稿を読みながら、僕は急に、もう一つのタイムリミットに気が付きました。作中の過去回想で、2024年から2025年の描写があるのです。このまま2024年が終わってしまえば、それらの描写は完全に現実とは異なる過去のものとなってしまいます。更に作中では、2035年11月末に行われる大学の文化祭がクローズアップされています。現在でも国内の多くの大学では、11月の第四週の週末に文化祭が行われるかと思います。僕はスマホのカレンダーをスクロールし、2035年の11月第四週の土曜日が24日であることを確認しました。
2014年11月23日に書かれはじめた、2035年11月24日を巡る物語は、今年2024年11月23日か24日までに投稿されなければならないのではないか。僕は11月最初の週末に12章までを書き、次の週末に15章までを書き、第三週の週末に最終章までを書きあげ、企画時の友人に投稿に伴う権利関係を確認し、第四週の週末に過去原稿の再構成を含めた校正を行ったうえで、ノクターンノベルズへの投稿を完了させました。
以上が、この作品が投稿された経緯です。
過去に僕の作品やブログを読んでくれた方、それを良いと思ってくれた方がもしこの文章を読んでいるとしたら、強い言葉で紹介させてください。僕には死ぬまでに完成させたいと思っている仕事がいくつかありますが、この作品はその筆頭でした。このように特異な経緯を持った作品は、僕にはもう二度と作れません。本当に特別な思い入れのある作品です。どうぞ、よろしくお願いします。
いや、いうてヘテロ男性向け18禁作品だけどね!? エロゲのシナリオだから、もうほんと喘ぎ声だらけの作品だけどね!? この記事、ただ変態オタクが自分のエロ小説を宣伝しているだけだけどね!? よろしくお願いしますよ! ほんとに!
※トップ画像:Adobe FireFly