霰(あられ)


 じっと空を見ていた。

 西から流れてくる雷雲が轟音と共に青空を塗り替えていく。
 こんなに間断なく響き続ける雷音は聞いたことがなかった。
 まるで空からの地響きのようだと思った。

 やがて雷鳴を合図に大粒の雨が降り注ぐ。
 ばちばちと地面や屋根を叩く音には固い響きが混じっていて、足元に目を凝らすと地面に広がる雨水の中に氷の粒が転がるのが見えた。
 この歪な形には人の手が入っていないという当たり前のことに、不思議な感慨を覚えた。

 霰の粒は地面に溶けてすぐに雨水に融けてしまう。
 もう雨と何も違いのないものになっていく。
 やがて西陽が雨が止むのを待たずに差し込んで、雷雨をきらきらと輝かせる。

 じっとそんな空を見ていた。

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