「もう敵ではない」
人間って「変化するんだ」なって思った自分の体験談を一つ。
僕は父親が見ていた「戦争映画」を一緒に見ていて、"カッコいい"と思っている子供でした。
その頃、「コンバット」というアメリカのヨーロッパ戦線を描いたテレビ番組があり、勇ましいテーマ曲(野球の応援で定番の"コンバットマーチ"です)の後に始まる物語をワクワクして見ていました。
この番組ではほとんどの回で戦闘シーンがあり、それを楽しみに見ていたような感じでしたが、たまに戦闘が無い回があるのです。
そんな時は、「今日は"ハズレ"回」だなと思ったりしていました。
そんな中の回の"一つ"が「今日の題名」になっています。
覚えているストーリーはこんな感じでした。
斥候(敵状偵察)に出ていたアメリカ軍の部隊が、足を負傷したドイツ軍の軍曹を見つけ、捕虜にします。
その捕虜は少し英語が話せ、自分は負傷した仲間たちが一時的に集まっている場所から来て、アメリカ軍の爆撃を受け、頓挫した自軍の車両に積んであった血清を取りに行くところだったと話します。
その話しが本当かどうか確かめるために、分隊を率いていたアメリカ軍のサンダース軍曹(主役です)は部隊を返し、捕虜と二人でその場所へ向かいます。
二人で歩いて行くと、ドイツ兵を見つけました。二人は木の陰に隠れ、やり過ごそうとします。
その時、捕虜の軍曹が咄嗟に声を上げてしまいました。
アメリカ軍の軍曹は銃を捕虜に突きつけます。
幸いドイツ兵は二人に気付くことなく、立ち去っていきました。
サンダース軍曹は捕虜に、なぜ声を上げたのか詰問します。
捕虜の軍曹は、足元を指しました。すると、巣から落ちた雛鳥がいました。
雛鳥が怪我を負った足に当たって思わず声を上げてしまったのです。
その雛は捕虜の軍曹が丁寧に手で掬い、少し立ち上がりにくそうにしながら、巣に戻されました。
目的の地には本当に爆撃を受けて破壊された数台のトラックがありました。
「これらは負傷した兵のためのものだったのに」
捕虜はサンダース軍曹に思うところを話します。
二人は壊れていない使えそうな血清を探します。
幸いに血清と動かせるトラックを見つけ、それで目的地まで行くことになりました。
続きます。